異世界召喚! 異世界の海
今までのあらすじ
異世界に巻き込まれ召喚された俺は、村の引っ越しに疲れた。
あとから来るはずのニコアさんと犬獣人、代官さんが来ないんでどうしたのかなと、夜中に転移して見に行く。
「こんばんわー。スンマセン。代官さん、どうしたんですか?」
「殿、助かりました。出るに出られず参っておったところです。」
獣人たちは新しい領主の新しい代官に村を追放され、村の外に野宿。村にいたニコアさんと代官さんも含め、水問題で移動ができなくて参ってたんだそうだ。
「殿がいたときと違い、井戸の水でも堀の水でもなんでも新しい領主と避難民が汲んでいきます。まあ仕方のないことなんですが。
我々は10日間の引っ越しに耐えられるだけの水の量を安心して確保できなくなってしまいました。」
水魔法なら河童も、その弟子になった村人の一部も使える。でもそいつらも新しい村へ行ってしまったので、誰か残しておけばよかった。ともかく大急ぎで引っ越したんで細かい点でもろもろの漏れやミス、失敗点反省点が出てきた。
見に来てよかった。最初から迎えに行く日設定しておけばよかった。
じゃあ今から逃げようということで、みんなで夜逃げ転移をする。荷馬車がもったいないということで、代官さんは荷馬車ルート。
俺が転移して給水するポイントも決めた。まあ砦だけど。
最初からそうすればよかった、の連発だ。代官さんすまんね。代官さん一人では戦力的に不安だと犬獣人も代官さんについていくと言い出す。
空の水樽と2-3日分の飯しか積んでない荷馬車を襲っても何の得にもならないだろうが、それは襲って荷物を改めてからでないとわかること。魔物だって出るかもしれない。
結局、ニコアさんだけ俺に抱き着いて新しい村へ転移。新しい町について気が付いた。始まりの村に誰か馬獣人と御者連れていけばよかった。途中で代官さんと変わってもらおう。
バタバタしていて頭が回らず、常に後手後手、後知恵だ。砦も壊しちゃった。いまから一隊連れて砦跡地で待っててあげよう。
忙しく村と往復してこまごまとしたことを片付ける。二日おきに食べ物持って、打ち合わせ地点まで飛ぶ。途中で代官さんとモブ御者に代わってもらう。代官さんには新しい村のことをしてもらわなきゃなんない。
俺はバス兼バス運転手みたいなもんだから、打ち合わせ地点で待ってる必要なくて飛んでまた村に戻る。
インチキすごろくの旅だな。
村の内政は代官さんと伯爵孫娘たちに丸投げする。もう、やってられん。
つい以前、偵察に出てくれた天狗の案内で領内を旅行もする。俺は飛行クラブに引っ張られ、飛ぶ。
見た範囲ではさっきの「新しい村」が適地だろうということだが、第二の町を考えておこう。
川に沿ってくだれば海まで着くかもしれない。直線ルートのほうが効率よく移動できるだろうが、おそらく川沿いに人が住んでいるだろうから、領民の調査にはその方が早いかもしれない、
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やはりそうだった。一日歩くあたりの間隔で、どこにもごく小さな集落がある。はじまりの村から新しい村までは廃村ばかりだったが、新しい村から海までは人が住んでるところもある。廃村もある。
途中の小さい村には、俺が領主になったことを伝える。今年は税金は要らない。その気があれば新しい村で面倒見る。難民にもそう伝えてくれと頼んでおく。
どこの家にも水樽や水瓶はあるので、差し出したものには水を満たしておいてやる。許可が出れば井戸にも大量に流し込んでおく。
新しい村を留守にすると新しい村の水が不安になってくる。
今までのように砦作って一泊して、朝、荷車は放置して、いったん皆で新しい村へ転移して戻り、村の堀から水瓶から全部水入れて、畑に水まいて飯くって明るいうちに風呂入って、午後遅く弁当作ってもらってまた転移して旅を続ける。
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領内を旅行し続け、ついに海まで到達。異世界の海は日本の海と見た目は変わらない。海はいいな。広いな大きいな。
領主の特権で海までの高速道路を作ろう。車はまだないけど。
磯に出た。ちょっと上から波打ち際を見下ろす。サスペンス状態だ。あれはんんでなんだろう?たまたま今日は飛行クラブは誰もいなくて、善人坊さんと二人旅。
天狗は海より山だな。ルックス的には。
海に近い村を見つけたので、聞いてみた。
「こんにちわー。スンマセーン。ここいら辺は俺の領地になりました。サトー男爵といいます。
あの、王様から領地貰いましたが、その王様も戦争で亡くなったそうで。」
「そういうことはここらの代官様通していただかないと。」
あー、これ、はじまりの村の初期の対応と同じだな。塩対応。海沿いなだけに。
「スンマセン、引継ぎも何も無いですね。あの、年に一度来て、むちゃくちゃに税金とって若い女連れてく役人のことなら、もう来ないと思います。
