異世界召喚! 鉄オタ王に物申す!
鉄道公園作ったんだけどうまくいかない
園内を走る観光用のミニミニ軽便庭園便鉄道を敷くとして、敷地どのくらい必要なんだろう?王立庭園なら離宮の近くのどこの空き地を使ってもよいと言われたんで、そうする。
まずは現地見学会だ。王都からなら離宮は近い。三バカ、暇そうな獣人、キャサリンナンシー、ほかぞろぞろ荒れ地をいく。人数は30人くらいでガヤガヤ話しながら進む。もう少し人数絞ったほうがよかったな。次回から人数減らして回数分けよう。
どこの空き地を使ってもよいと言われたんだけど、離宮からちょっと離れたら空き地というより荒れ地。街道から離れた荒れ地に作ることにした。現地見学会の意味はなかった。そこら辺の荒れ地。
こっちの貴族の遊び、庶民の遊び、全く想像がつかない。貴族の遊び、酒飲んで人のうわさわしながらマウント。庶民の遊び、酒飲んでバカ騒ぎ。それしか知らん。三バカは貧乏過ぎてあてにならなかった。
キャシーとケイティに聞いたら
「おじいさまもお父様も狩りはなさってました。」
っていうけど、たぶんそれ軍事教練兼ねてる。家康の鷹狩りだろそれ。
「女たちはカードを使ったゲームも致します。」
それもここでは難しいなあ。
庭園のほぼ外周に小さいけれども本物の機関車が曳く軽便鉄道を走らす。超狭軌ね、最初に出したまたがる機関車ほどじゃなくてちゃんとせまーいけど座って乗れる客車引けるやつ。
そのための庭園だから。王様またがらすのもなあ。
途中わざと一駅入れる。合計二駅。単線の一方通行。カーブのRはどのくらいなら許容範囲なんだろう?
あんまり乗ってると飽きるかな。大体の線路の長さはとりあえず10キロと決まった。R次第でここら辺も変わる。荒れ地だからああとで何とでもなるし。
単なる円形の線路をただ庭園鉄道が走るだけでは退屈だろう。時々ショッピングモールで青い顔の機関車見かけたりする。あれは大人にはしんどいな。リピーターを考えるといろいろ複雑にしたい。
線路の形からして複雑にする。カプセル型を基本として左右カーブ付き。そうすると線路の中があく。
王立庭園だから、全国大庭園を建てたらいいか。まず、うちの国を模した庭の中に、全貴族がそれぞれ受け持ちで小さい庭を並べる。公募は線路が決まらないとできないんだけど、いまから内内の話をしておく。断る奴いたらそこは空き地。
当初爵位に関わらず20メートル四方を1区画を相談したが、大反対が出て約30メートル四方、ただし高位の貴族はその倍にした。
そのくらいで反対収まるわけ?維持できるの?定期的に王様が見に来るよ?
内容がかぶると俺が責められそうで嫌だから、各自予定図を出してもらいそれぞれで調整してもらう。なんにせよ線路できてからだからな。
うちの領内でミニ機関車走らせて、脱線の限界とかのデータがそろってきた。ミニ機関車の軌間で40キロで走らせたらこのくらいのカーブで脱線する、20キロだとこう。わかってきた。
一応、40キロでも絶対脱線しないつくりにして、20キロで走らす。本当ならカーブの前は制限速度はこう、直線はこう、それでいいはずだけど、事故起きない自信ないから一律20キロにしといた。
リアルジオラマの中を行く庭園鉄道ができあがった。機関車も客車もドワーフが作った一品もののトラックで一両づつ持ち込んだ。でも、まだ足りないな。観光用の軽便鉄道と庭園だけではいかにもつまらない。
アトラクは多いほうがいい。鉄道遊園では弱いから、乗り物遊園地方向へ広げよう。ライド物を増やす。
ライド物といっても俺たちが作れるものはかぎらっれている。園内スキップ用に電気バス走らそう。うちのドワーフは既にデイーゼルエンジンを完全に自分のものにしている。ガンガン魔改造を開始してる。列車輸送トラックまで作っちゃったくらいだ。
戦車を分解してから、畜電池とモーターと発電機も理解してる。自在継ぎ手、トランスミッションほかいろいろなものも戦車分解して理解しちゃった。彼らにすでに素地があったから新技術を見てわかるんだな。
俺なんか何件も工場労働したことあるけど、全くわからない。電動ドリルがなまってきて切れ味が悪くなってんのに力入れたら折れるよ、とか、ドワーフに全く役に立たないことしか伝えられない。
無線は真空管の原理が理解できないから複製できない、もう少し待ってくれといわれてる。
こいつら、鉄道も電化できるんじゃないか?
