異世界召喚! 国王からの使者
前回までのあらすじ
異世界で戦争が勃発したんだが終わっててなんか得した。
しばらくして、新しい王様からの使いが命令書もってきた。
「辺境男爵勇者キョータの領地を変更する。」
はぁ?偶然なんだろうか?離宮の町からこの村に来た時に一緒に旅した役人さんのうちの一人だ。
「スンマセン、お役人さん。今度の俺の領地はどちらですか?」
「や、キョータ殿の懸念ももっともじゃ。それは地図が別にある。」
地図を見せてくれた。
「スンマセン、この地図の場所はどこですか?」
そこからわかんない。
「キョータ殿の今の領地がここ。その中で新しい領地がこの地図のここ。」
完全に引っ越しではなく、今ある領土の半分に減らされるんだそうだ。うちの領地はどこもかしこも全部荒れ地だけど。
隣の王国の属国になってしまったので、どこの貴族も減らされる、と、先日代官さんから聞いてるから驚かない。
まあ、俺、参戦してないしね。参戦した貴族は大体死んじゃったから、領地半分でも得したほうじゃないかな。そもそも、貴族の封土というのはそう簡単に増減されるものではないのだが、今回のことは非常事態ゆえ仕方がない。だいたい、俺は無能勇者で、国の端っこの要らないとこ貰っただけだしさ。
「失格無能勇者は大馬鹿だから伯爵領に半分編入」っていう話じゃなくて、貴族の大半が領土半分で、減らされた領地には割譲した地域にいた貴族が入るらしい。
勝ったほうの王様だって家臣に褒美の土地やらなきゃなんないし、まあそんなもんだろ。
で、残念ながら、ここじゃないほうの半分(つまり荒れ地ね)に 3日で移れとヌカしやがった。こっちの半分なら今までと全く変わらんが、引っ越してここじゃないほうに行けとなると全くのやり直しだ。
ホームセンターから持ってきたガラスコップと俺が出した酒、そして砂金一袋を役人さんに上納する。時間稼ぎに出よう。
「なんもないとこですけどスンマセン。家宝になっちゃった異世界の食器差し上げます。
それと、ここいらの名産の酒です。どうぞ。
ところで、戦後のごたごたがまだ尾を引いていて、領民や商人への借金の支払いだなんだ細かい作業がまだまだあります。
商人はともかく領民への支払いは引っ越したあとだとかなり難しいのでせめて30日くらいは待っていただけませんか?踏み倒すのもかわいそうでしょう?
そうですね、できれば50-60日あると助かりますし、次の領主の人にも少しはましな状態で引き渡せると思います。
あと、砂金の袋はご内密に。避難民が持ち込んだ品ですので産地はわかりません。このような辺境の地に置いておくよりはお役人さんが使ってくださった方が活きるでしょう。」
まあ俺が出したんだけどね、金。
「ではそのむね、各方向に折衝いたす。」
賄賂が効いて60日待ってくれることに。
「ではなんとかがんばります。スンマセン。余裕見て50日後には出るようにはしますが、足弱の集まり故、しばらくは旧領を移動するので、足の悪いものは60日過ぎても領内の端っこにいるかもしれません。むろん、この村からは退去しては居りますが。スンマセン。
もちろん急いで引っ越します。
見ての通りの村ゆえ何のおもてなしもできませんが、ではお気をつけて。」
ペコペコ卑屈にお願いして、60日過ぎても領内に残る者がいるのも許してもらった。旅の途中という形だけれどもね。この世界に飛ばされる前は各方面に頭を下げまくって生きていたから、この程度は平気。
多分爵位の上では格下の役人でも、俺は平気。もともと異世界人だし。
( それにしても60日60日って、この使いの役人が戻って、次の貴族が来るまでじゃねえか。フザケンナ。次の貴族だって出かける準備してからここに来るまでの支度を考えたらそんな急に来れるはずがネーヨ。腹が立ったが今は対抗する手段もないので、せっかく開拓した村を手放すしか手がない。 あー、むかつく。 )
あと、村人は村を動かない前提らしくなんも指示出なかった。
役人が去ったあと、命令書に付いていた地図を眺めると、俺の領地は異様に長細い形だったのが細長いうちの半分持ってかれる。
幅100キロ奥行き20キロがあった領地 幅50キロに半減
