表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

88/116

異世界召喚! 王様の泥酔

国王、エルフ、天狗の飲み会。

「サトー殿は居られるか?」」

 天狗とエルフがやってきた。


「スンマセン。俺ならここにいますが、少しお静かにお願いします。隣の隣の部屋に王様がいますから。あっ、この人は王様の護衛隊長。近衛隊のロックフォード隊長。ロックフォード様でよかったんですよね?」


 ロックフォード隊長が明らかに緊張している。ロックフォード卿の名前は覚えた、と思う。


「天狗の善人坊と申す。スマンが入り口の男がやかましかったので、のしてきた。剣を折ってしまったのでお返し申す。」


 真剣白刃取りからの剣折りか。折れた剣を返されてもなあ。


「アー、スンマセン。俺同様善人坊さんも常識ないんで。見逃してやってください。あとで番してた 兵隊さんにポーション飲ませてください。


 スンマセン。


 剣は良いのさし上げますんで、ほんとうに勘弁してあげてください。


 で、こちらは、エルフの。えーっと、エルフの。。。」


「ビュグヴィルヴィルフ! ビュグヴィルヴィルフだ!」


「スンマセン。そうでした。ビュルビュルさん。で、お二人で何の用です?」


「「酒をくれ。」」 


 そのために俺は王様に無礼うちにあうかも知んねえんだぞ。フザケンナ。


「スンマセン。あー、誰でもいいから村の人間に言えば出てくるでしょう?


 ちょっとこっちは取り込んでるんで。スンマセンが。」


「なにごとだ?」


 ジョーサントス王が、出てきた。俺の献上したバスローブ姿なのでいまひとつ威厳が無い。コイツは王冠かぶらないとハゲなのか。かぶっててもハゲなんだろうが、いままで見えなかった。ずいぶん印象が違う。


「あースンマセン。森の住民の方たちです。天狗のほうが善人坊さん、んでエルフの。その、えーっと。」


「ビュグヴィルヴィルフ! ビュグヴィルヴィルフだ!いい加減に覚えろ。我慢ならん。ビュグヴィルヴィルフ!エ、ル、フッ!

 ビュグ、ヴィル、ヴィルフ!」


「こちらは国王、ジョーサントス様だ。俺が紹介しちゃっていいんですかこういう場合?」


「今日は余が勝手にここにきておる。全部破格。無礼講。お忍びに作法もあるものか。」


「スンマセン。そういわれると助かります。ま、よろしくお願いします。」


「王様はあちらでお着替えの続きを。」ロックフォードさんがうまく誘導して、風呂場の横の脱衣場に戻す。


「はー、あれが人族の王か。」


「スンマセン。人族の王様というよりかここらの王様ですが、ま、よろしくお願いします。」


なんで俺がエルフに頭下げなきゃならんの?


「ここらの、というのは、サトーに言われなくてもわかっておる。」


「スンマセン。酒なら村人に申し付けてくださいってば。」


「「ではそうする。」」


 去って行った後も剣の柄に手をやったまま、ロックフォードさんは警戒を解かない。


「いやいや恐ろしい者を見た。われらが100人で囲んでも、あの者の一人を討てるかどうか。守備隊が全員配置についていても、王を逃す時間稼ぎしかできぬ。」


 武道の極みに達した者同士、通じるものがあったんだろうか?


「スンマセン。たしかに、斬ろうと思って斬れる相手じゃないかもしれませんが、でも、原則、気の良い人なんですけどね。


 善人坊さんは天狗の秘法を村人に教えてくださり、村は大発展です。剣を折ってしまったのは代わりにお詫びします。

 エルフさんも、いろんな種や苗持ってきてくれて、餓死寸前の村を助けてくださったんですよ。」


「彼らの一人が本気になったら、とても王を守り切れなかった。」


 まだこだわってる。職務に熱心なひとなんだな。


「まー、そうならなかったし、今後もそうはなりませんよ。本当にいいひとたちですから。今度休みの日にゆっくり来てください。今日はロックフォードさんはお酒飲めないでしょうけど、仕事抜きでじっくり飲んだら本当にいい人たちです。」


 ジョーサントス王が、また出てきた。今度は高そうな服に着替えている。ハゲは治らない。


「いや、さっぱりした。透明な湯も白い湯もなかなか良い。疲れも取れたし若返ったようだ。」


 ポーション入ってるからねえ。女兵士もつやっつや。お風呂でエッチなことしたのかな?


「毒見しましたが、ポーション入ってますよね?サトー様。」


「スンマセン、バレてら。飲んだの?」


「警護の役目ですから。お風呂のお湯で毒殺も考えました。」


「うわー、そこまで徹底してるんですか。俺、口が軽いんでそこから先は秘密でお願いします。知らなきゃ漏らさない。


 あ、ここまで知ったからと言って毒殺はしないんで、そこはご安心を。」


「さっきの天狗とエルフ、面白そうだな。」


 ホント自由な王様だな。


「スンマセン、あれはものすごく気のいいやつらで、この村の発展にもずいぶんお世話になっってるんですが、なんせ酒癖悪くて、王様の前にはちょっと。責任取りきれないです。」