話をライドに戻せば、電気バスはバス停決めてのろのろ走らせれば、歩き飽きたら乗ればよい。園内無駄に広いし。
ドワーフから「王様にも運転させてあげたらどうだ?なかなか面白いぞ。」という提案があった。
バスは大きく重い。事故起こした時につらいからさらに出力下げまくって、王様でも運転できるレベルのノロノロ電気自動車も園内に置いた。囲いの中を走るサーキットタイプ。走ったほうが早いくらいの安全設計だけど。パンダの形にすればよかったか?しないけど。
あとなんだろうな?室内で鉄道の仕組み展示して鉄道博物館的な教育面もあってもいいか。
識字率低いから看板書いても駄目だな。実演員のトークに期待しよう。鉄道技術とモーターを利用したローラーコースター。妄想は膨らむ。
王立だと、王国の歴史館もたてとかないとまずいか。王城に余ってないかな、歴史の絵。要らないならここに掲げておけばいい。
予定した工事が終わってもまだ半分以上あいてる。
水を張ってごまかそう。ボート池。海には面しているけれども大きな池も何もない乾燥した国だから、水遊び喜ぶよね。
浅い池を掘って船を浮かべた。泳げる人間が極度に少ないからね。池を鑑賞する小屋も建てる。
水源考えたら、うちみたいに温泉引けばいいんじゃん。ガタロウさんに聞いたらここらにいい水脈はないらしい。温泉はあきらめた。例によって敷地の横に丘を作ってため池作ってそこから池に引き込む。
浅い池が干上がりそうになったらため池から補充すればいい。
遊園地と丘と離宮の町をぐるっと城壁で囲めば籠城用の要塞になった。非常時にはため池の水も使えばいい。この乾燥した地域では、とにかく、水、なんだよね。
あとのアトラクションは順次増やしていけばいいだろう。周りは荒れ地だから、あとからなんとでも拡張できる、
あと、俺は気が付かなかったんだが、鉄道の線路のレールからして貴重品だから、警備を置かなきゃなんない。とられちゃう。
うちの領内は獣人に巡回してもらってたが今度はそうはいかない。獣人差別がすごいからね。
警備は近衛兵から人を回してもらう。早速王立庭園の強みが出た。離宮外苑とかそんな位置付け。
〇〇〇 〇〇〇
鉄道公園が完成した。予定通り警備は近衛兵から人を回してもらう。離宮が広がったという理解で離宮警備隊から人が出る。彼らの仕事を増やしてしまって申し訳ない。
警備隊の特権で休園日には整備点検の名目で遊んでいいようにしといてくれと王様に頼む。警備隊員が機関車の構造を理解し簡単な修理までできるのは将来役に立つはずだ。バスの運転経験もそう。
サトー館の人に探らせてるが、貴族間では鉄道公園の話が全く出てこないそうだ。何日たっても噂にならない。どこへいっても藪蛇でサトー酒くれと言われてきたらしい。
警備本部にいって警備隊長さんに聞いてみた。
「スンマセン、ご無沙汰してて。鉄道公園大丈夫すか?」
「それなんだがなあ。王様がドハマリしてて、サトー様からも奏上していただけませんか?
乗るだけじゃなくて、宮廷画家呼んで乗ってるところを描かせてるんです。何周もしないと書けませんよね?何周もなさってらっしゃる。」
オイオイ、乗り鉄の他に撮り鉄要素まで刺激しちゃったのかよ。この場合は描き鉄か。描かれ鉄。ヤベーな。当然貴族呼ぶことなんか忘れてるらしい。
近衛騎士団長というより、警備隊長、ボディガード側近一号になっちゃってるのね、貴族がだれも言うこと聞かないから。
早速謁見。
「スンマセン、王様、鉄道公園どんな感じすか?」
「ヤー、オモシレー。機関車毎日乗ってるよ。でも危ないからって、二両目から先絶対行かせてくれない。サトーからも言ってよ。王命だ。」
ずいぶん軽い王命だなあ。冗談なんだろうか?笑いどころが分からない。
「おそらく王様にもすでにご説明があったかと思いますが、あえて重ねて申し上げます。あの機関車という物の仕組みそのものに危険がございます。
高温の蒸気をあの鉄の中の釜でおこし、それを吹いて進んでおります。
ですから機関車には爆発の危険がございまして、機関車と一両目には王様はお乗せしないことにしました。スンマセン。万が一のことがありますと俺まで処罰されてしまいます。スンマセン。スンマセン。」
「えー、サトーがそんなに言うなんて、そうなのか。
機関車の運転て命がけなの?ますます乗ってみたいなあ。」
「まずは爆発しませんが万が一のことをお話しています。
では一度きり、わたくしが運転します。ここで王様の名に懸けて一度きりというお約束をしていただければ、わたくしサトー、警備隊長、王様の三人で乗りましょう。警備隊長には万が一に備え、ポーションとエリクサーを持っていただきます。また線路沿いには近衛にもポーションとエリクサーを持って並んでいただきます。
それでよろしいか?」
「そんな大層なことなのか?」
「「ハイ」」
俺はSLのポイラー爆発って見たことないけどね。報道すらな記憶にない。そもそもSL自体がもう少なくなっていた時代というのもあるが。帰省する時に国内線飛んでいてジェットエンジンのタービン爆発だって見たことない。でも、まあ、安全率取っとかないと。ヒヤリハットよくない。
