異世界召喚! 伯爵令嬢と何を話したらいいかわからん
今までのあらすじ
異世界に巻き込まれ召喚された俺は、エリクサー配布業に乗り出した。
ぼーっとしてたら、
「「旦那様のいた世界のことをもっとお話しください。」」
珍しく婚約者姉妹から話題を振ってきた。
こっちからなんか言うと嫌われそうだから、あんまし余計なこと言わないようにしてたんだよねー。ずっと。出会ってから。いままで。
女の子と話したこともないし、話し方もわかんない。
「うーん、そうだなあ、
えーっと、まず、国王に当たる人は居る。これは世襲。王様はむちゃくっちゃエライ。神。人なのに神様。王朝が続いてる時期は2700年とも1500年ともいわれてる。
王族以外は全部、平民。
大臣、領主、ごくおおざっぱに言うと、みんなで決める。イレフダ。入札。そういう話を聞きたいの?」
「それはそれで興味がございますが、異世界にいたころの旦那様のことを。」
「あー、そうか。こっちから見たら異世界なわけね。日本が。
うーん、そうねえ。まず、俺は平民中のド平民。さっき言ったけど、王族以外はみんな平民。
その平民の中でも、生まれた家は中の下くらいかなあ。
こどもはみんな年齢別の学校に行く。それは前に話したよな?」
「「はい。」」
「んで、学校じゃ間に合わないから家庭教師を別につけたりする家もある。学校で教えないことを教えるとこに行く人もいる。
楽器とか、えーっと、別の国のことば習うとか。ありとあらゆる教室があって。
俺んちの親の考えは、子供の好きにすればっていう方針で、俺の兄と弟、三人兄弟なんだけど、兄と弟はスポーツ教室とか、楽器の先生とか、学校より先の勉強する塾とか、いろいろといってた。」
「「はい。」」
「で、ようやく俺の話なんだけど、スマンネ。俺はそういう教室が、からっしダメで、ちょっと音楽行って、ちょっと学校の補習する塾いって。どれも、すぐ、やめちゃった。
塾、って、大小いろんな商会が経営する学校だと思って。」
「「はぁ」」
かわいいなあ。
「で、学校も、まあ、兄弟の中でもダメ、世間のレベルでいうと中の下か、下の上くらいの成績。ははは。
俺はこっちの世界じゃあ勉強しろって領民に言ってるけど、元いた世界じゃあ全然勉強しなかったし、ものになんなかった。
俺がいた国だと、15くらいまでは学校行くの義務。まあ次の学校が18までで、これも、まあ、大体のやつが行く。」
「親は大変ですね。旦那様もそうはおっしゃいますが、ご両親もそれなりの家格だったんですね。」
「あー、みんな学校行くから。
で、費用もいくらぐらいかかったんだろ?
俺は単に成績が良くなかっただけで学校にはかよっていた。
でも、中には、どうしても学校行きたくない、行けない奴もいて、家庭教師を雇ったりする方がお金も手間もかかるわけよ。」
「わかります。」
学校の先生してるからわかるよねー。
「で、学校の大半は国が持つの。税金から。その間子供には仕事させなくても親が働けば済むくらいはみんなが豊かな国。他に行く教室や家庭教師は親の自腹。庶民よ、フツーの。
サトー領もそのくらい豊かにはしたいよなあ。」
「想像もつきません。」
「18から22ぐらいはまたその上の学校行くのよ。これは、みんな行くわけじゃないんだ。うちの周りだと3割ぐらいかな?地域差もあったみたい。
18までは男女差が無くて大体みんな行くんだけど。18から22の学校はそうでもないな。男のほうが学校行く率が高かったんじゃないかな?
あ、この国の首都には高級学院とかないの?」
「原則、家庭教師で、学校は聞いたことがありません。
例外的に、よほど出来のいい子供に王国でも有数の学者をつける場合などですと、家庭教師として呼ぶのは難しい場合があります。
その場合、逆に学者の家の近くに引っ越し、先生のもとで弟子入りして学ぶことがあるとは聞いたことがあります。」
「わー、そうなんだ、そうすると、教えられる人数がすごく限られるよねえ?
