異世界召喚! 異世界学校新入生
異世界に召喚された俺は鉄道作ろうとしてんだけど全然進まない。
他の貴族の子弟をサトー領学校にお迎えすることになった。
三バカの家族が、揃って学校に行きたいという。
「サトー様、一度ちゃんと勉強したいのです。」
サハラの子が言う。みんなうなずく。
スゲーナ。オヤジたちはただの大食いのおっさん、ただの酔っぱらいだけどな。親見て反省したのか。
「スンマセン、お父さんたちはなんて言ってるの?」
「これ以上お世話になるわけにはいかないから、学校の掃除係かなにかを申し出て、時々廊下でぬすみ聞いたらどうかと申しております。」今度はサキューの子。
せこすぎるのか律儀なのかわからないぞ、三バカ。
「それは勉強の効率悪いなあ。いいよ。入りなよ、学校。お父さんうるさかったら、形の上では掃除係でもいいよ。けど、本当は生徒な。いいけど、どうしたの?なんで?」
「わたしたちは改めて学ぶ必要があると思いました。」
サハラ、小柄だなあ、何歳なんだろ?年もバラバラな5人の子どもたちはうなずく。
もともと親戚でもある5人は、うちの見学で友達になって、何回も話したんだそうだ。
あらためて聞いてみたら、三家ともお金がなくて、家庭教師雇えない。この数代は、親が子供に教え、兄や姉が妹や弟に教えていたんだそうだ。伝言ゲームで失伝してしまったものがあるかもしれない、授業料払うから学ばせてくれという。そんなに難しい授業はしてないんだけど。
「ああ、向学心ある子は大歓迎。ただし近所の貴族だからといって特別扱いはしないよ。特別扱いといえば部屋くらいだな。他の子は家から学校に来てるだろ?みんなうちに泊まってうちから学校行きな。5人くらいなら何とかなるだろう。」
「さっきの話に戻ると、授業料はただ。他の子もそうだから。誰でもただなんで、心配するな。
学校は午前で終わるから、よかったら午後は役所の実習生しなさい。実習生っていう名のしたっぱね、こっちは。他の領のやり方を見とくのもいいでしょう。
まあキッサ方式から少し改良してるだけだから皆さんところとそう変わらないかもしれない。
飯は考えとくから忘れられてたら言って。」
キャシー校長に学校の先生呼んでもらった。三バカの子どもたちは何ができて何ができてないか、テストをした。全員だいぶ偏りがある、その偏りが家によって違うので、本来は家庭教師を全員につけたほうがいいとの助言を受けた。
はじまりの村で工房建てたのとおんなじ状況かあ。失敗国家の失敗パターンてやっぱり教育に集中するんだなあ。
三バカの子どもたちに、家庭教師は無理だけど特別授業とか個別指導教室ならやるよ、といったら、それこそ固辞された。
「そこまでして頂いたら、実家に帰った時に本当に怒られます。どうか平民か移民くらいの扱いでお願いします。」
まあこういうところに差別意識が出てるんだよね。まあいい。
「いま、平民か移民くらいの扱いといったが、まさにそれだ。近所の貴族だからといって特別扱いはしない。平民か移民くらいの扱いしかしない。学校では平民か移民くらいと机を並べて勉強してください。」
「はい。」
「斬れば血が出る、机に向かえば眠くなる同じ人間だと、そのうちわかるよ。お勉強のほうも平民や移民の中にはきみたちよりも成績がいい子がたぶんいる。もちろん成績がよくない子もいるだろう。一緒に勉強したら、そこらへんも身をもってわかるんじゃないかな。
若殿様お姫様あつかいだと見えないものが学校では見えるかもしれない。」
「はい。勉強します。」
学校の先生と話し、一年生から入ってもらった。
キャシーが言うには、出来る科目の場合は抜けて上の学年の授業に行ってもらいます、と学校の先生に指示してあるそうだ。
