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その七 勝治さん、親方だったの?

本日分投稿スタートです


勝治とディーノは晩酌を楽しんでいた


「え?勝治さん大工なの?しかも親方??」


「そうじゃよ。これでも若い頃は呑む打つ買うで鳴らしておったんじゃぞ?」


「へぇ~、まさか爺さんも大工だったなんてな。」


「まぁこの家を見ればこの辺の大工の腕も分かるってモンじゃ。ワシから言わせるとこりゃ家じゃねぇ、小屋じゃよ」


勝治は昔を思い出して胸を張る


「爺さんの造る家も見て見たかったな…」


「まぁ見てろ。いずれ体力を取り戻して造ってやるぞぃ」


「アハハ、楽しみだな。爺さん」


今宵の酒は楽しく飲めそうだ


ー翌朝ー


「…さん…さん…爺さん‼」


「…む?どうした?」


「どうした?じゃねぇよ、朝だから俺は出掛けるぜ」


「…おぉ、気をつけての」


「爺さんもトレーニング頑張れよ」


ディーノはスクーターでペケペケと出掛けて行った


「さて、昨日あれだけ風呂敷を広げたんじゃ…せめて腕前を見せんとな…」


勝治は細い木切れと大工道具をテーブルの上に置いた


これから勝治が作ろとしているのはちょっとした「組み木細工」だ。

体力が落ちすぎていて大物は作れない勝治でも組み木細工の小箱なら作れるし自分の技術をお披露目出来ると考えたのだ


ー30分後ー


「むぅ…納得がいかん…鈍ったの」


昔取った杵柄とは言え流石に(かんな)を握らない時間が長すぎたのか勝治は仕上がりに納得がいかない


勝治は飲み食いも忘れて作業に没頭し夕暮れ迄にやっと納得のいく細工を完成させた


「爺さん、帰ったぜ」


ディーノが元気に帰宅した


「ほれ、これを見てみぃ」


「…こりゃスゲえ…何で細かい細工なんだよ?」


ディーノは組み木細工の妙技に目を見開いている


「何しろ久しぶりじゃからの、こんなモンしか作れなかったわい」


「こんなモンって…俺ぁ今までこんな細工、触った事も見た事もねぇぜ?爺さんが現役だった頃はどんだけだったんだよ?」


ディーノの素直な感嘆の声に勝治は嬉しくなった


「さ、ワシも疲れてしもうたし早速飯にしよう。今日は「刺身」じゃ。酒が進むぞ、これは」


「「刺身」って…こりゃ生魚じゃねーか⁉…食って腹壊さねぇか?」


どうやらこの世界では食材を生で食べる習慣はないらしい。それほど食料事情は整っていないらしい


「まぁ食ってみろ、話はそれからじゃ」


ディーノは勧められるままに切り身を醤油に浸して一口食べる


「…こりゃうめぇ‼」


「そこで酒を煽るんじゃ‼」


「…くぅ~っ‼染みるねぇ‼」


「ワハハ、ディーノも味が分かる様になったの。どうじゃ?刺身と酒の相性は堪えられんじゃろ」


「あぁ。爺さんの出す料理はどれもこれもうめぇがこりゃ別格だ」


「さぁさぁ、今日はこれを肴に大いに語り合おうではないか」


「望む所だぜ、爺さん」


職人の気質は世界が変われど同じ様だ

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