へえ、こういう形だったのか。前回ここの領主にさせてもらった時には地図ついてなかった。いい加減なところだらけだな。
「幅50キロ奥行き20キロか。まだ細長いな。
どうせ使いきれないから領地が半分だろうが倍だろうがおんなじだ。」
地図だと海まで俺の領地。異世界の海は見たい。
役人さんに召し上げられちゃう土地とそうでない土地の目印はなんなのか聞いたら、新領主と俺で話し合いで決めるらしい。
これまた適当な話だなあ。
領内見回っておけばよかった。
まずは新しい土地の下見だな。
役人を見送ったあと、村人に別れを告げる。
「スンマセン。急に集まってもらって。
俺にとっては大事な話があります。
今までありがとうございました。この村は、領主が変わります。
エー、しばらくすると新しい領主の人が来ます。
で、俺の領地は半分になります。新しい領主の人が来る前にここから出なきゃなりません。
アー、俺は今から、その半分のほうの領地見てきます。
んで、今から30日ぐらいは水やりには2-3日おきに戻るつもりですんで、皆さんの畑は大丈夫だと思います。すんません。ありがとうございました。」
シーンという音が聞こえるほどみんな黙ってる。
この村人の沈黙はいつまでたっても耐えられないな。緊張に耐えかねていると、
「俺は殿様についていきタイガー。」「シシ」「ワン」「ヒヒーン」「ニャン」「ブヒイィ」
「何を言う?行かないわけがないだろう?」
「「婚約者ですから付いて行ってよろしいのですよね?」」
獣人はともかくかなりの老人まで、みんなつれていってくれという。ブヒって言ったの誰だ?
「エッ?あ、ありがとう。」
最近は治癒魔法かけまくってるから、村にいる人間は皆かなり元気だ。
大怪我には全く効かない俺の魔法だが、細胞レベルの小さな傷も修復してしまうのか何なのか、毎日かけていると病気にもならず、ひょっとすると初期の癌も修復してるかもだし、老化も防いでいるかも。
みんな長生きな上に元気だ。旅で脱落する人もいなさそうといえばそうなんだが、しかし。
「スンマセン。
でも、獣人はともかく、ニンゲンは畑あんだろ?どうすんの?生まれた村だろうし。」
「それなら、元の畑は塩抜きの都合だなんだで、跡は人んちになって、さらに今は広場になってる。家も建ててもらった。次もどうせそうなるんだろ?」
「ええ、まあ、スンマセン、考えてなかったけど、そういう話なら、たぶん。ええ。」
「じゃあお許しがあれば歩いていく。年寄りも元気になったし、歩けないもんだけ荷馬車にのせればいいだろ。」「そうだそうだ。」
誰もが自分の意見を言うので収拾つかなくなってきた。貴族社会だけど領主ナメきってねえか?
「えーっと、この村への愛着は????」
「もちろんないわけではないが、殿がいなくなれば猫草は生えなくなり水は頂けなくなる。殿が来る前の餓死を待つ暮らしに戻ることになる。それよりはついていったほうがいいだろう。」
モブの一人が答えた。
「俺もともと余所もんだしさあ。」
「うーん。。。。
歩いていけるとこかどうかとりあえず見てくるよ。
飛んで戻ってこれるから。
それまでに、もしかしたら出かけてもいいように、準備しといて。スンマセン、まだ今は約束はできませんよ?ナントモ言えねえ。
ともかく見てきてからね。話はそれから。」
俺は日本にいたときからコミュ障で、深い付き合いをあえて避けてきた。今でも村人や獣人たちの顔が覚えられない。袋叩きだけはされないように、愛想よく、無茶を言わないようにしてきたが、俺と村の関係はその程度だと思っていたんだが、みんなついてきてくれるって言った時は感動した。
(水を出す便利な領主と思われててもいいや。)
村人に慕われてると舞い上がらないように自戒する。
ここで無駄に増えた荷馬車が役に立つとは思わなかった。
新領地(じゃないけど気分の上ではそう)の偵察に向かうぜ!俺様の冒険の第三章の始まりだっ!
ネット小説 異世界に召喚されたがスキル皆無の俺は解雇され、村を貰った。
「第二章 はじまりの村編 完」
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