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異世界召喚!2日目にして無能バレ

 第三話 2日目 


 昨日は長い一日だった。


 異世界に召喚され、兵舎近くのグランドというか、そういうところへ転移した。俺たちは勇者になったらしい。前の世界で大けがして後遺症が残ったのは治ってた。


 起きたら全部夢だった、ってことはなく、異世界の要塞で目が覚める。


 ベッドが固くて腰が痛いが、そんなことはどうだっていいことだ。



「お目覚めですか。」


 団長さんが起こしに来てくれた。


「ええ、まあ、さっき、起きました。何をしたらいいんでしょうか?」


「よければ朝ご飯を用意しました。女性の方たちの寝室に入るわけ行きませんから、そちらは別のものが向かっています。」


 こっちの世界でも異性のそういうのあるのか。女兵士とか結構いるから、そこらへんどうなってるのか今度ゆっくり聞いてみよう。


 勇者か。にやけが止まらん。


「朝食も大皿形式で用意しました。

お伺いするのを忘れていましたが、皆さんの文化ではそれで問題ないですか?」

 嘘つけ。召喚した後の手順とか決まってんだろ?俺は食えりゃあいいけど。


 「いえいえ、俺たちの文化としてはどっちでもいいです。大丈夫。ご配慮ありがとうございます。せっかく準備してくださったのですから文句言いません。個人的には大皿のほうが気を使わなくて楽だと思います、」


 ネーチャン勇者とおばちゃん勇者はどう思うんだろう?


 廊下に出ると魔法使いのコスプレした女が一人いる。

 コスプレじゃなくて本職さんだけど。どういう仕事なんだろう。お約束のLV鑑定してるんだろうか。いままで盛り上がっていた分急に不安になる。


 

 パンがうまいな。


 異世界来たばっかりだから、ファンタジー補正あるとしても、当分は生野菜と生っぽい乳製品らしきものは警戒して手を出さないようにする。


 朝から品数多めである。こりゃあ異世界も頑張ったな。好待遇だ。

 パン、なんかの肉、肉と野菜煮てなんかの味つけたの。


 朝食後、大きな神殿へ馬車で移動する。神殿ごと今日は貸し切りなのか、参詣客見かけない。

 

 まずは、バカでかい神殿の正面の大広間で神像におまいりした後、もう少し小さな部屋へ案内される。いよいよ精密検査か。


 俺。神官に導かれ、奇怪としかいえない造形の機械の前に立たされる。

「どうぞ」


  え?この機械に入るの?形が怖いんですけど?

「え?俺、この機械に入るんですか?」


「しっ、これは、神獣さまです。機械ではありません。」

 ますますやばいじゃん。生きてんのこれ?


 でも断れる雰囲気ではないので、神獣の開口部に入る。呑み込まれた形だ。

 

 神獣の中にいるとくぐもった声がする。結構うるさい。外で係が読み上げてるんじゃなくて、神獣の声だろう。


「種族、ヒューマン。」

「身長173。」


 え?そこから?


「年齢 45。」

暦は翻訳で自動変換されてるのか、それともこちらの1年と地元の1年がほぼ同じなのか???


「ステータス異常無し。おおむね健康。」

 はあ。健康診断かよ。神獣MRI ?

 毎回指摘されてた脂肪肝も改善されてるのかな?

「トータルレベル、レベルワン。」

「体力2」

「魔力2」

「使用可能魔法。水魔法。レベルワン。」

「使用可能魔法。回復魔法。レベルワン。」

「攻撃力3」

「攻撃特技無し」

「防御力3」

「防御特技無し」

「すばやさ 1」

「スキル・ユニークスキル無し」

「加護無し」

 神獣から吐き出される。


 異世界人が微妙な表情してる。平均的なレベルがわからんから、何ともリアクションしずらいわ。



 異様に重苦しい雰囲気の中、次は一緒に異世界巻き込まれたネーチャン勇者の番。


「種族、ヒューマン。」

神獣の中で聞くよりも、はっきり聞こえる気がする。そりゃあそうだろうけど。

「身長167。」

「年齢27。」


俺と同じパターンで読み上げるんだな。ネーチャン、年齢サバ読んでた。

「ステータス異常無し。健康。」

「トータルレベル、レベル30。」

「体力280」

「魔力175」


 ネーチャン、つええな。


「使用可能魔法。火炎魔法。レベル30。」

「使用可能魔法。雷魔法。レベルワン。」

「攻撃力300」

「攻撃特技 剣技 火炎剣」

「防御力295」

「防御特技無し」

「すばやさ101」

「スキル早足・ユニークスキル無し」

「加護・炎の神の恵み」


 100でカンストじゃないんだ。しかし俺とはけた違いだな。さっきの気まずさ分かるわ。ネーチャンが本命勇者か。


 最後にホームセンターのパートのおばちゃんも計測。


「種族、ヒューマン。」

「身長153。」

「年齢 55。」

「ステータス異常無し。健康。」

「トータルレベル、レベル120。」

えっ?

