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異世界召喚! すみません今度こそ本当に旅立ち

40日目

 追放当日だけど、ついでにそっちの方に行くならという仕事があるらしく、同行する役人の人選だなんだで10日かかったようだ。どんだけ適当に扱われてるの俺?


 飯ほかの待遇は悪くはなってないからまあいいや。


 考えたら一ケ月以上この町に居たんだな。感傷もひとしお。


 見送りに勇者も大臣も来ない。それぞれ仕事があるのだろう。


「さよなら、離宮の町。」


 俺たちは4頭立て箱馬車1台と1頭立て荷馬車5台。俺が貰う荷物は荷馬車3台分、それを5台に分散させるらしい。

 途中で馬車が壊れたりした場合を考えてのことだそうだ。


 あと、道中用にスタッフが使う鍋釜薪などの道具が積んであった。水の入った樽もある。


 ついてくるのは馬車5台の御者5人と文官ふたり、護衛に騎馬の兵士2人。箱馬車御者台にもそれぞれ兵士が1人づつ。俺含めて15人だ。


 キョータ辺境爵様は役人と箱馬車に同乗する。



 全く話題が無い。沈黙。


 えらく遅い。揺れる。道が悪い、サスペンション無し。時速10キロくらいか?多分ダッシュしたほうが早いくらい。すぐに馬車に酔った。


 やたらに休憩する。馬が弱いのか役人が弱いのか?ともかく助かるといえば助かる。


 朝早く出て 日没までには着くようにしているようだ。

 1日にどれだけ走るのだろう?役人に聞いたが分からない。


 「すいません。お役人様、俺は馬車に乗ったことないので、酔ってしまいました。風に当たりたいんで、御者席の横でいいすか?」


「うむ、これからは勇者どのは貴族。慣れることも肝要であろう。しかし乗り慣れていないなら仕方なかろうな。遠慮なく御者席へ参られよ。」


「すいません。ご迷惑をおかけいたしますが、次の休憩で移らせていただきます。」


 うしろの荷馬車の御者台に座らしてもらう


 本来三人掛けのところに兵士と御者が乗っていて、間に二人の私物があったのだが、荷物は荷台に回してもらって間に座る。


「俺はキョータ。よろしくな。馬車の中は酔うんで、まあ、頼む。」


「はい。辺境爵様。」


「辺境爵様っていったって、失格勇者で村ひとつ貰って引退するんだ、キョータでいいよ。そこら辺も聞いてるんだろ?御者さんの名前は?」


「ええ、まあ。ワタスの名前はヘンリクといいます。」


「ヘンリクさん、この荷馬車は大体どのくらいを一日に走るんだい?。」


「公用の旅では宿場に泊まる計画やら都合がありますんで、一日に40キロぐらいですかねえ。


そうですねえ。商人だともう少し急ぎますがね。80キロまではいきませんが道次第によっちゃあ、60からそれ以上進みますかね。キョータさまは何かお急ぎの事情があるんですかい?」


「いやいや、この先何日くらいかかるんかなあと思ってさ。深い考えはないよ。」


「そうですねえ。予定表ならお役人が持ってるはずです。だいたいひと月くらいかかりますかねえ。

まあ公用でなくて空荷ならもう少し急がせますがねえ。待ってるいい女でもいるんかと思いましたよ。ハハハハ。」


「旅は長そうだな。いろいろ教えてくれ。」


荷馬車の御者が話好きで助かった。これを機会に異世界を学ぼう。


そういえば隣の若い兵士にも話聞こうかな。

「兵隊さんの名前は?」


「ハンスといいます。」


「ハンスさん、俺は上官じゃないし、さっきも聞いていた通り辺境爵様っていったって名前だけなんだからそんなに固くならないでよ。」


「ハッ!」


「ハンスさんは親衛兵士なの?」


「いえ?離宮の町に駐屯する第三兵団の所属です。」


「え?じゃあ、ずっと出張するの?」


「いえ?次の砦で交代します。自分は目的地まではお供しません。」


「あー、そういう事情なのね。まあ、それは軍事秘密かもしれんから、聞いてないことにしようか。」


「ハッ!」


 ハンス君は真面目なのか融通が利かないのか両方なのかわからんが、あんまし話には乗ってこない。


色々聞いたら、馬車は同じものを使い御者も変更なし。ヘンリクさん以外とも知り合いになっとこう。


街道筋のちょっと大きい町には王国の出先機関である砦もあり、軍の駐屯地も兼ねてるんだそうだ。西部劇の保安官みたいなもんだろうか?よくわからんが、治安が悪いのでそうなってるらしい。


