異世界召喚! 異世界金融改革
異世界に召喚された俺は新しく金貨銀貨銅貨を作る。だって、色々面倒なんだもん。
あんまりにも移民が多すぎて困っている。ボルケーノ領の農地開発をしてやった。土を出すだけでなく、ため池から水路から色々やってきた。
難民が多すぎて対応できないので、そろそろ三バカに押し付けようとしてる。
一部はそっちに行ってもらおう。すでに他にもサハラとサキューには畑作ってある。三バカ領内に畑が揃った。
ボルケーノからお礼に鉱山の跡地を貰った。廃鉱跡地の使い方はもう決めてある。金銀銅オリハルコンや良質の鉄がここで取れたことにして、商人たちが売りさばく。
おれが(こっそり)廃鉱跡地で出してるだけなんだけど。俺んちで出すの不自然。廃鉱とはいえど、鉱山から鉱石出てくるのはおかしくない。
気が付いた金属をガンガン出す。金銀銅鉄オリハルコンニッケルモリブデンクローム錫亜鉛鉛アルミニウムほか。
しかし何度やっても宝石は出ない。
出した金属は商人の言い値で売る。すでに精錬されて運べる形になっている延べ棒を、儲けが出る程度に買ってもらってる。金属に関しては、ボルケーノに鉱山税を払う。とりあえず売値の1パーセントと決めた。買い取り手のない金属はドワーフに回す。
王様に頼んで金貨銀貨銀貨も鋳造する。貨幣価値を定めたい。
「王さま、金が大量に出てきたこの時期。この国の貨幣を改めませんか?下々の者は銅と銀の相場が変動するので難渋しております。計算が苦手なものは、悪い商人に騙される例もあるようです。」
この王国は金銀変動相場制というか、金銀銅の値段が変動している。にせ金貨も多い。銀に至っては銀貨が少なく、小さい銀の粒をはかりで量って取引してる場合もある。銅貨は摩耗していたり私鋳銭混ざっていてめちゃくちゃ。
商人たちですら計算に難渋している。
俺がこの世界に来て、はじめてお金を使ったのは離宮の町だった。お買い物実習の時に小金貨も渡された気がする。そのあとは銅貨しか使ったことなかった。人間が小さいんです。スンマセン。自分では買わず、他の人の買い物を見てました。
あのとき、金貨と他にいろいろ渡されたのはそういうことか。単純な10進法じゃなかったんだな。だからくずしといてくれた。そう言ってくれよ。言われたのかな?
それから今まで、俺は爵位はあるけどド庶民な暮らししてたから、気が付かなかった。もちろん、俺以外はみんな知ってた。
そこで、王様の許可を貰って、王定金貨・王定銀貨・王定銅貨を定める。交換比率も定める。
今まであった金貨とは別のものと認識してもらうように八角形にした。形から入ろうね。今通用してる小金貨よりデカイ。
王定銅貨が21世紀初頭の日本だとでいうと100円ぐらいか。単位は王の名前ジョーサントス王から金貨の名前も決める。
え?この人そういう言う名前だったの?書類みても王としか書かれてなかったからしらなかった。
俺さあ、名前おぼえられない欠陥があるんだよね。たぶん。異世界連れてこられる前から。
代官さんのロドリゲスさんも、サトー館のジェームスさんも、人名知ったのかなりあとだからなあ。そうかージョーサントス王っていうんだ。先代はなんていう王様だったのかあとで キャシーにでも聞いてみよう。
それはいいとして、金貨には1ジョーという字と王様の肖像いれる。そこから10進法だよな?やっぱし。
周りに王国のモットーとかあるのかと聞くとないという。金貨に刻むのにそれらしい言葉を神官長に考えてもらって入れた。「人々とともに」聖典にある言葉なんだそうで、国民は皆知ってるらしい。
あと、偽造防止にギザと年号、それとなんだろうな、アー!神殿が鋳造したことにすればいろいろ話が早かったかも。
もう遅い。
次からそうすっかな。
勝手に作るとどこかから怒られるから、それぞれの見本を各所に配る。ボルケーノから金が出ましたんで、という形になってる。
ボルケーノは王国造幣卿、という役職になった。大蔵財務大臣とは独立した部門の長。貨幣の流通を増したいからね。中央銀行は独立した機関にしないと、貨幣改鋳してごまかしますから。
ま、俺が貨幣作るわけでもなくボルケーノが作るわけでもない。ドワーフの見習いが片手間にやってるんだけどね。
ボルケーノの旗には、造幣卿を表す金貨を加える許可まで貰った。初代造幣卿なんで退任してもつけっぱでいいらしい。
ボルケーノ軍、ゼロだけど。旗を新調する金は無いから、今までの旗に奥さんが紋章を縫ってる。ボルケーノがうるうる泣きながらその刺繡する姿を眺めている。なんでそんなことまでうちの館に来て、広間でやってんの?三バカ、うちの館の広間を自分ちの居間と勘違いしてないか?
