異世界召喚! 異世界旅行
ここまでのあらすじ
異世界に巻き込まれ召喚された。領主にしてもらった。
魔王、竜王ドラコと狼神ベイオウルフと冒険の旅に出た。俺は領内の仕事が山積してるんでズルする。
世界樹を巡るのと服に適した繊維探しの先発隊が出発して間もなく、天虎グリフォンが村にきた。
羽が生えた獅子に見える。どうすりゃいいんだよこれ。わが領の飛車角、ドラコとべーちゃんの不在はデカイな。
たいして間を置かずに、兵頭さんが全艦隊を率いて軌道上から降下してきた。俺にはドラコとべーちゃんの他に宇宙艦隊がいたんだった。
「殿、宇宙戦艦で天虎様を吹き飛ばしますから今のうちにお逃げを!シシトウ、トラ、とにかく殿を連れて大気圏を出ろ!天虎様より殿が優先だ。」
「待って兵頭さん!スンマセン。こいつも俺の仲間!」
兵頭さんたち種族の神だろうに。天虎様。それよりも俺優先てうれしいじゃないか。しかも天虎様はどう見ても俺の敵ではない。
【谷川に臨んで姿を映して見ると、既に虎となっていたんです。】
「おい、それ、有名な小説の一節だろ。いま、修羅場になってるの。巻いて巻いて。
【自分は初め眼を信じなかった。次に、これは夢に違いないと考えた。】
「だから、それはいいって。
虹の橋のたもとで待ってたら転移しちゃったんだろ?ミーちゃん。」
【フギャー!いいとこなのに。】
「スンマセン。俺のまわりの連中に説明しなきゃなんないの。簡潔に頼む。虹の橋のたもと、転移、べーちゃんとドラコが呼んでるみたいだから来てみた。いいね?」
【 ええ。かいつまんで話せばそうなります。 】
「ミーちゃんさあ、今日のところはジャンジャンかいつまんでくれる?後日じっくりたっぷり。今日はあらすじで。」
【500年くらいそれぞれ放浪してて、べーとドラコの声がする方に呼ばれてきました。キョーちゃんがいるとはなあ。】
お前は前から呼んでも来ないし、マイペースだったよなあ。
「みんな聞いたな?撃つな。
こいつも俺の仲間。昔からの仲間。べーちゃんとドラコに呼ばれてきた。俺もこいつらもみんな仲間。知り合い。友。領民。
撃つな。撃つな。絶対に撃つな。」
兵頭さんにはそのまま降下してもらう。
ミーもグリュフォーン、有翼の獅子を呼ぶ。吠えると飛んできた。手下だそうだ。眷属、家来、手下、指輪はなんだか訳し分けてるんだけど意味あるのかな?
ミーもグリュフォーンも金属としての金が好きだというので、たくさん出してやった。食べてる。猫に小判だわ。
鉛以上に重たいものを食べてどうやって飛んでるんだろう?排泄物はどうなってるんだろう?見たかんじ茶色いライオンで金属要素皆無なんですが?茶白猫だったんでなんとなくの面影はある。
「兵頭さんも居て。で、ミーちゃん、金ならいくらでも出すけど、マタタビ入り猫ミルク要る?液体おやつ要る?」
【 フギャー! ゴロゴロー。 ゴロゴロー。 】
酔っ払ってるから説得力無いけど、これでも獅子王。獅子神。
狼と竜と獅子。前からの宇宙戦艦。合わせたら異世界文明をこの星ごとぶっ潰せるんじゃないか?しないけど。
「ミーちゃん、会ったところ急で済まないんだけど、この宇宙連絡艇乗れそう?」
【ええ。】
そうか。そういえば、車に乗せて動物病院連れて行くのもそれほどいやがらない奴だったな。
「これからドラコとべーちゃんのとこいこう。世界樹まわってメンテしてくれてるの。
こっちから見て一番近い世界樹まで俺も飛ぶ。一緒に行こう。」
ムサシのナビでひとっ飛び。こんなに簡単でいいのか?
ドラコとべーちゃんたちの世界樹ツアーにミーも合流したところで魔王を改めて紹介する。
【 お前があの国の魔王か。 】
「はい。大体あの国と隣の国のあたりの魔王をして暮らしてます。」
魔王がひれふせすら言えない。やっぱ魔王は複数いるのか。縄張りあるのか?
「スンマセン。ベーちゃん、君たち魔王様と共存できそう?ドラコもミーも?」
(((できませんっ!)))