「そうなったらサトーが守れ。」

「スンマセン、そうならないために、ちょっとと申してます。」


 天狗が飛んでるの見せたら、こいつも飛びたいというだろう。鉄とヒコーキマニアはかなり近い領域だ。そうなったら誰が責任取るんだ。


「あと、エルフはおっさんですからね?」


「そうなの?しかし、サトーのところは女っ気が無いんじゃないか?」


「スンマセン。商売のそういう人なら途中のカワサキ駅の近くにお店があります。領民は貧しいから男も女も働ける仕事に働いているんです。


メイドも養えないから、キッサから来たメイドは役所とか学校に行ってもらってます。字が読めて計算できますから。」


「学校で領民に字を教えているそうだな。」


「貧しいとこなんで、一通りなんでもできるようになって、で、適職ついてもらってます。得意を活かさないと食えないんですよ。」


穏やかな時間が流れているのにまた天狗とエルフが入ってきた。べっろべろじゃん。


「ういぃー。サトー。酒が切れた。くれー。」


「えー。いつもの倍は出したじゃん。」


「おお、酒ならまだここにある。飲んでよいぞ。サトー。杯を持ってきてやれ。」


「スンマセン。王様、番兵では守り切れないんで、今日のところはちょっと。」


「よいよい。どうせいつも命を狙われておる。この者どもでなくても倒せるわ。おう、ロックフォード、誰かに酒と杯持って来さしてくれ。ここで死んだらそこまでよ。」


 一瞬でヤベー酒になった。なんか語りだしちゃった。さっきまでいい雰囲気だったのになあ。


「はっ。」



 ロックフォード卿が居なくなったのでこの場で素面は俺と女兵士だけ。王の自分語りタイムは続く。

 それまで居た妻は強制的に離婚させられた、今の奥さんはガンダル王の姪に当たる人だけれども、何かとそれを笠に着る。


 子供ができて成人したら恐らく強制譲位でそれは構わないが、その後に消されるのはかなわない。王としては満点ではないけれどもまあまあだろうと思っている。よそから来た割りには上出来ではないか。

 さらにこの王国の行方も気になる。ひとたび王となったからには、ある程度は責任があり、長い目のこともやってる積りだ。

 これ以上何をやれというのか。


 思ったよりドロドロ。異世界か異星か知らんがここにもそういう軋轢があるっていうことだ。もっと、こう、根本から違う社会かと思ったらどこも変わらんのね。


「サトー。聞いているのか?王は人払いすらできない。誰々と人払いして話をしたと、その事すら筒抜けになる。周りは先王からの旧臣とガンダル王の家臣ばかり。


 久しぶりだぞ、こんなこじんまりとした集まりで穏やかに酒は。王になる前の貴族の三男以来かもしれない。」


 いやー、今、穏やかな気分なのあんただけ。俺は召喚される前に平成ニッポンにいたからさあ、新宴会忘年会とか地獄の愚痴飲みやマウント飲みにある程度耐性ある。でも、配下の領主として王の愚痴酒に付き合うとは思わなかったわ。


「サトーよぉ、旧臣は敵意剥き出し、たまにすり寄ってくるものはまた手の平返ししかねないから信用ならない。ガンダル王の家臣はガンダル王の顔色伺うばかり。

 最低限のぉ、なんていうかさあ。聞いているのか?サトー!ああ?」


「スンマセン。聞いてます。人が付いてこないと。参りましたなあ。そうは見えなかったですがねえ。」


「聞いてんのか。なあ、俺が王なんだから忠誠を誓えとまでは言わんが、なんでも妨害したり密告するのやめてくれって言うの。降参したんだからさあ。」


 もう、ぐっちぐちと愚痴を語る。さっきのロックフォードさんの話だけでもたいがいだと思ってたけど、彼、相当抑制して話してたのね。あれですら清廉な武人の語りだったわ。


 途中で酒もつまみも追加がさらに来たが、さすがのビュルビュル氏も善人坊もおとなしく飲んでいる。ビュルビュル氏が空気になってるとこは初めて見た。今、それどころじゃないんだけど。


 ロックフォードさんが真剣に警戒してたから、王様も天狗とエルフには絡まない。


 なんとも重たい場になってしまったし、時間も時間になってきて俺も眠くなってきた。なによりも飽きてきた。


「王様、スンマセンけど申し上げます。王様が起きてると警護が休めません。


 明日、王様は休めても、番兵は休めませんから。

 今夜はそろそろでどうです?


 気に入ったつまみと酒は今度献上するって約束します。ここらは魔物が多いんで肉だけは豊富なんです。」


「おう、それでは俺たちも失礼する。」「ビュグヴィルヴィルフだっ!忘れるな!」

 天狗とエルフがシュッと幻影を残して去る。今度やつらの話も聞いてやらんとならんなあ。


 素面のロックフォードさんが

「今の動きは見えなかった。」と驚いている。アンタ、王国の良心だな。


「やつら素面でもそうなんですが、酔うとなおのこと礼儀も何もないんでスンマセン。」


 じゃあ俺も眠いんで退出します。なんか濃い一日だった。


お読みくださりありがとうございます。




誤字の指摘いただき幸いです。


意図して書いたものもあり全てを受け入れるわけではありませんが、それでも助かっています。


引き続きお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