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異世界召喚! 龍王ドラコ

 異世界に巻き込まれ召喚されたおれは、なかばお情け・なかば追放の形で辺境の村の領主にしてもらった。

 狼神ベイオウルフが俺たちの領都にやってきた。

「魔王もおとなしくしてろよ。領主として命じる。」


 大公の件だがベイオウルフさまが出現したので大公にするの待ってください、とうまく逃げた。狼神ベイオウルフの出現はそのくらいのインパクトがある出来事らしい。助かった。王都に行かなくて済んだので、領主業務の他には狼神のベーちゃんと観光都市カワサキ見物したり、ぶらぶらして過ごした。




  一か月ほどして、もの凄く強い風が吹いた。


 ベイオウルフの次はトカゲが飛んできた。


 風圧で、石で組んだ物見櫓が吹っ飛ばされる。今度は鉄で作ろう、などと現実から逃避してみる


((犬っころの分際で、我を友呼ばわりとはふざけた奴だ。焼き殺してやろうか?))


 うわー、全然友でも何でもねえじゃん。ベーちゃんでも勝ち目無さそうじゃん。しかもこのトカゲ、本気で怒ってるみたいよ????


〈待て待て、今はそれどころではない。お前はこのお方に、見覚えないのか?〉


「ん?」


 爬虫類アイで見られる。怖い。村人は全員が、いかにもな格好で腰を抜かしてぶっ倒れてる。逃げることすらできない圧倒的な存在感だ。


(( キョーチャン様?))


「えっ?スンマセン。誰?

や、スンマセン。 どなたさま????」


「ドラコです。」


「うわー、ドラコ??」


昔、父親がトカゲと飼育セット貰って来た。引っ越すから飼えないっていう人から。

ドラゴンみたいだからドラコって名前つけてかわいがってた。まあ、ドラゴンみたいからドラゴンに職業をレベルUPしてたのね。面影あるっちゃあ、ある。ないっちゃあ、ない。

 いまのドラコは、ちょっと比べる物がない大きさ。10メートルの城壁をひょいとまたぐ狼と、それより数倍はデカイ竜。

 ナンボなんでも話が大きくなりすぎだろ。異世界フアンタジーだってここまで話の風呂敷拡げねえよ。や、ここ、フアンタジー異世界だけどさあ。作劇上の作法ってあるだろ。作法。


 でも飛んできてしまったものはどうにもならない。ドラコは悪くない。


 うちは両親が動物好きで犬猫飼っていたが、爬虫類はドラコが最初で最後。犬もベーチャンが最初ではないが最後。


 水槽からヒーターから一式そっくりもらってきた。そこらの虫捕まえて食わしたり、冷凍の芋虫買ってきて食わしたりしてたが、犬猫ほど長生きはしなかった。飼い方の本も買ったが、どうも下手だったのかもしれない。


(( 爬虫類時代は頭も悪く、何もわからなかったが、こちらに転生してからは、この犬同様に知恵が増しました。だんだんと虹の橋で待っているあいだにだんだんと思い出し、お世話になっていたころのことも気がつきました。

 トカゲ時代はお世話になりました。

 あの時の恩をこれからお返しします。 ))


「エッ?虫やったぐらいじゃん。ドラコはうちにきてすぐ死んじゃったし。

 あっ、俺、生きた虫要らないからね。貰っても困る。」


(( いえ、前の飼い主に比べたら、いろいろ調べてくださったり、調子が悪くなってからもいろいろしてくださったじゃないですか。 ))


〈 そうそう。キョータ殿は我らに厚くしてくださった。〉


((そこの犬っころはすっこんでろ。我と一緒にするな!))


〈なにをトカゲの分際で。〉


「まあまあ、二匹とも落ち着いて。」


「「ハイ!」」


「キミタチがけんかすると、この村壊れちゃうから。ホントやめて。まじで。たのんます。


 でもさあ、ドラコとベーちゃんは飼ってた時期が違うじゃん。なんで知り合いなの?」


(( 先ほども申しましたように虹の橋では多くの動物が飼い主を待っていて混みあっております。

そんななか動物同士で話しているうちに、なんとなく佐藤家を待つ動物が集まりまして。 ))