「体力4800」

「魔力3640」

「使用可能魔法。火炎魔法。レベル480。」

「使用可能魔法。水魔法。レベル10。」

「使用可能魔法。雷魔法。レベル80。」

「使用可能魔法。氷魔法。レベル12。」

「使用可能魔法。回復魔法。レベルワン。」

「攻撃力859」

「攻撃特技 剣聖 弓聖 万本剣 雷神剣 槍千本 」

「防御力925」

「防御特技 半返し」

「すばやさ 214」

「スキル 俊足・罠絶対感知・

ユニークスキル、聖女の癒し・なあなあ」


なあなあ、ってなんだよ?!


「加護・豊穣神の恵み・雷神の恵み 」

 おばちゃんが吐き出されてくる。


 おばちゃんが昨日俺の部屋の扉壊したのは異世界に来て怪力になったかららしい。


 オレLV3、おばちゃんLV120。俺は明らかに巻き込まれ転移者だな。

 要塞の兵舎へ馬車で戻る。皆無言。。。。。。



 にやけた昨日の俺へ。キミの願いはかなわなかったよ。



 オレLV3 近衛騎士団長 LV20 剣聖剣豪と言われるひとでLV25ぐらいだそうだ。団長さん強い。だから召喚の相手に最初に立ったんだろうな。配下に剣豪レベルいるのかもしれない。


 召喚ターゲットはおばちゃんだったか。おばちゃんの周り20メートル四方ぐらいで巻き込まれたようだな



 昼めしも俺空気状態でだれも話しかけない。


 異世界に飛ばされてまでぼっちになるとは、おとといまでぜんぜん予想してなかったッス。

 大皿料理を無言で食う。気まずいが飯はうまい。


 午後、兵隊さんたちと体力測定だ。俺はLV3だけど。

 怪我は治ってる。体も動く。体力も上昇 懸垂他簡単にできた LV3だけど。


 軽く剣術の稽古、素振りして木刀木剣や木槍の持ち方習う。長いのや短いの、重いの軽いの、いろいろ持たされて適性を調べられる。

 騎士団長さんは得物を持つと目つきが違う。怖い。やはり騎士団をまとめる長なだけはある


 素振りのあとは、軽く打ち合い。


 こええ。すげえ。コテンパンに撃ち込まれる。


 木刀だよ、木刀。寸止めなんだが、木刀は合わせるわけで、持った手がしびれる。痛い。


 殺す気で打ち込んでも大丈夫だと言われて、本気で打ち込むが、全て跳ね返される。


 ネーチャンもおばちゃんも団長さんよりレベルが上なので、立ち木を打ってみてくださいと言われる。持ち方とかを指導するようだ。


二人とも立ち木を木刀でへし折る。まじかよ。立ち木粉砕剣。



 へとへとになって夕食。さじを持つ手がしびれていて、落としそうになる。夕食も無言。というか疲れ果てて、会話する気力もなかった。


 ネーチャンが主張したのか、風呂に入れた。なんだ。ザブンと入る風呂、この世界にもあるじゃん。


 体を洗う前に待ちきれず湯船に入る。風呂は適温だった。じーっとしてると、追い焚きはできないのでだんだん冷たくなる。


 スタッフが浴室の外に控えていてくれてるので声をかければたし湯可能なんだろうけど、遠慮した。


 石鹸はない。あれは油と灰を化合させたらできるような話を聞いたことがあるが、今日は無理だ。明日にでも、おばちゃん、ネーチャンと話してみよう。


 代わりに何かが入った謎の袋で体を直接拭くらしい。石鹸ほどは落ちないがないよりはマシ。からだのぬるぬるはとれないけど。


 はあー。


 この二日間の疲れが抜けていく。おやすみなさい。




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― 新着の感想 ―
[一言] まだ序盤しか読んでないですけど レベルワンって表記がなんか違うやつですね 続きが楽しみ
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