「わたくしサトーは園内バスなら運転したことありますが、機関車は運転したことがありません。数日、運転に練習ください。
それと、機関車に乗っていいのは本当に今回だけです。
それから、一度機関車に乗ったらほかの貴族も偉い順に招待してください。ホント、頼んます。貴族説得のために公園作ったんですから、もう。ドーモスイマセン。」
公園いく日約束して数日必死で練習。まあ、釜の温度、蒸気圧あたりを気にしてればいい。王様には言わなかったが、安全弁が危険な圧力を逃がすようにいくつもついてるからね、制限速度守れば大失態はないだろう。
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そして天覧運転。天気は曇り。機関車の運航に天気はあまり関係ないが、線路端で絵を描いている宮廷画家と、ポーションとエリクサーを持って警備している兵隊さんにはいい天気だろう。運動会日和という奴だ。
「王様、おはようございます。王様と隊長さんはこれを着てください。」王様のほうが先に来て待ってた。
革のツナギ、帽子、手袋、安全靴、顔の覆いを渡す。
「む、これは大変珍しい魔物の革だな。こどもの火トカゲか。」
「さすが近衛騎士団長、正解です。そのくらいしないと爆発があたった時にエリクサーまでたどり着けません。」
「今のうちに王様にお願いがあります。警備している兵隊さんたちに渡した薬ですが、使わなかった場合は彼らに渡してやってください。転売するもよし、家族か誰かに使うもよし。戦のために取っておくもよし。
王様か隊長から終わったあと一声かけてやってください。彼らの分までトカゲ服は用意できませんでしたが、彼らだって命がけなんです。」
「よし、わかった。隊長に任す。」
「スンマセン、ではこちらへ。」
狭い機関室に三人乗る。暑いうえに暑苦しい。
「王様、この釜で湯気を作ってそれで走ります。すでにほかの者が準備を済ませております。釜の中の油は燃えていて、蒸気はいい圧力になっております。グツグツ煮えたぎってるとお考え下さい。」
暑いな。
「おお、そうか。」
「スンマセン。これが汽笛です。手袋のまま引いてください。」
「おお、そうか。」
ピーと鳴る。もう、満面の笑顔。俺、暑いんですけど。だから領内の試運転以降機関車に乗らなくなったのを思い出した。
「周りに合図を出したので出発です。こちらのこれを1のところまで引いてください。」
「おお、そうか。」
蒸気がピストンに送り込まれ、シューッと音がする。
「3のところまで引いてください。」
「おお、そうか。」
聞いてないだろ、こいつ。ドワーフもこうだったな。上の空というより、天にも昇る気持ちという奴か。鉄オタが機関士体験。そりゃあアガルんだろうなあ。
ゆっくり加速を始める。レールの継ぎ目がガタンガタンいう。ああ、昔の鉄道ってこうだった。
「このメーターで速度が分かります。10になったらこれを2まで戻します。
今日は俺が機関士で慣れてないですから、ひと駅飛ばします。」
「おお、そうか。」
「はい、10になりました2まで戻してください。」
惰性で走らせ、巨大ジオラマを一周して戻ってきた。汽笛を鳴らして合図して、後ろのブレーキ手がブレーキかけて停車。まず釜への油を止める。蒸気も抜く。給水とめると空焚きになって大変なことになるからそれはするなと言われている。
ホームに降りてへたり込む。誰も死なないですんだ。あとの始末は本職に任せた。
「じゃあ隊長さん、警備してくれた兵隊さんにひとこと。お願いします。」
「あと、王様、次からは貴族も偉い順に読んで一緒に乗るの、約束ですからね。」
オッサン、全然聞いてねえ。仁王立ちしてニヤニヤしてる。ゾーンに入ってるというか、逝っちゃってるっていうか。
もう、別の王たてて、俺は機関士になるくらいのこと考えてんじゃねえのか?
あとはオヤジ三人でボート池へ移動。王様はボート池にもご執心。
「手漕ぎも味があるが面倒だなあ。ここにバスの動力で動く船浮かべて海戦ごっこしたらどうか。もっと大きい船を浮かべろよ。」
なんで海戦ごっこまで話が飛ぶのよキャプテン。しかも溺れないように浅い池なのここは。人の苦労を無にしやがって。何様だよ?王様だ。
「おいおい増やしていきましょう。
今よりも大きな船を浮かべるには、池をもう少し深くしないとなりません。
となると、水練ができないとまずいですね。
練習用のプールも作りましょう。おいおい、ですよ。そのうち。」
話を引き取って帰ってくる。隊長さんには要望集めといて1年くらいしたら改装するからと頼んでおく。何でも忘れちゃうからね。
〇〇〇 〇〇〇
それから一年。
貴族を順番に招待しているが、まだ平民に開放するところまで入ってないらしい。何百人もいるからね、貴族。何十人もまとめて呼べば早いのに。毎日呼ぶわけにもいかないからそんなもんか。一度呼べばいいってもんでもなさそうだし。
おかげで貴族社会の鉄道熱は上がりっぱなしになってきた。
王様はプールも気に入っちゃったみたいだ。
お読みくださりありがとうございます。