「魔王のどこが悪いの?今も世界樹の修復手伝ってもらおうとしているよね?
結構、ウチでもいろいろやってもらってるんだよ。遊園地とか、美容院とか、スープ屋さんとか。
ベーちゃんたちが来るまで邪気を吸って別のところに出してもらってたの、話したよね?
魔王のせいで困ってる人はうちの領内には居ない筈だよ?
ねえ、ちょっと面倒見てあげたいなあ。」
(((そういう事でしたら。)))
「スンマセン。魔王さんにもできることとできないこととあるだろうし、ベーちゃんやドラコやミーにも譲れないことあるだろ?
ちょっとすり合わせてみようか?ガラガラポンで仕切り直しに。ざっくばらんに落としどころを探そうよ、俺も付きあうから。そこらへん。とりあえず第一回ね。何度かやろう。今回はキックオフ。
じゃあ、まず、最初にうちの領内に来た魔王さんにはあとでゆっくり話してもらうとして、次に来たのはベーちゃんか。ベーちゃんどうなの?」
「正邪併せ呑めというのがまず難しいですが、キョーちゃんのコマンドなら。魔王を襲えと言えば襲います。マテならマテです。」
そういういかにもな洋犬じゃなくて、雑種のいい加減なイヌだったんだがなあ。どうしたんだろう?助かるからまあいいや。
「そういうキャラだった?べーちゃん。あ、スンマセン。そこは忠犬でお願いします。しばらく、マテ。じゃあ次。ドラコ。」
((同じです。滅ぼせと言えば滅ぼします。))
「ミーちゃんもドラコもそうか。で、誰が一番強いの?試さないの前提としてで、なんとなく。今日の今の予想。」
(((ドラコ > ベー=ミー >>>> 魔王 だと思います。)))
「えええ?そうなの?」
魔王が固まってるからそうなんだろうな。そりゃ自分より強いのが三頭いたら固まるわ。
「べーちゃん。これだけは魔王に絶対してほしくないってことある?」
(いくつかありますが、まずは領内で瘴気邪気を出さない。これがひとつめ。
あとはお互いに譲れる点を探しましょう。
あ、ふたつめ、キョーちゃんにえばらない。次えばったら滅ぼす。)
「ベーちゃん、俺から話そう。領内で瘴気邪気はね、昔の魔王さん。
何度か話してるけど、もう一度確認しよう。
あの、今はね、領内の魔気瘴気邪気吸いだしてよそに捨ててもらってるの。コスモクリーナー魔王よ。あんまり瘴気吸い過ぎて領内が奇麗すぎるのもよくないんだろうけど、魔王基準でほどほどに浄化されてるのよ。で、狼神ベイオウルフから見て、いま、うち、どんな水準?」
(確かに他よりは邪気が少ないですね。魔王の仕業だったとは。)
「じゃあ、第一回聖獣魔王会議はそれでいいかな?とりあえず今日の決めは、魔王さんは領内に戻ったら魔気瘴気邪気を出さない、むしろ吸い込む。いい?
よそでは遠慮なく出してください。ここはどうなんだろうな?ちょっと保留ね。サトー領では出さない、むしろ吸い込む。
じゃあ、今日は初の会議だからそのくらいで。
あとさ、今までの俺と魔王の関係があるから、いきなりえばるなっていうのも難しいだろうから、少しずつ。
しばらくしたらまた話そう。次回の座組はこのメンバープラス事務局書記としてひとり役人いれる。この冒険終ったら領都でやりましょう。
じゃあ、異論なければそれで。とりあえず次回まで、よしなに。とりあえず。」
異世界QCミーテイングキックオフIN出先。
「ありがとうございました。」
魔王が頭下げてきた。やればできるじゃん。
「で?ここまでどうだったんですか?旅。一応連絡艇ビューで早送りは見たとこ。」
「はぐれ獣人族を何軒か発見しました。衰弱していたので食物を与えました。ほぼ全員が移住を希望したので、材木とともに連絡艇に乗せて領都へ送りました。」
「スンマセン。それ、忘れてた。そうなんだってねえ。ありがとう。」
(((いえ、獣人救済は私たちの務めです。)))
「それにしても、こんな奥まで逃げ込んだ獣人もいたんだねえ。」
とうわけで、俺はかなりのズルをして一本目の世界樹まで来た。冒険なし。
今後は大森林をぐるっと回り一筆書きで6本の世界樹を回る予定になっている。最後に大森林中心のはじまりの世界樹に向かうつもり。
