異世界召喚! 一揆の相談?
異世界で鉄道作ろうとしてんだけど全然進まない。
領内は領内でどんどん細かい内政問題が出てくる。
代官さんが、ニコアさん、ンゴバさん、サラ婆さん連れて来た。
ニコアさんは村長を引退して自分の畑を見てる。この4人が揃ってくるって珍しい。
「ああ、なんかひさしぶり!スンマセン。」
「いえいえ、ご領主様にお話がございまして参上いたしました。」
「え?ご領主様に参上って、一体どうしました?
ンゴバさんおげんきでしたか?」
「いやいや、ご領主様に病を全部癒してもらってからは元気極まりないです。ありがとうございました。」
わりとかたい世間話が続くが、俺はそういうの耐えられない。
「スンマセン、皆さんでおこしって、一体どうしました?」
「御領主様と家臣の皆さまには大変よくしてもらってます。あの状態からよくぞここまで。」
(これ、そのあと、ですが、って続くパターンだ。)
「ですが、こちらの能力を前々から越えてしまっており、村を分けて新しく起こしていただいております。」
「んんん?それ、何か問題でも?」
「はい。いや、いえ。水は御領主様が下さっているので、水争いは無し。
土地も御領主様が線を引き、すべて肥えた土地にして与えてくださっているので、土地争いもなし。
皆が豊かになりそのうえで代官様たちは熱心に村を回ってくださっているので、夜盗も最近は見たことがありません。」
「スンマセン、ま、家臣はよくやってくれてると思うけど、まあ、そりゃよかった。
で、何が問題?
みずくさいなあ、初日にお粥くれた仲じゃん。」
「ご領主様にはあの折、ろくなおもてなしもできず申しわけなかったと今でも思ってます。ぎゃくにそれ以来お世話になりありがたさ以外ありません。」
「スンマセン、そろそろ本題に。ニコアさんもンゴバさんにばっかりしゃべらせないで、頼むよ。村の話ね?」
珍しく歯切れが悪い。
「スンマセン、相当まずい話ね?代官さんお願いします。」
「わたしのところで話が済まずにご領主様にまでお話が上がってしまい、不徳の致すところです。」
「スンマセン、話が見えないんで、はしょってくれ。」
「要は村同士の寄り合いがしたい、とのことです。」
「スンマセン、全然読めない、それが何か問題なの?」
「ンゴバが申しますに、村同士の寄り合いなど、生まれてからしたことが無いそうです。
大昔、まだいくつかの村が周りにあったころ、謀反の相談くらいしかしたことが無いと聞いているので、許可を。とのことです。
無論、謀反の相談などいたしません、と、ニコア、それでいいな?」
「はい そのご相談を。」
「スンマセン、謀反の相談じゃないって。そこまで力説されると逆に怖いなあ。キッサではどうだったの?」
「村の代表が集まるのは年に二度でした。収穫を収めるお疲れ会の時と、新年のご挨拶の時です。」
「スンマセン、うちも、たしか、それ、やってなかった?」
「やっております。
やっておりますが、鉄道が領内くまなく通り、交通が良くなりまして、日帰りになりました。
その結果、旅の往復に、隣の村人と雑談の中で妥協点探る、という時間が無くなってしまいました。」
「え?そうなの?アッチャー、進歩の悪い面だなそれ。」
「鉄道が悪いわけではありませんが、その、話し合う機会が減ったというのは確かに。
意見を聞かれればわたしも賛成です。しかし私の判断でなんともという、おおきな話でしたので、ご領主さまの決済をお願いに謁見しました、」
「ナンダヨー、そのご領主さまの決済をお願いに謁見って、村の寄り合いってそんなデカイことなんか?
じゃあ、おれも即断できないな。あとで返事します。」
「「「ハハー」」」
「あ、代官さん残って。あと、うちの奥さん呼んできて。」
重役会議だ。
「スンマセン。代官さんが、ニコアさん、ンゴバさん、サラ婆さん連れて来て、何かと思ったら寄り合いしたいって。やっぱ役人に上げるまでもないこまごまとした話があるらしい。
俺がさあ、まずわかんないのは、寄り合いってそんなヤバイの?」
「村の代表が集まるんですよね?謀反の疑いありで全員捕まえたとします。処分すれば反領主派の主だったものは潰せます。うまくいけばそのまま沈静するでしょう。まあ、結果として煽るだけになりそうですがねえ。」
「スンマッセーン、ちょっと待って。
なんで反領主派が集まる前提なの??」
「ですから、そうじゃありませんという形をとるために、事前にロドリゲスまでお願いを出すという段取りを踏んでいるのではないでしょうか。」
「えー、そんなめんどくさいの?いいよ、殿は了承。それでこの話はいい?」
「「「はい。」」」
「じゃあ、同じ話題で次の話。俺はさあ、一歩進めて、村長会、サトー協議会、考えてる。」
「「キョーギカイって力比べでもするのですか。」」
「ああ、翻訳の指輪がバグったな、力比べ運動会競技も面白そうだけど、それは後回し。
村の中のことだけじゃなくて、サトー領全体のことも考えてほしいのよ。お役人任せ、領主任せっていうんじゃなくてさ。
サトー領全体のことも考えたらうちの村としてこういう提案しますとか。
領主から代官からの立場じゃ見えてないこともあるかもしんないし。」
「おおやけには、村長会。
本当のところは、隣近所の村とこそこそ利害調整したいんだよね、そもそも。
お疲れ会、新年、俺も出て酒出してる。飲めないからあいさつして飯食ったら退出する。俺がいなくなるのが合図で無礼講開始。その記憶はある。」
「あのあとエンドレスで飲んだくれてるのかと思ったら、終電で帰ってたのか。大失敗だったな、俺の。」
「「「そういうわけでは」」」
「代官さん、そういう趣旨だったらいいよね?
