異世界召喚! 領軍軍事演習
どんどん細かい内政問題が出てくるんだが、今回はそのうちのひとつ。
領軍の演習。
そもそもの話から始めると俺は巻き込まれ召喚されただけのおっさんで、ぜんぜん軍事は詳しくないんだよねえ。
色々あって領主やってるけど、司令官として軍略に詳しいわけでもない。俺は大砲の役で
「あそこに溶岩飛ばしてください。」
「わかった。大体あっちでいいの?目が悪いんでわかんないけど」
「当たりました!」
ぐらいしかしてねえもんな、魔物戦でも。
おれはいいや。うちは数で押すというより小数精鋭で被害も少ない戦い方を目指そう。んで各司令官が判断すればいい。
特殊部隊は漢のロマンだよなあ。人海戦術とは大違い。
パラシュート部隊。空の神兵。どこの国でも精鋭部隊だ。飛行クラブの連中連れてくれば今すぐにでも編成できる。パラシュート、ではないが、空中襲撃部隊にはなる。せっかく飛べる人間を歩兵には使わないけどね。もったいない。
しかし、そもそものパラシュート部隊空挺部隊って何だろう?
A 少人数で浸透して破壊工作する B 精鋭即応部隊で、軽装備で敵の予想しないところへ展開し、増援の本隊到着まで持ちこたえる。
うちの場合に当てはめるならABとも獣人部隊だよね?パラシュート降下しないとしても。すばやく移動し、少人数で大暴れして領軍の到着待つ。
じゃあ山岳レンジャー部隊。通常なら進軍もままならない急峻な地形とか雪山を踏破し奇襲攻撃。今の領内に山はないけど、エルフとか獣人とか天狗?
水陸両用部隊。狭義の海兵隊なら河童だろう。水から侵入してきてなみの兵隊何十人分の働きをする。
あれ?めっちゃくちゃ揃ってない?大体の特殊部隊揃ってるじゃん。こわい。
今の俺の脳内基本戦術はこうだ。
寄せ集め歩兵が陣地を構築して、それっぽく動く。もちろん俺も手伝う。
そっちに気をとられているうちに装甲バスが回り込んで裏から横からかき回す。ここらの地形だとキャタピラ付きの戦車要らないんだよね。よたよたとバスが行く。機関銃と大砲撃ちこまれて対応できる軍隊は異世界には無い。いまのところ。
獣人部隊がいろいろ仕掛ける。
ある意味本道の戦い方なのかもしれん。
うちの領軍の欠点は実戦経験がないことだ。魔物相手に訓練を積む。どれだけ魔物相手に戦う練習をしても、正規軍相手に人を斬ったことは無い。
せいぜいで一部の隊が盗賊退治をしたことがある程度。
まーこればっかりは仕方がない。しかし魔物相手に善戦してるし、陣形も陣地構築も何も、かなりサマになってきた。早めに重機も普及させたいなあ。
ともかく招集して訓練だな。PDCAサイクルまわさないと。やってみないことには始まらない。
大怪我してもほぼ無限にポーションやエリクサーがあるから大丈夫だろう。
ん?大怪我したらエリクサーのんで状態異常を解除、に引っ掛かり続けている。
◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
ということで、やってまいりました、軍事演習。
今回は魔物狩り訓練と称し、5日間の実験的動員を行います。
うちの領軍の練度は非常識に高い。しかしそれは常備軍の話だ。
今までは領軍のコア部隊だけで演習していたけれども、そろそろ動員兵を混ぜて、実際の状況に近いところで演習をしたい。
まず、サトー領の外で魔物が出た想定です。急遽、兵を集める形にしました。
奥さんたちや代官さんの意見を聞いて、いきなりフル動員するんじゃなくて、何回かに分けて試すことにしました。
想定した魔物から近い位置の村をいくつか指定する。指定した村から村の割り当て分出してもらう、お休みの村はまた別の訓練の時にに参加してもらうということにしました。
期日の1週間前にお触れを出しました。実戦のほうがむしろ余裕あるけれども、今回は訓練ですし魔物の想定ですから、少し時間に余裕ないとこまで含めての演習にしました。各自が汽車で移動。新しい町の郊外に集結します。
領兵が自動車化部隊に500、そうでない騎兵歩兵が500、歩兵は中隊ふたつに分かれてます。合わせて千。村人が5千。暇な獣人さんたちは日当出すからおいでと言ったら口コミでなんとその数5千。正規兵も村人も不要で、獣人だけで強襲掛けたら大体の場合勝てるのではないだろうか?