その砦で兵隊さんは交代する。


「ハンス君、またな。機会があったら、また会おう。」


「ハッ!」


護衛だから地理に詳しい人のほうがいいんだろうか。別の兵隊さんたちが付く。


役人は旅館があれば旅館に泊まるが、俺はいつも砦の空き部屋だ。俺は公用で、他の役人は臨時だからだそうだ。なんだか逆の気がするが、うまい事丸め込まれているんだろう。


 俺は人間が小さいからひがむけれども、あの尊大な役人たちといつも一緒よりはましだ。それに今回の旅は俺の金ではない。公費だ。好きにするがいいさ。


 離宮の町から離れるにつれ、ちょっとづつだが俺の待遇が悪くなる


 最初は夕方は砦で役人と同じ部屋で同じものを食べてたのが、今では役人は朝飯と夕食は旅館でとってる。俺は砦の兵舎の飯。


 飯がでないよりはましだし、うまくは無いが毒でもない。初日に街の外でバッサリ殺されることもなかった。まあ御の字ってやつだろう。


 朝早くから馬車で出る あとからぞろぞろと荷馬車が付いてくる。

 商人なんだそうだ。


 公用の馬車と一緒なら比較的安全らしい。確かに兵隊さんがいるからな。必ずしも守ってくれると言わけではないが、護衛雇うよりはただだから安くつく。雇った護衛が強盗に化けることもあるらしい。ただとは言うが、昼の休憩の時に隊長さんにあいさつして、いくらか包むのが習慣らしい。


 公用の馬車はだらだら進むので、急ぎの商人さんは護衛を雇い、俺たちを追い越していく。


 同じような旅を何日か続ける。途中までは王国の役人も同行したが、あとは国軍の砦間の申し送り。役人は途中で抜けてしまった。役人も面倒になってサボってるらしい。出発する前には他の用事とからめてと言っていたが、本当にいいんだろうか?


 砦間は軍から衛兵が付く。各種の連絡も兼ねているらしい。


 その時の隊長さんと相談した。


「すんません。役人が居ないなら、四頭立ての馬車要らなくね?

おれ一人で乗るのもきまずいし。あ、すんません。命令とかじゃなくて。

あんまりにももったいなくねえかって話なだけ。」


「キョータさまがいいなら、そうですね、うまく取り計らいましょう。」


 騎馬隊と荷馬車だけになった。テキトーだなあ。四頭立ての馬車は砦に置いていくらしい。四頭立ての御者は、砦にいても退屈だから目的地まで行きますと、荷馬車に乗ってきた。


 さらに待遇悪くなる。騎馬の隊長さんが付かなかったり、荷馬車に同乗する兵隊さんが荷馬車より少なかったり。持たせてくれる昼飯の質も悪くなった。意地悪されてるというより、奥地の部隊だとこんなもんなんだろう。


 ずっと一緒の御者たちとはヘンリクさん以外とも仲が良くなった。御者たちに聞いたら俺は男爵になって赴任するようだ。


 大臣から聞いた通り名目上の扱いで参内の義務のない辺境爵というのがあり、普通は辺境候か辺境伯らしいのだが、今回は辺境男爵という立場らしい。辺境伯とか言って恥かいたな。


 どういうことかというと、勇者特権として納税しなくていい、男爵として、領内の自治が認められている。私兵をもっていい。辺境爵本人は王家に従属するものの、領内は独自の法で統治してよい。

 王国の法律が適用されない治外法権的な立場らしい。


 普通の貴族にある参内の義務もない。


 いいことだらけじゃん。


 辺境爵私兵団、かっこいいなあ。あと側室な。晩飯食ってから寝るまで「俺の私兵団」「俺のハーレム」考えていた。


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