そしたら、村長会を、三日間ぐらいやってみる?
昼、役人も誰か出て、聞くだけ。あくまでも村長会。会のはじめぐらいは俺顔出すよ。
んで、村長会として領主に提言とか、村長会として村長会申し合わせとか。それはタテマエで、夕方晩飯からこそこそ利害調整会。
最初は実権はない、言いっぱなしの会。何回かやってみたら?
言いっぱなしで言わせてたら、だんだんと無茶は言えなくなってくるんじゃないの?
いつものパターンでお願いします。やってみて、やばそうだったらやめよう。とりあえず様子見で。」
「あっ、俺のいた世界では、領主国主は入れ札で選ぶっていう話したよね?
その上にむちゃくちゃエライ神様の代理の大王様がいるんだけど、そのおかたは政治には口出さない。
そういう偉い大王様はいらっしゃるにはいらっしゃるんだけど、ほかは大体入れ札。その人の家族以外みんな平民だから。
逆にいうと平民が寄り合いで全部決めてたのよ。村の中も寄り合い。その上の県て言うんだけどここらだと大きな貴族領クラスかな?100万人くらいいる県も代表が集まって寄り合い。入れ札で選んだ代表ね。1億の国も代表が集まって寄り合い。
70年くらいそれで問題なく回ってた。
なんでも入れ札の世界から来た俺は、なんでも領主が命じるのってすごく違和感があるんだよ。
今までの貴族は村に丸投げで、村の中でうまい事回してたんだろうけどさあ。うちが村に手ぇ突っ込んじゃった部分もあるじゃん、正確な住民名簿とか、土地台帳とか。
だからつり合い補正で、村人の意見も聞いたほうがいいかなあと。
民主主義、指輪訳せてるかなあ、多数決ね。領主の考えより一人一票で代表選ぶ。その代表がまた一人一票で入れ札で決める。
領主ひとりの考え、家臣何人かの考えより、何百何千の知恵のほうが上回るっていう考えだった。
ベラベラしゃべったけど、ここまででキャシー、どう?」
「旦那様の元いた世界の話を時々うかがっても、こちらとは違い過ぎて、わからない時があります。
ですが、三日間の村長会、やってみればよろしいのではないでしょうか?
わたしとしては領都と村の事務の範囲を変えた方がいいと思ってまいりました。一つの領都と一つの新しい村であれば、領都に出向くのは簡単です。
村が増えたのでいくつかの出張所も建てましたが、それでも村人はいろいろな登録や申請に出向かなければなりません。
今までは村人の読み書きのレベルが低すぎ、てとても村に回せる話ではありませんでした。しかしたった数年で学校の卒業生も増え、村の中でもある程度書類を作ったりできる体制が整ってきました。
そろそろ、少しずつ、村の仕事を増やしてもいい時期かと。」
「スンマセン。そんなんなってたんだ、領民が賢くなるのはいいことだな。でも、まあ、初回第1回目の議題にするのはやめとこうか。
代官さんはどう?」
「お嬢さまの言う通りです。謀反は私たちが見張りますから、村長会とその後の寄り合い、よろしくお願いします。」
「まあ謀反起こされたら、首謀者がわび入れるまで水を止めるけどねえ。スンマセン。じゃあそうしましょう。えーっと、村長会が開催可能な場所ってある?三日間貸し切りの。」
「神殿をお借りするか、学校の休みの時に集まるかしたらいかがでしょう?」
「うーん、どっちもあれだなあ。神殿はいつもお参りしたい人いるだろうし、学校もなあ。じゃあ、新しく建てるわ。別に町の真ん中である必要ないんだよな?
兵舎の脇に、50人100人座って話せる部屋建てればいいか。領軍だってそういう部屋あれば便利だよね。じゃあ、それで決定。
オッケーの連絡と日程の調整をニコアさんにお願いしといて。あと、はじまりの村は二人だして。ニコアさんンゴバさん。これは指名。」
というわけで、議事堂立てる。別々に旅館に泊まられては、夜の密談が大変だろう。みんな集まれる旅館もない。宿舎も建てる。結局、ゴージャスな兵舎になっちゃったけど、まあ仕方ないよね。
なんかややこしいことになって来たんで、金銀銅その他思いつく金属出しまくって、寝た。
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