さて、その一本目の世界樹なんだが、木に詳しくない俺から見ても弱っている。枯れて折れている部分や、逆に細かい枝がたくさん出ている部分がある。後者は異世界の天狗巣病か。他にも毒々しい赤に変色している部分、紫色で明らかに瘴気を出している部分まである。
念のためエルフに話を聞くと、どれもおかしい、病気ではないかという。
まず魔王に魔王カッターで病変部分の先の部分を少し、切ってもらう。どーんと落ちてきた。中に魔物がひそんでいる様子は見られない。どういう理由だろうか。
その切り離した部分で試しにいろいろやってみよう。
「スンマセン。魔王さん、この枝の邪気瘴気を吸って。べーちゃんは破邪顕正ビームを切った木に当ててみて。ドラコとミーちゃんは周りを警戒。」
切った枝で破邪顕正ビームを試したところ、病変部分が元通りになっている。それぞれの手が空いてる眷属には雑草的な何かや世界樹に好ましくない魔物を倒したり焼いたりしてもらう。
「ビュルビュルさん、これでいいの?」
「いや、先ほどよりはよほど良いが、まだまだ本来の世界樹の姿ではない。只の樹と違い本来なら光るのだ。」
「んじゃあ試しに俺のエリクサーで世界樹を修復してみるわ。やっぱこの切った枝で試そう。魔王さんどいて。」
魔王さんを溶かさないようにエリクサーをかけたら枝が小さい世界樹になっちゃった。なるほど淡く光ってる、異世界世界樹の株分け。こりゃ面白い。
「ああ、世界樹が治っている!」
エルフが感動している間に本体にも手をつける。
魔王カッター抜きのべーちゃん破邪顕正ビームと俺のエリクサーでみるみる世界樹が修復される。明らかにやばい部分も切らなくてよかったようだ。俺の液体魔法で世界樹液体肥料もやる。まばゆい光があたりを照らし、やがて世界樹が淡い光をまとった。いかにも異世界だなあ。
じゃあ、このまわりの雑草やらなんやら刈り払っておくか。ありゃ、ニュー世界樹が魔王についてきてしまった。まだ根付いてなかったのと、目の前にいた魔王に刷り込みしたのか。歩く枝。歩く幹。
「ちょっと助けてくれ。このままでは邪気瘴気が出せず溜め込むばかりになってしまう。いくら我でもホドというものがあるのだ。」
【ははは。自業自得だ。これからは邪気瘴気を出さず正しい道を歩めよ。】
(私は世界樹です。変なものに憑かれてだいぶ弱っていました。助かりました。
そのこどもたちはキョータさんの家の近くに植えてやってください。キョータさんとその子孫の護り木になるでしょう。)
「え?俺の名前までわかるの。すごいなあ。あーっと、なんとなくですが世界樹肥料出せそうな気がします。木なだけに。
肥料、出してみていいですか?」
(ますます好ましいです。お願いします。)
「こんな感じでどうですか。最初は薄めですこし。」
「あっ、これです。もっと濃いのをたくさんください。すごくいい。」
「ホレホレ、そんなに欲しかったのか。グフフフ。」
「あー。熱い。濃い。もっと。ください。いい。あー!すごーい!もっと。もっと。あひぃいい。」
なんか世界樹がひとまわり大きくなり、光も増した。
「スンマセン。今日はここまでで魔力切れです。ちょっと横にならせてください。疲れた。フゥー。」
へたり込んだところに、モブ獣人宇宙連絡艇乗組員が担架を出してきてくれた。なんかうまいこと簡易ベットを組んでくれた。
「スンマセン、地べたに寝るよりこっちのほうがいいよね。気が利くね。他の連中は次に向かうから。
世界樹さん、ニュー世界樹は帰りに寄るからそれまで預かっといて。魔王についてっちゃあ駄目だよ、悪い人なんだからこの人。
根が生えて居つくんならそれでもいいし、まあ、そっちのいいようにしてください。
あと、魔王さんは道中の大丈夫そうなところで邪気魔気瘴気出しといて。
それと俺はもう少し休むわ。体調良くなったらいったん領都へ帰る。あとはまたよろしく。」
「そうする。大丈夫そうなところで吐き出す。」
魔王は本当に苦しそうだ。魔王って魔気邪気で生きてるのかと思ったらそうでもないのか?
人間でいえばおなかいっぱいな取り過ぎただけ?
お読みくださりありがとうございます。
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