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異世界召喚! 国王襲撃事件

異世界に召喚された俺は鉄道作ろうとしてんだけど全然進まない。

今日も王様が俺の領地に来てグダグダしてる。

 前回の国王陛下の御成りから、なんだかんだ国王が来る。来るときと来ない時があるけど、平均したら10日に一回ぐらいは来てるか。


「ダンジョンの調査は終わったか。安全なところでいいから早く見せろ。」

 好き勝手を言いやがる。


「スンマセン。うっかりダンジョンを潰してしまい、もう、ありません。消滅した時に中のものを吐き出しましたので、掃除してから献上します。」


「穴はどうなった?」


「穴?ああ、あなね。穴。

 えーっと、穴は中から土が盛り上がって、ダンジョンが自分で穴をふさぎました。少し掘ってみましたが他と変わらない土しかないです。」


「跡地を見せろ。」


「まだ悪い気が漂っているそうなので、王様にもお見せするわけには。」


 嘘ではないが、その先は教えない。ダンジョンマスターに会わせろとか言いだされて、万が一のことがあったらどうにもならん。潰れました、で押し通す。


 でも、まあ、しまらない話だ。

 

 国王は、じゃあ何か面白そうなもん見せろと駄々をこねる。いや、ここらは辺境の地でなんもないです。王都のほうがよほど面白そうなものが多いと思いますよ?


 えー?どうすっかなあ。


「次回は海辺の町行きましょうか?海って王様はいらしたことあります?今、思い付きでお話して、何の準備もできていないんで、今回はちょっと、その、まだ無理なんですが。面白いところではあります。

 お見えになる前にいちどロックフォード隊長にも下見してもらわないと。なんせ気候も住んでいる民も荒っぽいところなんで、あそこにも迎賓館建てますかねえ。」


「この間の旅館でも充分だった。あれ以下でもよい。

建つ前、建った後、両方楽しめるではないか。」


「ハハハハ。スンマセン。それもそうですねえ。」


 太鼓持ちかよ俺。まあ日本での上司対応で慣れてはいる。


 迎賓館貴賓館はヤリスギ、良すぎだとうちのスペシャルな人たちに言われる。いろいろな国のことをよく知ってる天狗、エルフ、ドワーフ、河童、鬼、そういった人たちが言うんだから本当なんだろう。オレ、異世界人でこっちの常識無いんだもん。シカタネーよ。


「スンマセン、王様、王様、ここがお気に入りなら、王都の横にこんな感じのもん建てましょうか?毎回おこしになってくださるのは光栄ですが、警備の者が大変でしょう。


 鉄道も全然できないんで工事の者も退屈しております。」


 鉄道は俺が一気に作るって言うのは教えてやらない。まだ、その時ではないから。


「ああ、いっそ王城を建て替えてしまうというのはいいな。しかしそれでは鉄道に乗れないではないか。それより早く鉄道を引け。鉄道が先。王城があと。」


「スンマセン、がんばります。」


 そう言ったって、現場が動かねえんだから仕方ねえだろうが。ハゲ。バーカ。デーブ。配下の貴族なんとかしたら、来月にも建ててやるよ。


 王様と夕食を済ませたあと退出してくつろいでいると、非番のドーベルさんが来た。


「なんだか雰囲気が悪いんで、報せに来ました。」


「スンマセン、ドーベルさん、一体どうしたんですか?また、ダンジョン?」


「いえ。違います。


 駅からはどう見ても兵隊らしき人々が、私服で次々と降りてきています。お互いに関係のない風を装って、門の周りなど要所要所に固まっています。」


「スンマセン、どうしたらいいと思う?」


「全員狩りから引き上げ、警戒に回します。」


「あ、いいね。でも交代で休んでね。タノンマス。」


 入れ替わるように、今度はトラさんがやってきた。


「狩りをしていたら驚いた。街の外に隠れているやつが多すぎる。ひどいやつは街道の脇に穴を掘って隠れていやがる。倒しタイガー。」


 「スンマセン、ドーベルさんに場所と数を教えて。それから猫獣人も狩りから戻して。」


 河童や天狗も異変を教えに来てくれた。


 情報を総合すると、特殊部隊というか暗部というかニンジャというか、とにかく暗殺者の連中が俺たちの町に潜入しているらしい。王様は運悪く離宮に滞在中だ。もちろん、その時期を狙ったのだろう。ということは標的は俺じゃなくて、王様だ。


