異世界召喚! 異世界ダンジョンは新たな局面へ
俺たちのチームは異世界のダンジョンをぶっ潰した。
ダンジョンマスターらしきものを大賀さんが倒し、ダンジョンからはいろいろなものが出てきた。
残しておいた領軍からは、「異常は確認できません。」という報告が上がってきた。あれから何も湧いてこないんだそうだ。 「異常なし。」ではなく「異常は確認できません。」の意味があるのだろうか。
天狗と河童は、ダンジョンの臭いが消えないという。魔物の気が残っている。崩壊したダンジョンの残り香なのか、そもそも何かが奥深くで生き延びていて生き埋めになっても平気で生存しているのか、そこらへんが分からないという。
わからないときは調査したらいい。というわけで俺たちはダンジョンがあった山の上にいる。今回は鬼族は無し。
「だいたい、この下のあたりから、かすかに嫌な気が致しやす。」
ガタロウさんが山の中を這いつくばりながら気を探る。
「ケッコウ毛だらけ、山の中で土だらけ。」
トラさんは土をちょっと掘って土のにおいをかぐ。俺には匂いはわからん。しいていえば湿った土の匂い。ドーベルさんは護衛としての態勢は崩さないものの、一緒に来た犬獣人と軽く穴を掘っている。
動物好きの俺からすると、獣人たちが穴を手掘りしているのは嫌な予感しかしない。上にしゃがまれたら完璧アウト。
探検隊が一致したのは、
「何かわからないが、何かある。/いる。」
ということだった。
「スンマセン。じゃあ、本格的に掘ってみましょう。」
俺と河童二人の土魔法で掘ってみる。
途中からは俺がひとりで土を捨てて、俺以外の発掘隊は警戒態勢になってもらった。河童さんのそれ、警戒態勢じゃないですから。臨戦態勢ですから。何度みても怖いんで離れてもらっていいですか?
何回か休憩をはさんでしばらく掘り進むと、何か堅いものに当たった。
「スンマセン、ガタロウさん、岩盤まで掘り進んだんかねえ?」
「違いヤス。何かわかりやせんが、ともかく周りを掘り拡げやしょう。」
俺は疲れたから休んで、河童に掘ってもらっていると潰れた半球状というか、柿かミカンのような形=饅頭のような形のドームが出てきた。
「スンマセン。ダンジョンですよねえ、これ。」
「むしろほかの物であった場合、見てみたい。」まあ善人坊さんなら言うよなあ。
「スンマセン、ダメもとで話しかけてみますね。おーい、タヌキさーん。」
「ももタヌキさーん。」
「タヌキももさーん。」
しばらく呼んでも返事がない。イラっとして、ちょっと溶岩流してみる。ちょっとね。ドームの蓋があいた。タヌキが顔を出す。やっぱりな。
「いじめないでください。背中が本当に熱い。」
モモタロウかと思ったらカチカチ山か!日本文化は奥が深いな。
「スンマセン。前回は擬態を解かなかったりで、鬼さんがカッとなっちゃったみたいで。」
「いえ、それはいいです。死んだふりして死体まで偽造したのに、よくわかりましたね。」
「スンマセン。こっちのメンバーも神話級なんで。」
河童に天狗がタヌキと話す。民話級か。
「トンネルだけ押し戻してダンジョン本体は守ったんじゃな?だまされるところだったわ。」善人坊さんが感心してる。
「スンマセン、以前の取り決めでいいですか?」
「すべて見破られたから、もう、降参します。ダンジョンから出たものはご自由に使ってください。」
「で、あの、お名前は?」
「気が付いたらダンジョンにいまして、名前は無いんです。ももタヌキでもタヌキももでも構いません。領主さまがつけてください。」
あー、そうなんだよなあ。ドーベルさんも名前なかったし。本当の名前は秘すとか、服従したらその証拠に命名してもらうとか、なんか文化人類学的展開なんだろうか?
「スンマセン、そもそもなんですが、ももでもタヌキでもないでしょ?両方擬態。で?何なんです?」
バレてんだよ。
「率直に申し上げますと、焦げ茶色のアメーバ的な不定形です。擬態というより幻術でして、桃のような姿になったりタヌキのようになったりするわけではないんです。」
げー。人喰いアメーバ???やばいやつ?
鬼さんが興奮したのは、幻術で幻像を見せたのと、フエロモン的な物質をまいて混乱させたんだそうだ。フエロモンまく人喰いアメーバって、お近づきになりたくないなあ。
「あっ、スライム族のかたですか?」
「先ほど申しましたように、わたしは気が付いたらこのダンジョンの中で生まれていて、親も子もなく、自分がどういう種族かわかりません。外にも出た事がありませんし、出られません。
他の種族との交流もそれほど有りませんでした。でも、スライムと言われたことが何回かあります。」
アメーバとスライムって近いんかなあ。スライム=ザコキャラって日本の認識はここらでは改めたほうがいいかもしれない。ベトベター?ベトベトン?
「じゃあ、スライム族のスラーさんでいいですか?」
「はい。今後はスラーと名乗ります。」
「じゃあ、スラーさん今後よろしくお願いします。あ、そうだ、こちらが貰うばかりというのもなあ、何か要ります?」
「要るというわけではないのですが、動物の死骸なりクズ野菜なりをいただければ助かります。
気のよどみと言いますか、魔気を吸ってダンジョンも私も生きているのですが、おやつと言いますか、オマケがあると助かります。」
「じゃあ次回からすこしづつ持ってこさせます。お互いに合う合わないをしばらく確かめ合いましょう。」
まずは交渉が成り立ってよかった。うまくいけばかなりのエコ。生ゴミだせば宝物ドロップ品になって帰ってくるかもしれない。
スラーさんを疑いだしたらきりがなし、信用し過ぎもよくないだろう。何を出すも出さないも今日のところはスラーさん次第なんで交渉になっていないかもしれないが、一応、こちらに頭下げさせた。
しかし、俺も殿だなんだ言われて完全にその気になっていた。治水土木工事しまくり、蒸気機関車と燃料、戦車から宇宙空母まで出して、チート級だと調子に乗っていた。だが、今回の相手には俺の攻撃は全く通用しなかったようだ。
当たり前だが、俺にも限界はある。その当たり前を忘れかけていたな。
やっぱ、スンマセンスンマセンいって下手に出てたほうがいいな。
ところで王様にどうやって報告すんだよこれ?
お読みくださりありがとうございます。
誤字の指摘いただき幸いです。
意図して書いたものもあり全てを受け入れるわけではありませんが、それでも助かっています。
引き続きお願いします。




