異世界召喚!3日目にしてド定番展開は続く
第四話 3日目
朝から兵隊さんたちに混じって訓練。昨日の筋肉痛でかなわんし、打ち合わせるだけでめちゃくちゃ手が痛い肘が痛い肩が痛い。関節痛めてるかもしれない。せっかく異世界に来て持病解決したのに、新たに体痛めるってかなわんな。
団長さんも他の兵隊さんも怖い。「武術」ってこういうもんなのかな?心得がないから、ただただ怖い。本当に怖い。痛い。
朝飯のときに、勇者同士でせっけんの相談をする。皆せっけんは欲しい。しかし皆せっけんの作り方はわからない。
かまどの灰なら大量にあるから、配合を変えて試作は可能だそうだ。異世界転移ド定番のせっけん作成だが、騎士団のほうで試作してもらうことにする。
「俺が作れもしないのにあれなんですが、戦場で清潔にすると疫病がいくらか防げると聞いたことがあります。
傷も洗うと毒が入らない場合があるらしいです。
助からなかった命がいくらかでも助かるかもしれません。」
部下の安全の話となると、団長さんも大乗り気だった。
「灰と油なら失敗しても大損害にはなりません。ぜひ試作を成功させます。」
「それと、うまくせっけんができたら、その先ですが、果物か何かで香りつけたら、貴婦人にバカウケです。作り方は隠しておいて騎士団特製にすると良いでしょう。」
「ははは、それでは製法は国外には出せませんね。貴婦人がたへの贈り物は勇者殿が仰る通りその先ですね。」
「じゃあお願いします。灰を水で煮て、油と混ぜる、そんだけです。金物使って煮ると鍋がだめになるかもしれないんで、土鍋がいいかもしれません。」
「金属は高級品ですが、灰と油と土鍋なら安心です。」
よかった。石鹸の開発の他に異世界もので定番ていうと何だろうなあ。
豪華な馬車が要塞に乗り付けたのを見た。俺らが神殿行った馬車より大きい。豪華。お姫様でも激励に来てくれたんだろうか?
朝飯後も訓練。兵隊さんもLV3に近い人がいるのか、そんなに激しいとは思わない。
いい加減飽きたところで、昼飯。
昼飯もいつもの場所だが、知らん男がいた。
目つきわるいちょっと小柄な、でもそれに似合わない明らかに豪華な服着た大臣が紹介される。
さっきの馬車に乗ってたんだろうな。馬車に乗っていたのはお姫さまじゃなかった。
担当の大臣なのか、首相レベルなのかはわからないし、そもそもこの国の政治制度がわからないので、どのくらいのポジションのおっさんかわからない。
いつもより少し贅沢そうな昼飯を食いながら、三人ともはげまされる。
「勇者の諸君には、ぜひともわれらの王国、われらの大陸、われらの世界を救っていただきたい。
そのために必要なものはできるだけこちらで用意します。
王と国民がみな、諸君のことを期待しておる。」
この手のイベントって王様が来るんじゃねえのか?でもここで王様討ち取ったら、王国を乗っ取れそうな気もする。召喚二日目で新しい王様にジョブチェンジ。
あ~、安全考えて大臣なのか。
大臣は、俺たちと飯食ったら帰っていく。やはり王都に勇者は連れて行かない方針だな。
午後座学。
若い文官から、世界の説明を2時間ぐらい受ける。教科書は無い。本は高価なんだそうだ。午前訓練、午後座学。学校と逆だな。いや、朝練、授業みたいなもんか。
その後べつの講師から最低限のマナーも習う。おじさん講師。
「わたしたちは頭に霊力が宿っていると考えています。
過去の召喚者のかたたちの中に、小児の頭を触る例が頻発しています。これはご遠慮ください。」
ほかにも、唾を相手に吐くな(地面に向けてしてくれ)等という基本的なことから聞く。俺がいた世界とほぼ同じこともあり、そうでないのもあった。
訓練終わったら町に出てこっちの世界の実情を学ぶ場面もあるが、必ず雑用係をつけるので当面は作法の心配はいらない。半年こっちの世界にいれば大体のことはわかるらしい。
マナー教室は1時間ほどで終了。
明日からは夕食前に魔法の練習が入るそうだ。
今日は夕食までゆっくりしてくださいと言われる。
部屋に戻って、横になる。いきなり鍛錬したせいか、もう、全身が痛い。
夕食前に眠ってしまう。
外で待機してる兵隊さんに晩飯だと起こされる。今日は晩飯まで寝てしまったのでそのあと風呂に入った。
少し眠ってしまったせいか今度は寝付けない。オレ、今後この異世界でどうやって生きていけばいいんだろう?