 無論、暗殺者が王様倒せば俺の大失態になる。


 獣人たちを連れて王様に謁見を願う。


「スンマセン、王様、周囲が怪しくなってきました。どうやら暗殺計画のようです。警備の者と上階へ避難してください。

 分かりやすく敵味方を分けるために一階は獣人、特に犬獣人が守ります。敵はその数、数百。獣人以外は敵だと思ってください。


 ご不便かと思いますが、とにかく動かないでください。飯は後で運びますが、俺が持って来ない限り信用しないでください。


 あと、神官長がエリクサー持ってきます。それは例外。持ってきたら、ぐっと飲んじゃってください。」


 守る戦いというのは難しい。しかも、相手は一般人に紛れている。(らしい)。


 さて、どうしたものか。


 トラさんは強襲案一点張り。まあ、こいつらはそうだな。こちらから攻めてみることにする。わかりやすいところから、となると、穴掘って潜んでるやつらか。


 この貴賓館を襲って、王様が避難するところを待ち伏せしてるんだろう。王様が避難せざるを得ないほどの襲撃の前に、待ち伏せ隊をやっちゃおう。


 トラさんの案内で、道路の脇にあいている空気穴にアンモニアやら催涙剤やら思いつくままに流し込んでいく。


 「ブー、ハッハッ。ゼイゼイ。」


 黒づくめの男たちが土から出てきて、咳き込み、涙ぐみ、暴れている。セミの羽化かこいつら。案外こらえ性のないやつらだ。その数50少し。


 片っ端から手足を切り落とし、自白剤を作って飲ませる。時間がない。町のはずれに積んでおく。協力的ならエリクサー飲ませて斬った手足をもとに戻してやってもいい。ま、いまはポーションだけど。

 自白剤もおかげで、襲撃計画のおよそが判明した。サラ婆さんのところへ連れていくまでもない。


 明日の朝、未明に貴賓館の裏で大爆発を起こす。と同時に第一波の襲撃隊が貴賓館を襲う。それは陽動。混乱して第一波が警備隊を引き離したところへ第二波の襲撃。正確な人数は教えられていないそうだが、仲間の顔ぶれからして第一波第二波100人づつぐらいらしい。

 

 避難するとしたらこのルートしかないから、街道で穴を掘って隠れて待ち構えている、そういう三段構えらしい。


 うその説明を受けている可能性もあるし、待ち伏せ隊が壊滅したのはおそらくばれているだろう。予定が早まるかもしれない。爆発は本当だろうな、合図になってるんだから。


 問題は第一波アンド第二波隊。一般市民に紛れているのでどうしたものか。

代官さんが行政棟に戻ってきているので相談する。

「スンマセン。そこらにいる人を片っ端から斬っていってエリクサー飲ますのも、ちょっと気まずい。最悪それしかないんだけど。どうしたもんですかねえ?」


「王様のお許しがあれば貴賓館を囮に使いましょう。」


「スンマセン。説明して。」


「貴賓館の兵舎にこちらから火をつけます。貴賓館の周りの人間は全員校舎に逃げ込めとお触れを出します。ちょうど今日は授業してません。貴賓館の周りに残ろうとする者は皆、敵です。」


「スンマセン。それでいこう。王様に説明したら俺が火をつけてくる。王様もまだ起きてるだろう。よろしく。」


 飛行クラブにつかんでもらって急ぐ。走るより早い。一応、勇者なんだけど、俺。


「夜中にスンマセン。王様、暗殺計画がちょっとだけわかりました。兵舎に火をつけて、文字通り敵をあぶりだします。こういう時に作ってあるセーフティールームに籠ってください。」


 納戸というかウォークインクローゼットというか、窓が無くて壁が厚いだけの部屋なんだけど。例えばドラゴンブレス食らった時のための部屋が作ってある。


 暗部が窓から乱入するかもしれないからね。


「わかった。頼んだぞ。」

「スンマセン。なるべく早くやっつけます。朝明るくなるまでにはなんとか。」


 あ、コンクリ造りの兵舎、どうやって火をつけよう?不燃耐火防爆構造だった。仕方なく屋上に油まいて火をつけた。こりゃ油切れたら鎮火しちゃうなあ。


「おおーい、火事だ火事だ。皆逃げろ。火は中の人が消すらしいから手伝うより逃げろ!校舎に逃げ込めー!」


「火事だー校舎に逃げろー!」


 制服を着た領軍も誘導に乗り出した。


「グワああああ!」

 

