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異世界召喚! 異世界ダンジョン消滅!

異世界のダンジョンを踏査する。

「熱い。痛い。たすけてー。魔物だけど魔物じゃない。待って。」


 わかりやすくボロボロの狸が洞窟の入り口まで出てきた。わかりやすく葉っぱが頭に乗っている。いかにも哀れな、べたな狸。

 なんだよ、魔物だけど魔物じゃないって。代官さんがいきなり俺を掴んで後ろへ引きずる。のしかかってきた。や?俺、主君だけど?なに?そういう展開?やめろよ。しかもいま?


 ドーベルさんが横に来て小声で説明してくれる。

「殿、あの狸はダンジョンの奥から出てきて、殿の油にも耐え抜いた魔物です。殿を簡単に魔物の前に出すわけにはいきません。

 どんな奥の手が残っているのか、わかりません。」


 そっちか。ちょっと安心した。ひきづり倒されて痛かったのは許してやろう。


 でも、そうかなあ。うらぶれた感じでダンジョンの奥のラスボスっぽくない。かぶってる笠はボロボロだし。頭から煙出てるし。


 何も俺のこと押し倒さなくてもエリクサー飲めばチートじゃねえの?飲んでるし。状態異常無効なら狸に化かされることもなさそうだ。それはそうと領軍のモブ小隊長が話を聞いた。ハンスより格下だな。

俺らは相変わらず戦車の陰に隠れて聞いている。代官さん、そろそろ俺の上からおりてくれ。


「このダンジョンのダンジョンマスターです。ごあいさつに伺わなくてはならないものの、ダンジョンからは出られなくて困っていました。」

たしかに穴の中から出てこない。


「ほう、本官はこのあたりの領主サトー殿に仕える領兵の小隊長です。それで?」


「小さいダンジョンで魔物も雑魚、見逃してもらえないでしょうか?」


「それは本官の一存では決めかねる。なにか、殿なり領民なりに益となるような落としどころは示せないものか?」


「このダンジョンは鉱物資源は薄く、人の食用となる資源も産出できません。弱りました。助けてください。」


「それでは殿に報告できず、ここで討伐するしかない。気の毒だが落としどころとは言えない。逆に狸殿は何ができるのか?」


「ダンジョンとしては魔物が沸いてきますので、すべてとはいきませんが一定量献上できます。素材として骨や革をお使いください。

 わたしはダンジョンから出ることはできませんが、ダンジョンの中でなら幻術を使うことができます。今まで人のために使ったことはありませんが、たぶんできると思います。」


 うーん、魔物素材なら余ってるんだよねえ。よほど珍しい魔物じゃないと。それよかダンジョンの中を拡張して狸幻術を活かし劇場とかコンサートホールかなあ。映画館に近いか。俺の考えを代官さんに話して、今後の発展を考えてもらう。


 ちょっと待ってもらって人外の皆さんに聞いたら賛成された。潰す価値も活かす意味もどちらもない野良ダンジョンだから、なんかくれるというなら貰っておけばとのことだった。


 じゃあ、黒焦げの狸さんを治してあげよう。穴から出ないからアナグマかムジナか。エリクサー振りかけたら、大きな桃のモンスターになっちゃった。


 大賀さんがマジ切れした。


「テメー!やるのかコノヤロー!どこチュウだバカヤロー!」


 こん棒を振り回して桃を追いかけ洞窟へ飛び込んでいった。日頃怒らない人が本気で怒って怖い。


 大賀さんが入っているから砲撃も石油流し込みもできない。重たい機関銃かついで追いかけるしかない。あーランクルかバイク欲しい。原チャリでもいい。馬でもいい。ウマノスケさん連れてくるんだった。


「やんのかテメー。コノヤロー!」


 洞窟の奥で大賀さんの怒号しか聞こえない。息が鉄の味する。もう、俺はだめだ、先には進めない。疲れた、苦しい。そこそこ鍛えてるんだけどなあ。


 領軍のモブもここで休憩。大賀さん追っかけてきたほかの鬼もここまで。鬼をこの先に進めても絶対ろくな結果にならない。

 ハンス君と人外の皆さんに行ってもらう。ハンス君も息がきれてるから天狗さんにおぶさってもらった。


 息が収まって、ようやくポーションを一口飲む余裕ができた。ああ苦しかった。


 かなり先で爆発音が聞こえた。


 と同時にもにゅもにゅと大賀さん、後に続いた人たちが迫ってきた。


 そのまんまみんな洞窟から吐き出される。


 まわりには俺らの他に色んな素材がちらばっている。それと半分桃半分狸のナニカも出てきたけど動かない。もう一度エリクサーかけたが反応がない。ただの屍のようだ。


「スンマセン、大賀さん。大賀さん視点で一体何があったんですか?」


「命令を忘れて暴れてしまい、すみません。わたしは、わたしは。狸のダンジョンマスターが、果物に見えまして。気が付いたら滅多打ちにしていました。モモタヌキをたぶん、撲殺してしまいました。たぶん、たぶん、あれを倒したところ、ダンジョンから放り出されて。すみませんでした。」


「あー、やっぱ、そうか。鬼とモモは相性悪いってことね。済んじゃったことは仕方ない、っていうかいまさらだよな。


 スンマセン。誰かポーションで治らないレベルの怪我した人います?」


 いなそう。


「スンマセン。モモタヌキには悪かったけど、向こうも降参しますと言っておきながら擬態を解かなかったんだし、あいこかな?

 身内に怪我がなくてよかったです。」


 監視の者を残して撤収。実に不完全燃焼だったが、命がけの大冒険スペクタクルになっちゃうより全然いいよね?平和、安全、前年並みよりちょっと改善、これが一番。


 鬼たちはさらなるダンジョン踏破欲に燃えてるんだけど、次に敵対的なのを見つけたときには頼みますとお願いしておいた。このダンジョンは細々と貢ぎ物を搾り取ったほうが得だったと思うけど、もう、いまさらだ。



 警備隊の人に説明して、うっかりダンジョン潰しちゃってスンマセン。魔物素材献上しますと伝言を頼んでおいた。体よく王様に押し付けよう。素材がショボ過ぎるし、穴がふさがっちゃった。


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