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その九 二日酔いでお休みします


「…痛てててて…」


ディーノはガンガンする頭を抑えて起き上がる


昨日…というか今朝方まで酒を煽っていたので親方も隣で大の字に寝ている


「お?起きたかの?」


勝治は二人よりも飲まなかったので朝食を用意して待っていた


「…む?つい寝込んでしまったか…」


そんな二人のやり取りで親方も目を覚ました様だ


「師匠‼お早うございます」


「うむ。朝食を用意したでの、二人で食べるが良い」


「…ちょっと胃が…」


「親方、爺さんの作る朝食は胃もたれしててもスルッと入る「白粥」ってヤツだから食べてみて下さいよ」


「どれ…おぉ、あっさりしていてスルッと入るな⁉」


「でしょ?」


ゴチン‼


「何お前ぇが威張ってんだ⁉師匠が作ったヤツじゃねぇか‼」


「痛てて…親方は直ぐ手が出るんだから…痛くて仕方がねぇよ…」


「ワハハ、ディーノよ。親方ってのはどこの世界でも手が早いのじゃよ。ボンクラな弟子を育てるのには叩いて覚えさせるのが手っ取り早いんじゃよ」


「流石師匠‼分かってらっしゃる‼」


「お主も苦労しとるようだの」


「まぁ弟子が弟子ですからね…」


「ちょっ⁉何分かち合ってんスか⁉」


「ディーノ‼今日は仕事は休みだ。先方に断りを入れて来いや」


「は?ズル休みっ…痛て‼」


「バカ野郎、外を見てみろ‼今日は午後には天気が崩れてどうせ仕事にゃならねぇ。

なら今日は師匠に技を仕込んで貰った方がよっぽど有意義ってモンだぜ‼」


「はぁ…てっきり二日酔いで仕事にならねぇからズル休…痛てて‼そんなポカポカ殴らなくても…」


「物分かりが悪い弟子にはこれが一番聞くんだ‼とっとと行って来い‼」


「はいっ‼」


ディーノが慌てて出掛けた後親方は勝治に組み木細工の手解きを受けるのであった


「…と言う訳で職人の腕は道具とそれを使う腕で決まるんじゃ」


「…この鉋一つにしてもこれだけの種類が…勉強になります‼」


「この世界では木材は柱としてしか利用せんようじゃがワシの所では壁や家具、何にでも使う。

先人はその用途に合わせて多種多様な道具をその都度作ったと言われておるの」


「成る程ねぇ…その中から切磋琢磨してこの組み木細工の様な技が生まれたんですね?」


「流石は棟梁を張るだけの事はあるのぅ。ワシの弟子は覚えが早くて助かるわぃ」


「そんなに誉めないでやって下さい。図に乗るといけませんので」


「そうかの?では組み木の基本から教えるで良く見ておくんじゃぞ?」


「はい‼」


親方は勝治の一挙一動を見逃さない様に己の眼に焼き付ける


それほど勝治の細工は巧妙で木材を知り尽くした技は一見の価値のあるモノだった


「…まぁこんなモンじゃ。…ちと休もうかの、流石に疲れたわい」


「‼すいません、師匠‼つい夢中でお体の事を気遣えず‼」


「まぁまぁ。取り敢えず茶でも淹れようかの。その間テレビでも見ているが良い」


「「テレビ」?」


ーテテテーテッテッテテレー♪ー


「師匠⁉これは⁉」


「時代劇じゃ」


親方はソコではなくてこの黒い箱の中にいる人達は小人なのかが聞きたかったのだが黙っておいた

弟子が余計な事を聞くのは職人の世界ではご法度なのだ


勝治は有意義な1日を送れて大満足であった

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