オレ、ここらの正式な領主なんですが、そのうち、うちの代官連れてきます。
で、あの、スンマセン、今年は税金ゼロ、来年からは意見聞きながら進めます。若い女もいらないっす。領都 (村だけど見栄を張った) に来てもらっても食わせらんない。」
「若い女なんかおらんです。」
「まあいいです。
そんなことより、腹が減りました。あ、弁当持ってきてますから接待も不要です。ここらの人は、魚は食べますか?食べるんなら獲りかたを教えてください。
スンマセン。あ?お茶持ってきましたが、飲みます?あ、お茶とジュースです。無料で。領主になった就任祝い。」
「ここらでは、魚を食べる習慣はないです。海辺にはモンスターが出やすいから近寄らないようにしています。食べたことが無いので、毒か食えるかもわから無いです。すみませんがお役に立てません。」
俺が投げ釣りしてみるしかないか。
「そうですか、そりゃ残念。じゃあ、まあ、お茶だけでもどうぞ。」
「頂きます。ここらでは茶はとれませんし、商人もここまではまず来ませんので、生まれてから何回かしか飲んだことがありません。
これでも若いころはキッサ領まで出稼ぎもしたりしましてね。そのころはよう飲んだものですが。
ありがたくいただきます。」
「スンマセン。お好みがわかりませんのでありったけの湯飲みを出してください。
お名前もうかがってませんでしたね、
俺はキョータ。サトー家のキョータといいます。
横にいる天狗さんは善人坊さん。ここまで俺を連れて飛んできてくれました。」
村長の爺さんも名乗り、ちょっと打ち解けた感じか。奥さんのお婆さんが食器を出してくれてる間に、戦争で大負けしたこと、王様もキッサ伯爵も戦死したことを話す。
「スンマセン、王国自体が半分になってしまったので、キッサ領も俺の領地も半分になり、別の領主が来ることになって。んで、残り半分の領地をいまさらながら回ってるんです。ですから、今更税金とろうとか、若い女連れ去ろうとか、そういうんじゃないんですよ。
それよりも、俺のもともと居たところは魚を食べる地方だったんで、海沿いのここらなら、魚が食べれるかなあ、って。」
丁度、粗末な食器がそろったので、麦茶、紅茶、緑茶、ラッシ、アップルジュース、汁粉、色々出す。
「まず最初に俺が毒見します。どれか指定してくれれば、最初に飲みますよ?」
「疑うわけではありませんが、初対面ですのでそうしていただければ助かります。では、この濃い茶色のものを。」
「あっ、スンマセン。これは間違って出しちゃったコーヒーというものです。では俺から。
コーヒーはおそらくお口に合わないと思いますので、香りだけでも楽しんでください。相当苦いです。牛乳入れて甘くしたらあるいはいけるかも。ともかく珍味というか、初見では要注意です。」
「ありがとうございます。私はこの薄い茶色のものを頂きます。」
麦茶だ。
「先ほどのお話ですが、魚は食べたことありませんが、貝なら食べます。潮が引いた頃を見計らって浜の貝を取ってきます。海に生える草もあります。塩も浜辺に壺を埋めておき、潮が引いた時に海水をとってきて作ります。」
「マジか!
スンマセン。興奮して。私の生まれたあたりでも貝や海藻食べます食べます。」
異世界潮干狩りか。ドワーフに頼んで、巨大ステンレス熊手を作ってもらって、みんなで潮干狩り大会やろう。
「スンマセン。貝は生で食べますか?煮たり焼いたりしますか?」
「ここらのものはとれたてを生で食べる場合もありますが、大体は干しておいて焼きますね。」
まさかの貝のヒモノだ。干物!カイヒモあるかなあ?
「スンマセン。干し肉と交換というわけにいきませんか?今ありましたら、頂きたい。」
「では差し上げましょう。こんなおいしいお茶を頂いておいて、客人を手ぶらで返すわけにもいきません。」
やー、そうじゃなくてさあ、旨かったら定期的に献上して欲しいんだよね。、もちろん食ってみてからですが。
ここらの者が好んで食べる匂いのキツイものと単なる塩漬けを干したものとありまして、いま、両方焼かせているところです。」
ただよってくる香りでわかるぞ。まさかのクサヤ!貝のクサヤか!
「スンマセン。焼いてくださってるかた、皆さんにお茶をお出ししますのでよかったら召しあがってください。」
色々話しこんだりお茶配ったりしてるうちに、貝のヒモノ焼けてきた。
「失礼かもしれませんが、内臓が弱いのでまずはヒトクチで失礼します。」
貝のヒモノ、貝のクサヤ、うめえ!巨大なハマグリ状態の二枚貝。
「うめえうめえ。あ、お茶どうぞ。スンマセン、生の貝あります?内臓が弱いのでそんなには食えないんですが、ヒトクチ欲しいです。」
当たらなきゃ大量に欲しいけどな!
出た!貝の刺身!
あまりの感動に手が震えだした。醤油とお茶と出して、残念だが最大限の自制心で酢も出して、酢で軽く洗ってから頂く。
「うまい!こんなおいしい貝を食べたのは、こっちに来てから初めてです。」
泣けてきた。貝の刺身はもう一生食えないと思ってた。わさび醤油だぞ。
お読みくださりありがとうございます。