 〈 待っているうちに異世界に飛ばされ、また別れてしまったのですが、こっちの世界に500年もいればどこかで会う折もありました。以来、いつも一緒に行動を共にしていたわけではないのですが、オトーさんかトミコさんにお会いする折りがあったら連絡を取ろうと決めておりまして。 〉


「スンマセン。ずいぶん待たせたねえ。しかも両親じゃなくて俺。あ、ベーちゃんには伝えたけど、オトーさんもトミコさんも5年位前に会ったけど元気でしたよ。っていうか、またしばらく一緒に住んでたんだよ。」


(( そうでしたか。その間にずいぶん修行も積めましたから、悪い話ばかりではありませんでした。 ))


「へーえ。まあ、ありがとう。まさかこっちで知り合いに合うとは思わなかったよ。


 もう、ベーちゃんには言ったんだけど、ドラコもさあ、この村に居てくれるといいなあ。頼むよ。時々仕事で出かけるのは仕方がないとして、本拠地はここ。」


「「ハイ!

そうします!!」」


「ベーちゃんは狼神ベイオウルフになっちゃったらしいけど、ドラコはどういうポジションで暮らしてるの?」


(( 龍王として暮らしています。眷属や配下はいませんが、他の竜は大体説得か追い返せます。従わない場合は少し威嚇すれば、今までのすべての動物は逃げ去りました。

 人間に竜殺しの勇者というのがたまにいますが、大き目のトカゲのモンスターを倒す程度です。本当の竜は人間ごときには殺せません。 ))



「うわースゲーなドラコ。人間ごときでスマンねえ。」


(( あー!すみません! しかし、その人間如きに1000人の命と引き換えに呪われてこのように力を失ってしまいました。))


「え?それで力失ってるの?すごいなあ。」


「はい。」


「あーいいいよ。気にしてないから。ツマンネー突っ込みごめんね。


そういえばさあ、トカゲの時は食べなかったけど、いまはホットケーキ食べる?ああ、そう、じゃあ焼いてもらおう。

 よろしく。

 キャシー、あるだけの鉄板つかってあるだけホットケーキ焼いて。追加。クリームのっけてあげて。

で?呪いってなに?」


(( 本来の姿ではなくこのようなよわ弱いトカゲの姿に呪われてしまいました。))


「え?これで呪われてるの?解呪の探検の旅に出る?楽しそう。

とりあえず試しに ちょっと エリクサー出すから掛けて?」


(( これは本来は国の一つや二つの値打ちがする秘薬ではありませんか。エリクサー探しだけで大冒険ではありませんか?わたしのようなものに。))


「いーから。効く?割と簡単に出るのコレ。

 あーそう。じゃあ、ニャルルさん、こいつ五右衛門風呂に連れてって。五右衛門風呂じゃ無理だな。城壁の外でエリクサー飲ませて浴びせてやって。試しに。とりあえず。ちょっとかけて溶けそうならやめて。よさそうならドバがけの上ゴクゴク飲んでもらって。」



 遠くのほうからドラゴンらしき絶叫が聞こえる。ああよかった。呪い取れたのね。魔王さんに頼んでもよかったかな。呪いとかその手の欲しがってるし。まーい、や。想定外の連発で頭が働かない。


 さっぱりしたドラコが帰ってきた。脱皮して完全にドラゴン形態じゃんきみ。ちょっと小さくなったな。


「ところでキミタチ、俺のほうからは何ができるのかな?ホットケーキ以外で。教えて。あ、若い娘の人身御供はだめよ。そっちのそういうの以外の方向で。

なるべく穏便なやつね。ドラコには今牛乳出すから、ガンガン飲んで。これもとりあえずの栄養補給。あ?なんかのケモノの血液に似た液も出せるけど?」


 < (( おそばにおいてくだされば! )) >


「あーそう?じゃあよろしくね。俺たちの暮らし見て、ホットケーキ以外にもなんかあったら言ってね。あとで魔王以外にも河童とか天狗とかも紹介するね。色々いるんだよ。種族。まあ、とりあえずホットケーキ食べよう。」


 < (( ハイ! )) >


いつの間にか、オレサマは龍王を統べる者、狼神を従える者、になってるし。領内多忙で大公断れそうかなあ。

 


