異世界召喚! 新スキル
ここまでのあらすじ
異世界に巻き込まれ召喚された。領主にしてもらった。
魔王が来たと思ったら、竜王ドラコと狼神ベイオウルフまで来た。
「ドラコもべーちゃんもよろしくね。時間ができたらさ、この世界の旅しようね。」
<ヴォオオオオーーー。もう一匹呼びます。>((ブォーーーン!もう一匹呼びました。))
「え?スンマセン。また、なんか増えるの?楽しみにしておくね。」
と、モブ役人が入ってきた。早くねえか?
「殿。神獣様がスキルを分析したところ、誰にもわからないスキルでしたので、殿ならわかるか聞いてこいとのことでした。」
神殿警護の役人だったか。
「とりあえず、なんていうスキル?」
「アパレルメーカー、だそうです。」
「アパレル?ちょっと待って。翻訳の指輪外すから。」
キュルガッガとしか聞こえない。こっちの言葉は大体キュルガッガとかだな。
中国の四声みたいに微妙な上下とかなんかあるんだろうか。解剖したわけはないが異世界人も発声器官は似たように思えるので、これも異世界の謎のひとつ。
「やっぱ、アパレルか。スンマセン、今、手を付けてる仕事終わったら俺が行くから、神殿で、そうだなあ、30分ぐらい待っててもらって。
その間は何しててもいいや、待ってなくても。
で、俺、とにかく神殿に、30分ぐらい。30-40分ぐらいで行くわ。」
「はっ、かしこまりました。その旨伝えます。」
「アパレルねぇ。」
手が空いたので神殿へ行く。お供の獣人とあわせフリーパスで入る。顔パスか。アパレルの子の待つ部屋に案内してもらった。スキル鑑定年齢の若い女の子だ。金髪に色白、ここら辺では珍しい黒目で10代前半に見える。まあそんなもんだろう。ブロンドで黒目っていうのも異世界だな。
「スンマセンスンマセン。お待たせ。アパレルのスキルって君ね?
多分なんだけど、着るもの全般に関するスキルだと思う。
あのさあ、こういう服着たいっていうのあります?」
「はい。あります。」
「じゃあ、ちょっと出してみて。念じて。」
「うん、はっ。あー。あっ、出ました。服が。」
「こういうの着たかったの?
いいねえ、着てみてよ、これ。
あ、着替えはどっか別の部屋で。神官さんに部屋聞いて。グフフフ。」
若い女の子だからね。領主の俺が命じればここで着替えるんだろうけど、俺が恥ずかしい。
「ああ、似合うねえ。君は何を着ても似合う感じだな。ウヒヒヒ。
じゃあさあ、こういう布欲しいっていう布ある?布の形で出してみて。」
「え、はい。うーん。ああ、出ました。」
「君のスキル、だいたい分かった。疲れてなければ今度はこの布出せるだけ出してみて。
あ、いきなりだと倒れるから、じわじわ出して。反物で。
ドーベルさん、この子が出した布、ざっと巻いてくれる?」
「「わかりました」」
「おおおおおー出るね出るね出るねぇ。巻いてるドーベルさんが、もう持ちきれないでしょそれ。ここで休憩にしましょう。」
「スキルがだいたい分かったっていったけど、多分、服装全般のスキルだと思う。布を作ろうと思えば作れる。服を作ろうと思えば作れる。
アパレルメーカーっていうのは、服をバンバン作るの。
工房はひとつひとつ手作りでやってるでしょ。糸がないと織れない。布とか革がないと服にならない。そこらへんを全部飛ばしだな。
スンマセン。いきなり作らせといてアレなんだけどさ、布作るのと服作るので疲れ具合違う?」
「わかりません。殿さま。もう少しやってみればわかると思います。」
「そうか、じゃあさ、キミ、兄弟とかお父さんお母さん居る?おうちのひと。」
「はい。父、母、男の兄弟が3人、女がわたしを含め2人です。」
「君の分もう一枚含めて、出せる?全部で7着かな。
考えながらそれぞれに似合いそうな服って、別々に。なんなら何色でもいいよ。」
ここらの異世界は染色技術が未発達なんだろうか。貴族以外は大体生成りの薄茶色セピア色から黄土色あたりの服が多い。下層民と俺と始まりの村の黒人種は魔物服もいる。
「はい。領主さま。父には濃いめ緑色のこの服。母には汚れが目立たないように濃い茶色のこういうので、いかがでしょう?」
「スンマセン。言い方が悪かった。好きな服でいいってば。どうせ家族にあげるんだから。」
では。兄は気難しいところがあるので聞いてからのほうがよさそうですので、あとで聞いてまいります。
弟は2人ともよく転ぶので膝あて膝あてを最初から付けてみました。女2人はあまり目立たないように普通に薄茶色普通の仕立てで。」
「このひじ当ていいねえ。これだよ。こういうの。ケイティ先生とは学校で会ってるよね?あとで、世の中にはどんな服があるか聞いといて。」
メモ書いて渡す。
「スンマセン。名前聞いてなかったね。何ていうの?キミ。」
「ニール。です。」
「そうか、ニールちゃん。服の勉強して色んな服作って。もちろん、服を売ったお金は君の収入。それと、工房にも顔出してどな糸どんな布が欲しいかも聞いて、作ってあげて。それの値段は工房との話し合い。頼むね。
あっ、服の値段も工房より高過ぎず安過ぎず、ニールちゃんのおうちの人や工房とも相談して。工房よりちょい高めかな?
