異世界召喚! 異世界診療所チェーン営業開始
異世界に巻き込まれ召喚された俺は、ホーリーエリクサーを開発した。
先日就任した新しい神官長に念を押す。
「スンマセン。今後は鑑定に絞って活動してください。あと、次は無いからね、今回のことは無かったことにします。」
徹底的に、俺が主導権握る。勝手にはさせない。老神官連中は自業自得で寿命を縮めたんだ。エリクサーはやらん。
神獣と知り合いらしい河童のガタロウさんを連れてきた。
「オイ神獣、なんでこんなところで馬鹿相手にこき使われてたんでぇ?」
「なんとなくねー。でもね、ガタちゃん、たしかに扱いひどいかもなあ。
それと、毎日測定だけっていうのも飽きてきたなぁ。」
おっ、測定以外に会話もできるんかこいつ。
「スンマセン、後で俺のことを、もう一度測定してください。で、ガタロウさん、どうぞ続けて。」
「オウ、神獣っ!
するってえと、騙されてた、とか、おどされてたってぇわけじゃあねえんだな?
ひでぇことされてたんだったら、ガタロウアニキが黙っちゃあいねえぜ?本当に、でぇじょうぶか?」
神獣様、ガタロウさんの舎弟なんすか?舎弟なんすか?カッパアニキ、戦闘体形になるのやめてください。最近多くないすか?戦闘体形。カルシウム取れてますか?あとであげますよ。
「あー、そうじゃないよぉ。」
そのあと、ガタロウさんが神獣にじっくり話を聞いて、待遇の改善、地位向上を神官団に約束させた。俺に泥の扱い方教えてくれた時もそうだが、面倒見いいぞ。カッパ。
休みの日にはガタロウさんが護衛についてくれる条件で、外出してもよい。その他こまごまな権利を認めさせた。
神獣さんに再鑑定してもらったら、俺のレベルは上がってないそうだ。ただ、出せる魔力が以前とは桁違いになっているらしい。初めての時に分かってたけど、誰も聞かないから言わなくて、そのまま忘れてた。あと、スキルに(液体)がついていた。まあ、そうだろうな。
出し慣れたんで魔導回路が開くという定番設定か。離宮の町の時に教えてくれよ。でもそうしたら今の俺は無かったか。
それはともかく神殿関係が一段落してエリクサー配布は実に後味の悪い形で、でも着実に先に進むことになった。
商人たちの提言で、ほうぼうに診療所を作り、クライアントさんを集める。
診療所ではポーションを飲ませる。ポーションでは治しきれない重症者限定でエリクサーを出す。
複数のスタッフの立ち合いのもとでしかエリクサーを飲ませないようにした。結果として領内と同じ方法だ。横流しはさせない。
どこに診療所建てるか、その担当はどこの商会にするか、商人同士で話し合って決めた。
運賃人件費などの経費=原価の目論見、クライアント予想、詳細な計画をプレゼンしてきた。
「スンマセン。経費わかんないんすが、原価まで見せて、儲けなくていいんですか?
経費に皆さんの儲けはどのくらい乗っけたらいいんですか?」
しかし、苦笑いして返事はなかった。そこまで協力されたんじゃあ、ということで、うちもポーションもエリクサーも100本を無料で出すことにした。お試しサンプルセットだ。
商人たちには、ポーションは相場の半額。エリクサーはそっちで値付けしてと頼んだ。ま、そもそも領主の俺が直接出るのも変だからこちらからお願いしてるわけだし。
値段決定の押し付け合いになったが、
「そもそも、晩飯二度来てもらって頼んだじゃん。スンマセン。きめてください。」
頼んだのが「きめて」になって、丸投げできた。
あとは輸送中に襲う馬鹿がいないことを願うばかり。エリクサーを運ぶ際には男爵私兵団に護衛をさせることで話が付いた。
「スンマセン。大貴族や王様の干渉があったらどうしましょう?男爵私兵団ごときでははねのけられないっしょ?皆さんはどうなさってますか?」
「そのための神官様ですよ。お守りです。神殿と喧嘩する貴族はいません。」
異世界にもお守りというか呪符的なものあるのか。そのための神官だった。そうだった。異世界商人の信仰ってもっと篤いものかと思ってた。
王侯貴族の呼び出しには、診療所にある法具でしかできないと嘘をつくようにした。そのためだけに馬鹿デカイオブジェを作った。俺がぶっ壊した呪いの法具のデザインを参考にした。
大きすぎて、うちの馬総出で曳かせて各地の診療所まで運んだ。
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後日。ドワーフの長、ヴィンダー氏に笑われた。
「やはりお主は阿呆よの。小分けして作って現場で組めばよかったではないか。」
そうか。俺なりにいっしょうけんめい考えて作ったんだけどなあ。ドワーフに作らせればよかった。
「スンマセン。その通りでした。」
早く教えてよー。
「というか、法具を運ぶなら診療所すら要らなかったのでは?