 ベーちゃんとドラコという二匹というか二体というか二柱と呼ぶのかともかく二つの聖獣半神が領内に居ついてしまって、しかも俺に完全服従。聞いたこともないこの世界の知識と、途方もない戦力提供してくれる。たぶん龍王を統べる者狼神を従える者としての責任も発生してるんだろうけど、そもそもの俺は無能勇者失格勇者だから勇者の責任も果たせてない。


 ワイバーンが領内に侵入してきた。城壁には機関銃が装備されているが念のため宇宙連絡船と宇宙フアイターに援護を依頼する。

「こちら宇宙空母ムサシ。各地から宇宙フアイターを飛ばしています。最初のフアイターは20分後にコンタクト。以降順次到着します。」



(( お待ちください。ワイバーンはわたしが呼びました。))


「え?

あっ、ムサシ。攻撃中止。攻撃中止。宇宙フアイターは許可あるまで上空で待機。攻撃中止。撃つな。」


 ドラゴンを慕ってワイバーンが大量にやってきた。

(( ワイバーンに牛乳とケモノの血を上げてください。))

「え?

あっ、ムサシ。攻撃中止。宇宙フアイターは定位置に戻して。攻撃中止。撃つな。定位置。」


 ドラコの配下のワイバーンは人を乗せてくれる。飛竜という奴だ。以前村を襲ったやつと違って人間に害はない。

 俺にとっては、どうしても必要というわけではない。宇宙空母の宇宙連絡機があるから。

 だが、獣人枠河童天狗枠みたいなもんで、サトー領にいてもらうことにする。


 例によって大酋長が俺、龍族のカシラ龍王がドラコ。以前ワイバーンが村を襲ったことがあるが、ドラコに頼んで人里では悪さしないようにする。

 よいワイバーン。訓練された飛竜。飛竜騎士団。


 龍山で龍は死ぬので死体がたくさんある。宇宙連絡機で大まかなことは知っていたが、これ、物凄く価値があると今知った。今。


 龍族の価値観では先祖の死体に意味は無いそうだ。なので貰う。

 俺が持っていても仕方がない。ドワーフにやる。


「スンマセン。ベッケンさん、これ、自由に使ってください。」


「もう、お前には驚かないと決めていたが、これは一体どうしたことだ?」


「スンマセン。竜がくれただけで、俺が捕まえたり見つけたりしたんじゃないんですけど。」


「竜が くれただけぇ?」

 絶句している。短躯髭面のおっさんが固まってるのを見ても何も面白くない。怒ってるのかな?ちょっと怖くなってきた。沈黙に耐えられない。


 あ、再起動した。


「これは亜龍とか、とかげでは無い。俺もあまり見かけたことが無いんだが、ホンモノの龍のうろこや骨だろう。古竜とか黒竜のたぐいだ。ミスリルどころの値打ちではない。

 この龍のうろこ1枚で王国や帝国がいくら出すか見当もつかない。」


「スンマセン。何かいいものができたらいいですね。」


「何かいいもの?


 ぅあ?


 おう。そのつもりだ。」


  ドラコは

(生きてる竜を片っ端からつかまえて、全部うろこ外すし骨も抜いてきます。どんどん失敗していいからどんどん腕を上げてください。)と言う。

 完全にその気になってる。ヤバイ。


「や、その、スンマセン。今お墓にあるやつで充分ていうか、これいっぺんに出すだけでも大混乱すると思うし、らしいし、加工も間に合わない。生きてる竜のほうは今はそっとしといてあげて、ね。


 骨抜くってどうやって抜くかわかんないけど、たぶん後の生活大変になるから。必要になったらお願いするから、それまで、タンマ。あとで。」


(はい。要る時は言ってください。千や二千の生の骨ならすぐに集めます。)


「ありがとう、ありがとう、要る時いうから、今はいいからね。ありがとう。ベッケンさん、ほら、お礼。」


 兼ね合いっていうか程っていうか、分かんねえ連中だな。冗談言えねえぞこいつらに。


 解呪の旅、なくなってよかったんだかそうじゃないんだかわかんねえな。



(ヴォオオオオーーー。)「ブォーーーン!」


「ドラコもべーちゃんもよろしくね。時間ができたらさ、この世界の旅しようね。」


(ヴォオオオオーーー。)「ブォーーーン!」

お読みくださりありがとうございます。


誤字の指摘いただき幸いです。好評価と合わせて引き続きお願いします。

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