もうすぐ、うなるほど金を持ってきてやるからな、奥さん。
しかし、これ、むちゃくちゃな名誉らしい。旗に一つ模様増やしていいのが名誉なら、俺が王ならなら片っ端から模様許可配りまくるけどなあ。
単純な十進法だと、超高額貨幣まで作るか、超フザケタ重さの貨幣を持ちあるかなきゃなんない。それも気の毒なんで、変則的にした。
金貨一枚が1ジョー 100サントス。八角形。
銀貨一枚が1サントス。20ドーセン。円形、穴あき。
銅貨一枚が1ドーセン。大体100円くらいで流通してたんで以前のとほぼ同じに作った。庶民は混乱しないようにしてやらないと貨幣経済そのものがうまく作動しない。
大きさも少し変えてある。金貨大きい銅貨小さい。
逆算すると日本円価値は、銀貨一枚1サントス2千円。金貨一枚1ジョー20万円。
小判型の大金貨もネタで作った。一枚 10ジョー200万円なぜか10リョーと訛って使われる。1ドーセン以下の単位は面倒だから今回は手を出さない。そのうち、ね。
珍しく異論ないから、まず全国の貴族にいくらかばらまく。俺からではない。そんなことしたら、また、ねたまれる。妬みほど恐ろしいものはないので俺はカネを配る側ではなく、ペコペコしてるがわ。
新しく貨幣を作ったから、まずは王様から貴族に下げわたしという、てい、で金を配る。臨時ボーナスという形で王様の権威を高めておく。
あまりに摩耗したら王国が買い取る。というお触れも一緒に出した。古い金貨も新金貨に交換します。
世間の常識とは逆に、今までの金貨より高品質にした。金はあまり純金に近づけるとやわらかくなる。へりをジュエリープラチナ合金で補強して、中身がちょっとくぼんだ金。金の含有量も純度も高い、偽造しにくいものができた。さすがドワーフ。
ものは作ったが、これを王国内に流さなくてはならない。
そんな複雑な作業は、この国の貧弱な官僚機構には任せられない。いつもの出入り商人に丸投げ。
「スンマセン、今度金貨を新しくしまして、銀貨銅貨も作ります。交換比率は一定です。変動相場制だと面倒でしょ?」
「「「「ええ、まあ。」」」」
「相手の無知につけこむ悪徳商人もいるだろう?大きく相場が動いた後その情報が入っていない辺境で大儲けとか。」
「その場の儲けしか考え無いやつらも、なかにはおりますなあ。」
「で、今までのお金と新しいお金、誰が換えるかっていう。役人あてにならないし、貴族はなおあてにならない。」
「「「「ええ、まあ。」」」」
「だよね、だから皆さんにお願いしたい。」
「「「「ええ????」」」」
「形としては、国から、あきんどさんたちにお金を貸す。形としては、ね。」
「はあ。」
「で、新金貨で貸すから、旧金貨で返してもらいたい。」
「「「「ええ????」」」」
「損はしないように、手数料とかなんか考える。逆に、そこらへんの知恵貸して。旧貨幣が出てきやすいような新旧交換率もお願いします。」
「両替ならば仕事として確かにしてますけど、まさか新旧金貨の両替とはねえ。」
商人たちも驚いている。
「大金が動くから、知らない商人には任せられなくてねえ。他の商人から妨害とか入るんだったら、そいつらも巻き込む仕掛けから考えて。他の商人を潰すつもりはないから。」
「今まで存在しなかった業務なので、横やりはなさそうです。
貨幣の改鋳をしても、金の保有量で相場がきまっていって、新旧併用で流れてるもんなんですよ。
新しく金貨を出したからといって、金貨同士の両替は今までなかったでしょうなあ。だから両替の規模が今までとは違いますね。」
「お殿様、また神殿巻き込んだ方がよさそうですね、ちょっと考えます。」
「スンマセン、タノンマス。あとさあ、これ、教えて?」
「なんでしょう?」
「今、世の中にあるかどうか知らんけど、だれかのお店でやってるかどうかも含めて教えてもらいたいんだけど、決済の方法ね。
例えば、領地で出来た布をあきんどさんたちに買ってもらいます。
んで領都じゃなくて王都のサトー館への支払い。
やってます?」
「サトー様でしたら致します。しかし、王国内ならどこでもやるかと言われますと、難しいでしょうなあ。」
「えっ?どうして?」
「王都とご領地の距離、それと商館の規模によるでしょうね。サトー様のご領地は王都とは随分離れてらっしゃるから、両方に店がある商人でないと難しい。ま、それはわたしたちがやります。
あの、申し上げにくいのですが、お貴族様とは言った言わないになるのがたいへん面倒でして。
例えば布3000本でしたら3000本をその場で決済しないと、あとで4000あった筈だなどと難癖をつけられまして。」
「ああっ、俺、そういう勘違いあるかも!