ロドリゲス司令官からお達し。
「魔物狩り訓練を始めます。今回はサトー領の外で魔物が出て、こちらへ向かってきている想定です。
2泊した先にいる魔物を攻撃に出ます。では出陣。」
バス、騎兵、弓兵槍兵盾兵混合の歩兵、村人の順番でぞろぞろと出陣する。村人の班分けと武器を渡すのに意外と時間がかかる。どの村から何人出るかは事前にわかっていたんだが、実際にやってみると、受付でもたつく。
あと、村人5千人分の武器。具体的には長槍なんだが、これを用意して渡す。確認に、もたつく。
ここら辺管理しきれないから、普通は村に丸投げなんだろうな。武闘派のキッサでもそうだったって。
でも槍の長さとか統一したいし、そこまで村に任せちゃうのも違うと思うんだよねえ。結果として自分の仕事を増やしちゃってるんだけど、そこは仕方がない。
「獣人さんたちは好きに狩りをして、あとから合流してください。」まあ、それしかないよな。
計画では、只人が6千、獣人は千ぐらいで考えてたから、補給を急遽ふやさなきゃなんない。
その日は集まって、ちょっと移動して野営するだけで終わり。5千人が野営するっていうだけで、野営場所の設定とか、細かいノウハウがあるみたい。トイレは穴を掘り、埋めさせた。
ここは線路の高架より外だ。つまり城壁の外で、身を守る壁はない。魔物がいつ襲ってくるかわからなない。訓練なのにホンモノでたら、魔物の種類によっては怪我人が出る。
野宿じゃあ、かわいそうだ。砦を作る。6千人こもれる砦というのはなかなかのおおきさだ。あとで何か有効利用しよう。今は考えつかない。
いつも晴れてるから塀だけでもいいんだけど、屋根も付けとく。
獣人砦も作った。差別はいけないから同じものを横に建てた。夜行性で狩りしてたみたいで、要らなかった。
2日目。6千人の砦ふたつではなくて、千人か2千人の砦をいくつも作ったほうがあとの使い勝手がよかったかもしれない。
1万人以上が朝飯を食う。1万人以上がトイレ。
また移動。昨日は慌てて砦作ったから、今回は俺が先回りして、少し離して3千人の砦を4っつ作っておく。日の出とともに起きて、朝飯作って食べ終わって洗って出陣。これまた結構かかるな。
こっちの世界の人はロドリゲス含む領軍も農民もわかってるみたい。俺だけか、行軍の苦労分かってなかったの?
今回は敢えて、トラック部隊が先回りして飯を作ることはしない。実験だからね。ましてや村人をバスに乗せて移動もしなかった。そのうち村人をバスに乗せて移動する実験もしないとなあ。
本当の戦争になったら、兵士は歩く、補給はトラック。あるいは兵士はバスに乗って移動。村人もバス。
昼休みに又2時間。飯を作る、飯を食う、片つける。少し休む。このペースなら馬車でも行けるねえ。俺が水供給してるけど、水も運ぶとか、水のある場所に休憩とかだと厳しいよねえ。
3時くらいかな、はい、俺が土で作ったアースドラゴン模型に到達しました。200人ずつぐらいの中隊単位で槍で模型を突いてもらう。渾身の力で。本気で。
ロドリゲスさんの指示で陣形を変えたりも訓練。というより実験。
これ、魔物戦の前提でこうなんだけど、対人戦だとどうなるんだろ?相手が密集隊形で突っ込んできて、こっちの陣形どうしたらいいのかな?
日没前に今日作った砦に戻ってこもる。トイレの穴を掘り、飯を食って寝る。
3日目。最初に泊まった砦へ引き返す。前回は考えなしにトイレの穴を掘ったので、砦に近すぎたり浅すぎたりしている。今度は考えて掘る。6千人のトイレだから恐ろしく深いものを200作っても30人に一つ。400掘って15人に一つ。獣人は勝手にそこらでしてた。
トイレ問題があるから、普通は行きと帰りは別ルートにするそうだ。なるほどなあ。略奪の問題とか、逆に補給の問題とかもあるだろう。行きに村の食糧奪いつくすなり買いつくしちゃったら、戻りは別の村に行くしかない。
6千人分の補給が今まで三日間。のべ1万8千人工。(にんく)。獣人は考えまいことにした。一つの村で支えられるかという問題がある。お金を出して買うとしても略奪するとしても、そもそもどれだけの蓄えが村にあるかだ。
100人の村で豊作の年に収穫期納税直前なら250日×100人分で2万5千人分くらいの余剰ならあるかもしれない。村を潰す気で全部収奪しても5万食くらいだろう。一方的な侵略ならともかく、領内でそんな無茶はできないとして、税金代わりに1万人分くらいなら調達可能だろう。
事前の集積がいかに大切か、現地調達がいかに無謀かわかる。
トラックが無くて全部馬車で補給するとなると大変だろうな。最低でも水と食事を用意しなきゃなんない。事実上、無理。
うちならバスに領内のおかみさん連中乗せて飯炊き依頼する手もあるし、他領では頼みもしないのに怪しげな若い女性もついてくるそうだ。
そういう人たちまでひっくるめての補給。
4日目 いろいろなことが分かったので、集合地点まで移動して解散。こういうことは予定より早く終わるぶんには恨まれないからね。
日当出す相手にはちゃんと予定の日数分出します。
お読みくださりありがとうございます。
誤字の指摘いただき幸いです。
意図して書いたものもあり全てを受け入れるわけではありませんが、助かっています。
引き続きお願いします。
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