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その四十四 それは突然やって来た


勝次達が温泉宿に着手してから1ヶ月


この世界の建築スピードとしては異常な早さで次々と建物が建っていった


「カツジ様、皆さん。お疲れ様です」


そんな現場にガイドが差し入れを持って労いにやって来た


「いやぁ、出来るスピードも驚きますがこうして建っていく宿を改めて見るとカツジ様達の雰囲気作りにも感心致しますな」


ガイドはそう言うと建物とその周りに作られた庭園を眺める


温泉が出たと言うだけでただの荒れ地に近かったこの場所は今日本庭園に囲まれた素晴らしい温泉宿に変わりつつあった


この世界でも庭園という概念はあり王公貴族達の私邸や城等にはあるにはあるが

建物の窓から見える景色を一服の絵画の様に捉える日本の庭園様式はとても珍しかったのだ


「この庭造りはの、ワシの国の原風景や景勝地等を模して造るのじゃよ。

まぁワシは大工で庭師ではないから詳しくは言えんがの」


私共の宿にも貴族達の庭にも庭園はありますが木々や花等を規則的に配置するのが主流です

カツジ様の造られた庭園は「自然美」を表しておられるのですね…


「ほっほっガイドは理解が早いのう」


「お褒め頂き光栄です」


「肝心な納期じゃがあと2週間もあれば引き渡せるじゃろうて」


「え?そんなに早く完成するのですか⁉」


「うむ。じゃからガイドはここで油を売っておらずに従業員達への指導や提供する料理等を早くせぬと間に合わんぞ?」


「確かに、急いで準備を進めます!」


ガイドは慌てて戻って行った


「あれ?大師匠、ガイドさんは帰ったんですか?」


「ほっほっ、サボっておったので渇を入れてやったのよ」


「かぁ~、相変わらず厳しいなぁ‼」


「コラァ‼ディーノ!何サボってやがるんだ!さっさと道具取って戻って来い!」


ガルドはディーノに檄を飛ばす


「かぁ~、親方も厳しいや…」


「さて、ワシももうひと踏ん張りするかのぅ…」


ー…ガクッ⁉バタリ…ー


「師匠、この瓦はこちらの離れに…師匠っ⁉」


ガルドが勝治に瓦の配置を聞こうとやって来たがソコには倒れる勝治の姿があった


「おいディーノ‼師匠が大変だ!早くこっちに来い!」


「え?あ、はいっ!」


二人は勝治をプレハブへと運んだ


「おい、医者を読んで来い!」


「はいっ!」


ディーノが弾ける様に外に飛び出す


「師匠…ご無理が祟ったのでは…」


ガルドは未だ意識の戻らぬ勝治を看病するのだった


ー数十分後ー


「親方ぁ‼医者を連れて来ましたぁ‼」


「遅ぇぞ!というか静かにしろっ!」


「…すみません…」


「先生、師匠を早く診てやって下さい」


「そう慌てるでない。どれどれ?」


。。。


「ふぅ。大体分かったぞ」


「どうですか?先生」


「うーむ…何と言って良いのか…」


「ハッキリ言って下さいよ‼」


「うーむ…病名は…無い。」


「はぁ、…えっ⁉「無い」??」


「うむ。私が診るに「老衰」だよ」


「え?「老衰」?」


「そうだ、老衰だよ。このご老人は結構なお年だろう?」


「えぇまあ…八十は過ぎているかと…」


「…何とまぁ…その年でこの肉体とは…」


医者は勝治の隆々とした筋肉に驚いている


「で、治るんですか?」


「…さっきから一体何を聞いておったのだ?老衰に治る治らないもないわ」


「…へっ?」


「読んで字の如しだ。「老いて衰える」寿命という事だな」


「な…何だと⁉このヤブ医者がっ!」


ガルドは医者に飛び掛かりそうになりディーノに羽交い締めにされる


「師匠はなぁ…師匠は寝たきりの状態から気合いで復活されたんだ!

…また復活するに決まってる!」


「親方ぁ…」


「と、とにかく余生を楽しく過ごさせてやるのが一番だ‼私は帰るぞっ‼」


いつ殴り飛ばされてもおかしくない状況に怯えた医者は慌てて帰って行った


「…大師匠…無理されていたんですかねぇ…」


「師匠…」


二人は未だ眠り続ける勝治をずっと見つめていた

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