じゃあ、あとはバンバン作って。タノンマス。疲れすぎない範囲でね。
売るのも工房経由で商人におろすのが無難かなあ。
あ、モブ役人さん、これ、今度の議題。服のルート。俺はもう少しナニちゃんだっけ? ニールちゃん?が服の勉強したら貴族向けとかの高い服作ってもらったほうがいいと思う。仕立てがダメなら生地で。」
ここらの服は広義の麻のようなものだろうか、実にざっくりとしてごわごわの布地しかない。それも木を裂いて複雑な工程を経たものだ。麻製でも上布とかなんかいろいろあった気がするがそっち方面は疎いので全くわからない。動物性は革ジャンみたいな革。ミンクみたいな毛皮は無さそう。絹もない。異世界定番の蜘蛛繊維も見かけない。
俺がナイロン出せば混紡で貴重な繊維を節約できる。早く気が付けばよかった。しかしそれにしてもまだ生地が足りない。服は高級品だ。厳密にいうと高級品ではないのだがおそろしく高くつく。
俺が始まりの村に最初に来たときはとにかく極貧状態で、全裸の爺さん婆さんいたもんなあ。見たくないもんをモロ見た。麦わらにくるまって眠ってたんだけど、今になって考えたら麦で蓑って作れなかったのかな。まあ、今さら要らないけど。とにかく服が増えるのはいいことだ。
思いついてべーちゃんとドラコに聞いてみる。街の周りをうろうろしていたので助かった。どういうわけか、魔王までいた。まさか、体育館の裏で魔王をフクロにしてたんじゃねえよな?
「スンマセーン。べーちゃん、ドラコ。俺が日本できてた服とか、運動会の綱引きで引いてた綱とか覚えてる?」
<はい。>((服なら。))
「でさあ、今ね、こっちの世界の服ってゴワゴワしてるじゃん。向こうで俺が着てたような服が欲しいなあ、って、今思ったんだけど。
服のもとになる糸になる木の種とか、わかるかなあ?
異世界なんだからまったく同じ綿花っていうわけにはいかなくてもいいの。今よりはまともな、柔らかい服が着たいの。」
(( そうでしたか。それならやはり竜の皮を千枚か二千枚でも。 ))
<わが眷属の皮を生きたまま剥ぐのは気が進みませんが、キョーチャンの命令なら。>
「待った待った待ったあ!スンマセン。待ったあ。やめて。スンマセン。やめて。
聞いてた?動物性不要。ゴワゴワの毛皮も竜の皮も無し。植物性が欲しいの。生き物禁止。ふわふわの木の実探してんの。
うーん。質問変える。この国の服より柔らかそうな服を着ている国ある?庶民平民が。」
<はい。人族とはあまり接触がなく、よくわかりません。そのうえで、ですが、この国の西方、大森林を越えた西の国では柔らかそうな服を着ていました。>
「じゃあ、いってみようか。べーちゃんの足でどのくらいかかりそう?」
<直線で突っ切れば、30日くらいあればいけそうです。柔らかそうな服を着ている平民を生け捕りにして戻ってくるまでに70日ぐらいあれば。>
「待って。スンマセン。生け捕りも無し。
柔らかそうな服を着ている人にどこで買ったか聞いて、順番に聞いてまわって商人までいって産地までいって、服を買う、布を買う、糸を買う、種を買う。そうしたい。
俺ももちろん一緒に行く。あ、無理か。そこまでは俺、ここを抜けられねえな。仕事の合間合間に途中途中で顔出すわ。スンマセン。」
まさかの異世界綿花探しの旅。この世界の旅よろしくねは言ったそばから実現。伏線とか作劇上の技巧とかねえな。俺にとってはこれが現実だから。
ひょっとしたら綿花探しじゃないかもしれない。例えば異世界麻を柔らかくする技術かもしれない。異世界蜘蛛魔物探しかもしれない。けど、それでも同じことだ。
メンバーとしてはべーちゃん、ドラコ。それに魔王が居れば旅先で困ることはまずないだろう。天狗の善人坊さんは旅が好きだからついてくるだろうな。善人坊さんにも綿花のありか聞けばよかった。あとからあとから気が付くことばかりだ。それにサポート役として宇宙連絡艇に獣人兵つければ問題ないだろ。
冒険というよりは気晴らしの遊山だな。このメンバーとサポート体制で何かある方がおかしい。
「スンマセン。べーちゃん、ドラコ。2-3日したら、大森林越えの旅に出よう。荷物は宇宙連絡艇に積むから身軽な格好でいいや。俺は2-3日に一度くらいは合流するから。4-5日に一度かも。面白そうなの見つけたら呼んでね。
ところでべーちゃん、ドラコ、宇宙連絡艇に乗れる?上にしがみつく形でもいいんだけど?その方が早く着きそう。」
< (( それは無理です。 )) >
「そうか。じゃあ、べーちゃん、ドラコのペースで。ケンカしないでね。魔王さんもよろしく。
あと、二人でと天狗さんに一緒に行くかどうか聞いといて。多分、行きたがると思う。
宇宙連絡艇は斜め上からついていく形で。じゃあ兵頭さんに頼んで一隻かそこら回してもらうから。」
俺たちの旅は始まったばかりだぜ!
お読みくださりありがとうございます。
誤字の指摘、高評価もお願いします。