そこらへんはうまく時間割で対応してくれるそうだ。
三バカジュニアが大きすぎて浮くこともないだろう。
うちはそろそろ年齢別になってる。7歳になったら入学。しかし。移民の子はもっと上の年齢でも新入生に入れてる。そもそも飛び級もありの学校なんで、そこらへんはゆるい。
「ところでキミタチが領地みたり従者に化けたりしなくても、いいの?従者はうちから貸してるのか?」
「はい。旧臣が何人か戻ってきましたから。わたしたちが学ぶ時間くらいはできたかと思います。」
そうだった。
三バカフアミリーは腹が満ちて、わずかながら使用人と領民戻ってきたら急に前向きになってきた、ということか。留学というよりは越境入学程度の距離感だけどな。泊まりになるけど。
かえすがえす飢餓はだめだ。教育も何も全部崩壊したら立て直しにものすごく時間がかかる。文化文明が滅びたら、べつのとこからべつの文化文明が攻めてくる方が多い。だがむしろその地域の復興には早いだろうな。
子どもを退出させる。
「いい子たちじゃないか。なぁキャシー。アタマどうだか知らんが将来は有望な感じする。
しかし、あの、相手の言葉を遮らないで聞く貴族しぐさはすげえな。こんな子供から徹底してんのか。」
「旦那さま、規則のマナーの基本でございます。」
「ギャー、俺、結構短気っていうか、もうさ、耐えられないんだよな。あの、長い貴族会話。なんで、昔の故事が突然出てきて、そっから話を論じるのかとか理解できなくて。
更に自作だか昔のだか知らんが詩の一節とか引用するだろ?韻を踏まれると翻訳の指輪ではバグる場合があってだな。
ま、お貴族の息子さん娘さんてああなんだな。
あーそういえば、韻とか詩とか歌とか、キャシーの方から教えてやって。そういえば君たちの家庭教師っていまどうしてんの?居場所わかったら学校に呼んだら?」
「旦那様、よそのお子さんの心配より、ご自分のお子の心配をお願いします。」
「えっ?こればっかりはなあ。異世界人だからかもしれないし、俺の方の何らかの事情かも知んない。こっちに飛ばされる前は独身で子供もいなかったから、わかんないんだってば。」
「ですから側室を。」
「なんだよ、側室側室ってさあ。俺の事そんなに嫌なわけ?」
「いえ、その、旦那様とのむつみあいは大きな喜びですし、旦那様のことは兄弟でお慕いしています。
側室に子ができても旦那様にはお仕えし続けたいのですが、しかしその肝心な子どもができないのが申し訳なくて。」
「何度も同じ話だけど、俺が元いた世界では結婚しない、子供がいないの普通になってきちゃってた。俺もそう。結婚してなかった、子供もいなかった。
40までひとりよ?独身。兄には子供がいる。奥さんもいる。弟には奥さんは居るけど子どもは居ない。できたかな?俺がこっち来たときは30過ぎの夫婦で子供いなかった。」
「それは前回も伺いましたが、ここはサンドフイールド国サトー辺境伯領です。」
「まあな、でも俺平民出身だし、アニキは領都の役人だったけど平民。まあ、家は継ぐんだろうな。文字通りのハウスとしての建物。ごくちょっとの農地。弟は世界を飛び回る商館の使用人で、まあ、サトー家なんてそんなもんよ。
キッサからお姫様二人も貰っちゃったから、周りも勘違いしてるけど、そもそもは落第勇者、失格勇者がはじまりの村貰っただけなんだし。
あとは河童パワー。」
「側室、だめですか?」
「キミタチに一途だけれども、まあ、ゼッタイというわけではない。そりゃあさ、よそでこっそりコソコソが今までなかったから今後もないとは思わんけど、今日の時点で側室は無し。3年様子見ようって言わなかったっけ?」
お読みくださりありがとうございます。
誤字の指摘などいただければ幸いです。