家庭教師より学校が手っ取り早いんだよね、いっぺんに教えられるから。」
「はい、そうですね。」
「で、俺は22でたいしたことない学校出て、最初は大きな商会の正式な職員だったんだけど、やんなっちゃってすぐやめた。
あとは大小いろんなところの臨時雇いとか、色々やってて、王国の馬鹿どもに拉致された、と。
大きな商会の正式な職員を年とるまでコツコツ務めるのが王道なんだけどね、俺にはできなかった。父親も兄貴も弟も、そういう正式な雇い人。
あ、俺は22でたいしたことない学校出たって言ったけど、王都の学校だった。
兄貴が出来が良くて王都の難しい学校行って、王都に部屋借りてたから、俺もそこに混ぜてもらったんだ。
王都は部屋代が高いからねえ。1300万人住んでて、20階建てとか30階建ての家もあるんだよ。
60階建ての事務所とかもあって、中はいろんな商会が入ってて、みんな事務仕事したり連絡とったりしてんのよ。
まー、俺たち兄弟が住んでたのは、そんないいとこじゃなくて、二階建ての木造。台所と風呂ついて、小さい物置小屋の部屋みたいなの二間、こっちでいうと職人の日当10日分くらいかなあ?毎月かかる。
親としては子供三人別々にそんなに負担できないから、兄貴のとこ行けと。兄弟で学校違うけど、部屋一緒だった。そっから別の学校にそれぞれ行くわけ。
兄貴が学校出るのと入れ替わりに弟がまた難しい学校受かって王都に出てきたから、なんだかんだで8年、王都に部屋借りて、俺はそのうち4年居た。」
「それではメイドも同じものがその間そば仕えを?」
「やー、俺ら平民だから。メイドとかお手伝いさんとか雇えないよ。物置小屋の部屋みたいに狭いからさ、掃除は自分でする。できる。
洗濯は洗濯専用の機械があって、機械がする。洗うだけなんで干すのは自分でやってたけどな。
えーッとメシか。メシは学校の食堂だったり、あ、コンビニってあったんだよ。
朝から晩まで一晩中空いていて、弁当やジュース、お菓子、筆記用具からちょっとした本、なにからなにまで売ってるお店があって、そこに行けば温かい弁当と冷たいジュースが買えた。
だから何でも自分たちでやったっていうか、機械やお店で済ませて、弟は自炊してて俺も助かったな。」
「とにかく人付き合いがだめで、こどものころから。
だから、はじまりの村に入ったとき。ひとりでどうしようかと思った。
家来もいないし。領民は餓死寸前だったし。そのころは水をちょっと出せるだけで、まだジュースもポーションも出なかったから。ホント参ったよ。機械だって何もないじゃん。」
「わたしたち姉妹も最初は遠ざけられているのかと思い、心配になりました。それはまたの機会にご相談するとして、旦那様のお考えを」
「貴族、勇者っていわれてもなあ。俺はこっちの世界知らないし、もともと馬鹿だから、ジャンジャン意見出してほしいんだよな。
軽率な殿には、ガンガン言うまわりが必要なんだよ。
俺さあ、こっちの世界の考え方にかなりそまってきている反面、一方でさ、この数年殿さま呼ばわりされていい気になってるという自覚もあるにはあるのよ。
コンビニの弁当に話し戻すとさ、さっきの日当の話でいうと、日当で20食ぐらい買えるんだよ。安いもんなら40食ぐらい買えるかな?こっちの薄い麦がゆより安いと思う。
で、そんな暮らししてたやつがさ、一応、貴族の扱いになって、殿とか旦那とか言われてる。急に泥魔法使えるようになって、なーんか自分を見失ってる気がすんだよなあ。
俺の手柄なんてなくて、ぜーんぶ河童や天狗のおかげじゃんか。
異世界よりさ、こっちの国のほうが圧倒的に不便だけど、周りはもっと貧しいわけじゃん?そこへ平民から勇者経由して貴族だよ?」
「旦那様。旦那様が勘違いをした場合にはわたしたちが申し上げます。
それとは逆に、領主と領民の間柄に驚きました。領民があんなに気安く話しかけるというのは、他の貴族家では見かけません。
むしろ高貴な身分にふさわしく、礼節があってもよかろうとは思いました。」
「ハハハ。そっちのほうならいいや。
そりゃあ、もともと30人の村で始まって、最初は村民からおかゆ恵んでもらってたからなあ。
そもそも、平民でも下の方のさ、商会臨時雇いを転々としたおっさんがさ、異世界に飛ばされてさ、飛ばされた先じゃあ勇者落第だっていうんでさあ、餓死寸前の辺境の村に飛ばされてさ、いまさら殿様もご領主さまもご貴族もへったくれもないよ。
いまだって謁見も何も、毎日水やりだなんだで領内うろうろしてるしさ。そん時に声かけるのがお互い話が早いじゃん。ハハハ。
ならいいや、ありがとう。これからもよろしく。スンマセン。今日はここらで。しゃべり疲れちゃった。ありがとね。」
何度目かなあ、プライベートで彼女たちとこんなに話しこんだの。話しこんだっていうより一方的にしゃべり倒したなあ。
避けられてると思ってたんならもちょっと構ってもいいのかな?
でも、なあ。
40過ぎまで素人童貞で、( それが理由ではないにしても! )魔法使えるようになった俺が積極的になっても敬遠されるだけだろ。
美女二人と話したら興奮してなかなか寝付けなかった。あー、もう少し彼女たちの話聞けばよかった!あーもう少しうまくまとまって話せばよかった!あー!あー!わー!
お読みくださりありがとうございます。




