異世界召喚! 国王襲撃事件2
異世界に召喚された俺のところにきた王様が襲撃された!
おそらく、貴賓館の正門から本隊が来るはずだ。
と思いきや、貴賓館の馬小屋からわらわらと人が出てきた。あー、敷地の外に護衛が出てたら防げなかったな。今までのは全部陽動か。
「スンマセン。警備隊で対応できますか?うちの兵は獣人たち以外は貴賓館には入らないように命じてあります。」
1階に詰めていた獣人は屋外に出ちゃってる。いまさら戻さないほうが賢明だろう。
銃声がする。驚いた。今日は驚きっぱなしだ。飛行クラブが斜め上から銃撃してる。たしかに「敷地には入ってない」な。敷地の外から銃撃をしている。いいのかな?
襲撃隊には魔法にしか見えないだろうな。燃える兵舎をうまく使って有利な場所から撃ってる。敵が上空を気にしていてもおそらく見えないだろう。俺にもチラッとしか見えない。
やつらは20発入り弾倉に18発込めてある。5人で80発撃てる。マガジンを換えたらその倍だ。両手に天狗の団扇持ったまま鉄砲を構えたりマガジン交換したりは至難の業なんだけど、そのくらいは練習しているみたいだ。
もちろん160発全部が全部当たるわけではないが、襲撃隊の大半は倒れた。
ロックフォード隊長の指揮のもとで身辺護衛組と貴賓館の警備組と外に出て戦う組に分かれたが、もう、大勢は決まっただろう。
(待て、俺ならもう一波仕掛ける。それはどこから?)
うーん、護衛隊は信用するしかない。貴賓館のスタッフはコックから客室係まで全員帰してある。馬小屋にトンネルか穴かわからんけど潜んでいたのは潰したし、獣人が外にいる。
あとは、
1.日没後からずーっと壁に張り付いていてラぺリング降下。窓を壊して入る?
2.兵舎馬小屋以外のグランドに潜んでいる?
3.むしろ、すでに貴賓館の中に侵入している?
門の外で待機している代官さんのとこまで行って意見を聞いてみる。
「もう一回襲撃するとしたら、代官さんならどこから攻めます?」
「油断したところを毒殺、帰りの駅か列車で襲撃、どこでしょうなあ。」
俺の考えを言う。
「壁が怪しくない?」
「そうですね、王様に断って、壁を弓で撃ちましょう。鉄砲では威力がありすぎます。グランドは殿が舗装してください。貴賓館の中はトラさんに探ってもらったらどうか王様の許可貰ってください。」
「スンマセン。ありがとう。早速聞いてくる。」
ロックフォードさんと王様の快諾を得て、うちの領兵が弓を射る。
俺が人質になって窓際に立つ。オマエラ、ふざけて領主に当てるの絶対なしだからな。エリクサー飲んでいても無茶苦茶痛いだろう。本当にやめてくれ。
グランドはかなり厚めにアスファルト舗装した。湯気が立っているから、この下に隠れているのはつらいだろうな。獣人は中に戻す。これで穴掘って潜んでいる刺客が隠れているとしても、とりあえず動きは封じた。
トラさんが戻ってきて、モブ警備兵の匂いをかぐ。
「虎だ!お前は虎になるのだ!」
いきなり警備隊にビンタしちゃったよ。何か別のキャラ入ってねえか?魂いれた?
警備兵が溶ける。ナニコレ?バター?ギー?別の話?あれは虎が溶けるのか。え?むしろ魂が抜けた?またスライム???ベトなんとか?こわい。
「人の匂いではなく別の何かがしたので試しに叩いてみたら溶けちゃっタイガー!溶けるほどは殴ってない!強ければそれでいいんだ。」
そもそも、国王警備隊を叩いたらダメだろう。
でも今回はお手柄だな。
「スンマセン。トラさんは常識が無いんで。ホンマスンマセン。で、こちらの兵隊さんは?」
「最近入ったばかりの者だが身元はしっかりしていたはず。しかし、トラ殿を信用いたす。」
さすがにロックフォード隊長も驚いている。まあ溶けるほど殴るってないもんな。
「スンマセン。どこかで入れ替わってたんですかねえ。えーッと溶けちゃったんで、中和剤かけときますね。触んないでください。猛毒かも。」
そこらにあったバケツとか塵取りに分散して掬っておく。あとで分析しないと。今じゃない。毒ガス発生するとやばいから外に出す。
「スンマセン。トラさんに建物調べてもらう前に、皆さん調べていいですか?」
他に怪しいにおいはいなかったんで、警備兵を調べ、建物調べてもらう。中は大丈夫のようだ。
いざというときは宇宙空母まで逃げてもらおうと思ったが、まず、宇宙空母呼ぶ手段がない。あとで対策しないと、でも、まずはよかった。今は何でもとりあえず、なんでもまず、だ。今は生き延びて、王様も守って、あとで宇宙空母呼ぶ手段を確立しよう。ノロシ、でいいのか?