あったら言って、大体俺の勘違い。」
「いえ、こちらにも帳簿が残っていますから、お殿様の場合、大体、その、奥様がその場を収めてくださって。わたしたちが損したことはないです。
ですからこうやってお取引をお願いに又。
他のご貴族様ですとその場で決裁出ないと後が怖くて。」
「あー、そんな事情があるのかー。そうか、スンマセン。
じゃあ、貴族様は別ね、なし。えーっと、その、貴族様からじゃない場合で考えてほしい。
商人同士、差し引きで相殺するとか、さっき言ったみたいにこっちのお店で荷を受けてあっちのお店でお金を決済とかは?」
「よほど信頼しているか取引の多いお客さん、まあ商人同士になりますが、それならあります。
売り買い差し引きで相殺、あるいは荷物の動きのお店と支払いのお店が違うっていうのはありえますね。」
「おれがさあ、今考えてるのは、それよ。それの先。
いい?
たとえば、よ。仮に。王都のお店でお金を預ける。手数料は払うとしてもね。で、サトーのお店でお金おろす。そういう仕組みがあると、道中は全部の金を持たなくていいだろ?」
「たしかにそうですねえ。」
「王都とサトーだけなら早馬かなんかで連絡したらいいじゃん。こっちの帳簿というか書類も動けば騙される心配ないでしょ?列車が通れば列車で連絡すれば、翌日にはサトーでおろせる。」
「その場合、人も一日で移動しますなあ。」
「スンマセン。そりゃそうだ。でも、その線でかんがえてみてよ、出来なきゃできないでいいから。」
「わたしたちがしてもいいのですが、お金のこととなると、お金を扱う人間が呑み込まれてしまうことがおきます。
大金を扱っていると、それに呑み込まれてしまって、人を人と思わぬ商人が出てきます。お金があれば大抵のことならできますからね。自分の力だと勘違いする者もいます。
逆もあります。お困りの時に高利でお金をお借りになる。お互いに承知のうえでの貸し借りです。ですは、貸した者が恨まれることが往々にしてあります。こちらはこれは借りた人間が呑み込まれてしまう例でしょう。
ですから、なるべくなら、これも神殿に一枚かんでいただいたほうが。」
いつもは神殿をバカにしてるくせに、こういう時は信心深いのか。あるいは、宗教的権威の利用価値を価値として正確に見積もってるだけか。
「王都の地方神殿にお金を納めていただく、ま、あたしたちが扱うんですが。
で、サトー様の新しい村の神殿でおろす。
お礼に決まった額をお納めする、わたしたちは神殿から手数料を頂く。
この方が反感買わないでしょうな。」
「そうか、お任せだな。だけど、あんまし神殿におんぶにだっこもねえ。神殿が力もつのイヤなんだよね。俺、先代の神官長に呪い殺されそうになったし。
何もかもはいっぺんにはできないだろうから、ちょっと考えといて。」
為替も銀行預金もないのか。それは大変だ。為替ってフエニキア人だかメソポタミヤだかですでにあった筈で、こっちでも誰か発明してると思ったんだけどなあ。
銀行かあるいはゆうちょ窓口みたいなのを全くのゼロからつくらんといかんのか。いまやゆうちょも銀行だけど。
異世界通貨革命と異世界金融革命、かも。むろん急な改革は社会への影響が多すぎるからじわじわね。
コンビニでスマホかざして決済が理想だけど、そこまでひとつひとつ進めよう。食い物屋でもなんでも店で値切って、決済になってまたこの銅貨だとどうだこうだが異常にわずらわしい。
俺には財務省も銀行もできないからアイデアだけ出す。アイデアといっても、前に俺が居た世界はこうだった、だけなんだけどね。
ゼニカネの将来の話はともかく、俺は金属を出し、領地に水やりをし、夕方になれば飯を食ってフロに入って寝る。
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