 後ろから領兵を刺す女たちが居た。うちの兵隊に何すんだよこの野郎。


 思い思いの服装だがしかしどいつも濃い色の服を着ている。夜中の暗い中ではわりと目立たないだろうな。でも街灯がある上に火事の炎に照らされてむしろ目立っている。敵の事前の調査不足だ。10対40。領兵10の女40。女装した小柄な男もいるかもしれない。獣人はいないようだ。


 見た目80か100いたように見えたんだけど、あとで数えたら40。取り逃しは無さそうなんで、戦場だと数が多そうに見えるのな。


 領軍を取り囲んでめった刺しにする敵を、周りにいたそれ以上の私服の領兵が切り伏せていく。代官さんもとっさにここまで考えるってすごいな。聞いてないからびっくりした。


 相対的に傷が浅そうな女に自白剤を飲まして聞いたら、第一次襲撃隊は40で見張りが10くらいだが見張りに関しては別の隊なんで正確な数字はわからないんだそうだ。とりあえず手足切断してポーションを飲ませておく。今、どうこうしている暇がない。


 俺はグロ耐性あんましないんだが、この際だから仕方がない。人を刺したり手足を斬り落とす趣味はないが、俺が生き延びるためには仕方がない。


 かわいそうに刺された兵士は徐放性のエリクサー飲んでいるので死ぬことはないが、でも痛いだろうから下がらせる。


 一応、ロックフォード卿のところへ報せに行く。


「順番が逆になってしまいましたが、第一波と待ち伏せ隊は撃退しました。生き残りは手足切って牢屋に入れました。


 自白剤飲んでいるんで延々と話をしていてかなりうるさいですよ。


 落ち着いたら取り調べてください。それまでは生かしておきます。


 スンマセン、だいぶ討ち漏らしましてまだまだ敵はいますんで引き続き警戒をお願いします。」



「それは大儀であった。ただひょうひょうとしている男だと思っていたのはお詫びいたす。


 しかし、さっきの情報では100、今度の情報では50弱、情報と情報が合わんな。まあ情報が合わんのは多々あることなんで最後にわかるだろう。引き続きお願いいたす。


 警備隊からも兵を出したいのですが、勝手のわからない仲間が増えても却ってやりにいでしょう。」


 ああ、そう思われていたのね。いま、すごく忙しいから聞き流す。


「スンマセン。お申し出助かります。しかしご指摘の通り、少ない領軍ですのでこういう時は顔の見分けついたほうがいいでしょう。でも、貴賓館の敷地に入った人間は問答無用で刺しちゃってください。獣人と警備隊だけのほうがそちらもやりやすいでしょう。


 あの、繰り返しになりますが俺からの使いと言っても信用しないでください。俺が直接行きます。

それと、ポーションの予備を渡しておきます。」


「ありがたい。


 襲撃に失敗して戻っても、今度は仲間に口封じに殺されるかもしれませんから、あきらめないでしょうな。おそらくわずかな連絡見張りを残して攻撃してくると思います。くれぐれもお願いいたす。」


 ドッカーン!話していたら城の外・貴賓館の近くで爆発があった。こっちの世界だと火薬がないはずで、どうやったんだろう?あと、順番違くね?


 大声を挙げて今までの倍以上の人数が突っ込んできた。


 猫獣人たちが闇から飛び出て瞬殺する。また闇に消えていく。仲間でも怖い。首の骨折ったり頸動脈斬ったりで、きっちりドトメ刺してるし。


「チトこらしめてやったぞ。これは陽動だ。本隊はお任せする!強ければそれでいいんだ!ガオオオオオ!」


 トラさんが叫び、やはり闇に消えていった。


 捕虜とってよ、尋問して情報集めないと。


 おそらく、貴賓館の正門から本隊が来るはずだ。




お読みくださりありがとうございます。


誤字の指摘いただき幸いです。

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