案の定、外に人が張り付いていて10人ほどが射られた。かわいそうになあ、壁に張り付いたまま何の成果もあげられず、そのまま殉職。またもや生き残りを自白させたらこいつらが第三段だったらしい。
門の外で騒ぎを起こし、敷地の中から襲撃、窓の外から襲撃。壁に張り付いていた男たちには知らされてなかったが、街道の外で待ち伏せ。護衛隊の中に一人なんだか紛れ込んでいた。いったい、何段構えなんだろう。
もはや、王様が影武者でも驚かないぞ。ダンジョンアメーバのアメちゃんに頼んで幻術で王様200人くらいに見せかけたら襲撃犯も驚くだろうなあ。
(作者注:アメちゃんじゃなくてスライムのスラーさんです。)
いったん刺客の攻撃がやんだので王様には帰ってもらう。もう、俺が無理。専用列車を仕立て、警備隊と王様だけ乗せたら大丈夫だろうか。
突然のことだから駅だなんだの警備が間に合わない。今回は秘密兵器の装甲バスでいってもらうことにした。ただし、囮の影武者列車も仕立てる。
人選に困ったが、自然と解決した。国王の警備隊は捕虜の取り調べなどに忙しい。うちの領軍は世紀末装甲バス集団にかなりの人を回した。結局のところ、俺と猫獣人しか囮列車に乗れない。
例によって専用列車だが、俺は全くすることが無いので横になる。あこがれだったんだよな、寝台車じゃなくて普通の列車にゴロンと寝るの。超広軌だから向かい合わせの椅子でも横に寝れる。我ながら先見の明だ。
スマホはないけどビールちょっと飲んで、汽車に揺られながらぼんやりとした時間を過ごす。そのうち昨夜の疲れも出て眠ってしまった。
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あんまり王様にやいのやいの言われてる俺を見て、周りがちょっとは協力的になってきた。協力的になったんじゃねえな、かげで妨害してたのを少し緩めたくらい。襲撃事件もあったからな。内緒になってるけど。お叱りもおほめもなし。裏でいろいろ調査はしてるらしいが俺は教えてもらえない。しかし領内で王様暗殺されてたら俺どうなってたんだろう?
俺はいまも誰彼構わず酒とカネを配ってペコペコヘラヘラしてる。貧乏を理由に、いまだに革の長ラン着て王宮に行く。ペコペコヘラヘラーマンがしつこく叱られてる。
まあ、なめられることはあっても、攻撃は食らわないよな。恨みは買ってない自信だけはある。
なんとか、ペコペコでうちの線路を離宮まで伸ばした。勇者の必殺技より強い。
貴族の間でも王様の真似をするようになった。汽車に乗り弁当を食って、旅館か貴賓館に泊まる。大貴族様は貴賓館か旅館の離れの王様宿泊跡地、そうでもない貴族は旅館のいい部屋に宿を取るか、日帰り。
俺が困ったのは、大貴族を同時に二家しか泊められないことだった。身分によって旅館か貴賓館かの振り分けも、同等の家が来ちゃった場合は難しい。俺が責められるのも面倒だから貴賓館も旅館経営者に押し付けた。貴賓館の兵舎は他へ移転させて貴賓館の本館を増築したから、なんだかんだで三家四家くらいは迎えられる。
旅館が経営するのだから、宿泊費は旅館が設定する。貴賓館に泊めるとなると、俺も貴族だから貴族間のやり取りが異様に面倒だったんでこれは助かった。
そのうち、海の観光も流行させたい。王様とも約束してるし。
浮いてしまったのは王様の泊まる場所だけど、もうお前来るなとは言えない。王様には離宮を建ててあげた。まず領内に貴賓館の上位版を建てた。襲撃事件があったから、もっと厳重なもんを建てた。貴賓館の逆側の城壁沿いに、王様とロックフォード警備隊長の意見を取り入れてもう一回り大きなものにした。うちの城よりごくわずか高く作ってある。今度は離宮なんで王様専用。警備隊も常駐してる。
あと、王様に戦車と装甲バスを2台づつ献上した。王様襲撃事件があったので、緊急事態の時はどっちかに乗って逃げてもらう。そういう実務的な理由より、王様が気に入ったのが大きい。
乗り物好きなんだなあのおっさん。汽車。バス。戦車。サトー館のジェームスさんに聞いたら名馬コレクターで馬車にも凝ってるらしい。そのうち馬車のサスペンションも教えてやろう。
装甲バスなら馬よりはるかに速い速度を何時間も休憩なしに出せる。手放し自動運転以外の面ではどんな名馬もかなわない。また、戦車を打ち抜ける武器は異世界には無いだろう。
当然、ロックフォード隊長には戦車とバスの両方の運転を学んでもらう。王様にはバスの運転だ。
最悪、本当にまずくなったら、戦車を囮にして王様がバスで逃げる。王様とロックフォード隊長の二人しかいなくなってしまった場合まで想定した。その場合はロックフォード隊長がミスタータンク、王様がミスターバス。護衛が生き延びていれば運転より射撃をお願いしたい。
海も楽しんでほしいから、海辺にも少し小さい宮殿を建てた。貴賓館並み、海が見える露天風呂、こちらも国王直轄領。
海を見る保養が流行すればわが王立鉄道会社も大儲け。温泉少女歌劇団でも作ろうか。
これで評判が良ければ王立鉄道会社は鉄道網に発展していくだろう。
お読みくださりありがとうございます。
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