巡回診療所にすればよかろう。」
「ヘヘ。スンマセン。それもそうですね。その通り。
あー、もう、始めちゃったから。今更変えらません。」
そういう大事なアイデアは最初に言ってよね?
「あー、でも、ポーション飲ませただけで解決する場合もあるし。まあ、しばらくやってみてからまた考えます。」
「お主のすごい点はそこじゃな。やってみる。かるがると、試しにやってみる。すぐに修正する。なかなかできることではない。」
「スンマセン、馬鹿なんで、やってみないとわかんないんです。ハハハ。」
だてに45まで非正規で生きておらんわ。
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エリクサー隊の護衛なんだけど、実際の衛兵はうちから出す。人選に難航した。名目上の責任者の神官を抑えられる人間でないといけない。
犬獣人は馬車隊の護衛に適役だが、彼らだけだと悪い奴に騙されたりするかもしれない。かといってニコアさんや代官さんにこの町から抜けられるのも困る。
いろんな人と相談して、結局、世慣れて旅慣れてるヘンリクさんに輸送団長をお願いした。下っ端とはいいながら王宮の役人だったから、神官のことも下に見てる。ほうぼうを御者して知ってる。大丈夫だろう。
ヘンリクさんの希望で、団長の下の隊長にハンスさん、その下に犬獣人の班を付けた。
「スンマセン。ヘンリクさん、俺もたまについて行っていいかなあ?たまに、なんだけど。」
「ええ、どうぞどうぞ。ワタスが決めることじゃないです。旦那は貴族になったんだから、来たい時に来てください。。」
「スンマセン。その貴族なんだけど、俺が他領に行くのいいの?面倒な作法とか知らねえよ、俺。」
「ワタスも作法は知りません。まぁ、大体のお貴族様は紋章掲げてお綺麗な馬車で大げさに移動なさいますがね。
曳く馬も、大きな馬を見栄で使いたがる。馬の良しあしは大きさだけじゃあないんですが、お貴族様にはわからないんす。
ああ、本当の急用で急ぐ場合や、そういうのが面倒なおかたも中にはいまして、目立たない馬車で進み、道中のご挨拶や社交もなしのおかたもいらっしゃるにはいらっしゃいますがねぇ。
ま、少数ですがね、別に、マナー違反てわけじゃあねえです。
罪になるとか、白い目で見られるとか、そういうこたぁありやせん。」
「スンマセン。俺、ヘンリクさんには教わってばかりだなあ。で?なんでそんな詳しいの?」
「お貴族様たちが見栄を張るっていこたぁ、使われてる御者たちも真似して見栄を張るんですよ。ワタスはそういう場になると急におとなしくなっちまうほうなんで、一方的に聞き役。どこの御者もほうぼう動いてますから事情通でさあねぇ。
御者に秘密がもれたら、いいことも悪いこともみーんな広まっちまいます。」
「怖いなあ。ま、なんか大事そうな話を聞いたら、俺にも教えてね。
それと、移動は『目立たないほう』で行くよ。いつかみたいに御者席の横に乗せてもらえば、それでいいから。」
「よしてくだせえ、オトノサマぁ。」
目が笑ってる。ヘンリク氏は王宮の役人だった時代も、聞き取りスパイ活動してたのかなあ。
「でさあ、王国内はいいとして、外国に行く場合はどうなの?その、貴族様が。」
「さあて、王国の使者で出かける以外は、出ないんじゃないですかね?ワタスもこの年まで御者してほうぼう行きましたが、聞いたこともない。
貴族ってえのは王様とのお付き合いと、他の貴族とのお付き合いとが仕事みたいに見えます。よその国とお付き合いしても大してうまみがないでしょう?下々のほうが国の境い目なんか関係なしに商いしたりしてまさあな。」
国外まで俺が行くのは難しいかぁ。その場合は私兵団を傭兵にして貸すか、神殿警備隊に仕立てるかだな。それにまぎれこみゃあいいや。
まあ、今はそこまで考えなくてもいいだろう。あとで商人と相談しよう。
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いろんな人に試して副作用がないとわかったので、一年後にはニコアさんにも飲んでもらった。
手順としては最初は領民以外で試したほうがよかったね。手は生えた。喜んでた。いまんとこ、副作用もなさそう。
お読みくださりありがとうございます。




