異世界召喚! 引っ越しは終ってからが引っ越しです
今までのあらすじ
異世界に巻き込まれ召喚された俺は、村の引っ越しに忙しい。
引っ越しで何が一番大変かというと、荷造りでも運送でもないだろう。粗大ごみはまとめて置き去りにしてきたから、その処理の問題でもない。
今までの家財を新居にフィッテイングさせる、それが一番手間がかかる。
ただ置いただけでは、しばらくするとこうしたほうがいいああしたほうがいいとなって、なかなか落ち着かない。
引っ越し後の細かい作業にバタバタとしている。そこへ領民の陳情がいつも以上に来た。
「勇者様。風呂が遠くなったので、もう少し件数を増やしていただけませんか?」
「殿、新しい畑に、もう少し肥やしを多めに混ぜて水やりしてください。」
「お願いです。うちの子供が熱を出しまして、ヒールをお願いします。」
「猫草を食べタイガー。シシ。ニャーン。」
「ご領主さま、塀に門を増やしていただけないでしょうか。」
「水はけが悪いのでどぶさらいしまヌスット。」
あああああ!うぜー!ただですら忙しいんだが仕方がない。相手だって困ってるんだ。対応する。
風呂は特別浴場を新しくいくつか作って、毎日代わり湯を出す。初日は伊香保の湯だ。
温泉掘ろうと思っても掘り当てらんなかったから俺が出す。
だんだんと特色のある湯にするが最初は、まずは万人向けから。配管はしない。土台作って湯を張ったから、あとの囲いとかは犬獣人建設に頼んどいてね。
肥やしは言われた通り、水やりの時に液肥をいつもより多めに混ぜた。
子供が熱出すたんびにヒールかけてる時間が無いので、ポーションを量産してニコアさんに託しておく。
猫草は、引っ越しのどさくさで猫獣人が食べる新鮮なのが無かった。農園のモブに言って、引っ越し祝いとして若芽から許可する。マタタビ入りの酒も作っておく。
塀は穴をくりぬいて、そのかわり出丸をつくって厳重に防衛かためる。
泥棒さんたちにはサラ婆さんに言ってから仕事してねと言っておく。
◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇
大体が片ついた後、隣の砦まで転移する。はじまりの村から三つ目までの砦は壊しておく。
まだ 取り上げられた領地の中なんだけど、一つ試したいことがあって、それはニトログリセリン爆弾だ。
ニトログリセリン作ってみたら液体だからできたが、ご存知の通り、大変に危険な代物で、ダイナマイトは何かにニトログリセリンを染み込ませて安定化させたものだと何かで読んだ。で、人里離れ、しかも今後は俺の領地ではなくなる場所で実験したい。
ドワーフ10人とエルフ数人来る、ドワーフの親方が怒鳴る。
「オイ!引っ越したと聞いたときは弱ったぞ。」
「スンマセン。なんでここだとわかったんですか?
急な領地替えで、ご連絡するの忘れてました。」
「これだけ派手に爆発している場所があれば、そこはお主のおる場所だろ!」
「スンマセン。スンマセン。あっ、やみくもに大爆発する危ない液体を作ったんですがね、ゆすっても爆発、火をつけても爆発。なんかに染み込ませて安定させようかと。何かいいもんないですかね?」
ドワーフは鍛冶屋の他に石工 木工 建築が得意だそうだから聞いてみた。
「何か知ってます?火薬とかダイナマイトみたいな粉とか固形物は出せないんですよ。」
「うーむ。液状のもので、たやすく爆発せず、こちらの都合で爆発してくれるものか…。
あるいは染み込ませると。」
「スンマセン。わかんなきゃいいんです。俺もわかんねえからここでいろいろ試してるんで。
あー、で?ご用は?」
酒がなくなったので追ってきたらしい。言ってくれれば荷馬車隊に便乗できたのに。酒かよ。
「染み込ませるのは、素焼きの壺を厚く作ってみたらどうだ?あるいは綿を中に詰めるとか?酒に混ぜたらどうだ?」
酒か?酒かよ。
「色々試してみます。」
おわびに、ふざけて作った金属類見せたら固まっていた。
「スンマセン。急な話だったんで連絡悪くて。その塊なら、使い方わかんないしいくらでも作れますからいまあるやつは全部あげます。」
スコップは改造武器や本来の使い方にしているが人数が増えてきて、不足気味だ。
とりあえず人数分の剣か槍は欲しいところだ。
「バカか、お前は。ミスリルとオリハルコンの塊渡して、鍬作ってくれ、ってデタラメだぞ。」
さすが、親方。ひとめで見破るんだ。
「スンマセン、鉄の塊と銅の塊と金塊銀塊もお出ししますから許してください。」
「許すゆるさないの話ではない。途方もないことを言っておるぞお前は。ともかくなんでもいいから塊と酒をくれ。
ミスリルとオリハルコンで武器、鉄で農機具、ステンレスで生活用品、作っておく。金銀はあまり使い道が無いから今は要らん!要る時にくれ!!!」
( 金銀は今は要らんていうあんたもかなりデタラメだと思うぞ。 )
「スンマセン、じゃあ、こっちでも洞窟と炉も作りますんで勘弁してください。」
目をむいていたが、もう何も言わなかった。
「あ、で、俺が軽油出しますから、軽油で動く蒸気機関、手が空いたらでいいですから、試作してみてください。最初は動けばじゅうぶんです。だんだんと強く軽くしましょう。」
石炭も見つからないし、ガソリンは安全な保管の方法が分からないから、俺が出せる軽油というか灯油で動く蒸気機関からスタートする。
またもや林のはずれの洞窟に暮らすらしいが、村人にカウントする。早速ジャンプしてドワーフたちと相談して、指定された場所に溶岩で山を作る。横穴も掘った。
村に戻ったついでに、陶器のかけらを貰って来た。
「スンマセーン、誰か要らない陶器のかけらお持ちでないですかー?」
早速名前も知らないモブ村人が土器くれた。
「引っ越しで割れてしまったんですが、何かに使い道があるかもと持ってきました。どうぞ。」
「あ、そうなの?スンマセン。助かります。じゃあ新品と取り換えっこしましょう。ありがとう。」
ただ単に俺が新品作って実験すればよかっただけだった。しかし連中は物持ちいいなあ。粗大ごみで捨ててきた物って、いったい何があるんだろう?
そこらの砂、土器、ぼろきれ、いろいろなものに染みさせるが、あまり安定しないなあ。ダイナマイト発明したノーベルさんは珪藻土に染み込ませたらしいが、ここらに珪藻土ないし。
液体にも混ぜてみた。灯油、水。レモンジュース。酒の話題が出たんでアルコール。トルエン。どうもうまくない。あるものは混ぜた瞬間に爆発した。
うまくいかないんだけど、まあそんなもんだよな。理論抜きで行き当たりばったりの総当たりで試してるわけだから。
日本から転移してきた勇者同士でも話したが、ホームセンターの材料だけで爆薬作れるらしい。誰も基礎知識が無いからそれもうまくいかん。
普通に売ってる肥料と灯油混ぜたら爆発するんだったら、今頃はハウス農家は全世界規模で大惨事だもんなあ。
運用上は、ぼろきれ詰めた鉄の壺用意しておいて、使う直前に遠隔で俺がニトログリセリン満たすしかないな。ま、それが分かっただけでも良しとします。
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