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その四十 外壁完成


ーバスンッバスンッバスンッ‼ー


現場からはリズミカルな音があちこちから聞こえてくる


「師匠、この「ネイラー」という道具は凄いですな、釘打ちがここまで楽に出来るとは…」


「うむ。あそこにあるコンプレッサーで空気を圧縮して釘を一気に打ち出すのじゃよ。

工具を替える事によって様々な作業が出来るんじゃ」


「うーむ、それは凄い…」


ガルドはエアーツールの可能性を正確に見抜いた

ただ学ぶだけではなく自分なりに想像して道を見い出す

この姿勢がガルド最大の能力である


「親方ぁ、この道具があれば石の切り出しとかも出来るらしいですよ‼」


ディーノはガルドとは違い感覚で勝治の教えを捉える

若さ故の発想力がその感覚を補い自由な思考を結実させるのだ


勝治はそれほど口に出して誉めはしないが二人を誇らしく思っている


「お主達は自由な発想でこの道具を使いこなすが良いぞ。それが次の世代の基準にもなるからの」


「「はい‼」」


三人は着々と作業を進め外壁と防水加工、断熱材等を手早く仕上げる


「流石ワシの弟子達じゃ。後はサッシを嵌め込めばガイドの方に取り掛かっても材料が傷む事はなくなるからの」


「では一旦こちらを中止してガイドさんの方に行く訳ですね?」


「いや、そうではない。ワシとディーノは先にガイドの依頼現場に先乗りするで内装をガルド、お前に任せたいのじゃよ」


「俺に…ですか?」


「うむ、お主はワシの技術をほぼ踏襲した。ここからは「卒業試験」じゃよ。創意工夫をしてワシを唸らせてみぃ」


「そんな…」


「職人はの、何年務め上げたとかは関係ないのじゃ。己の才覚と技術で顧客をいかに満足させるかが大切なんじゃよ」


「…分かりました。師匠の期待に応える様、頑張ります!」


「うむ。頼んだぞ。設計図はここに置いて置くから制限の中で如何に自分を出せるか模索してみぃ」


「はいっ!」


「ディーノや、それでは我々はガイドの依頼先へ行くぞぃ」


「車はどっちで行きます?軽トラですか?ミニバンですか?」


建坪にもよるだろうが暫くは向こうで寝起きせにゃならんだろうしミニバンで行くぞぃ」


「わっかりましたっ‼」


ディーノは早速ミニバンを玄関先へと回す


「荷物を積んでおきます」


こういう段取りはディーノに任せておけば安心だ


「では頼んだぞぃ」


勝治達はガイドの下へと車を走らせた


「良し、帰ってきた師匠に認められる様に俺も頑張るぞ!」


ガルドは指をポキッと鳴らした


ーガイドの温泉宿前ー


「こんちは、ガイドさんいるかな?」


「あ、これはディーノ様‼少々お待ち下さい‼」


「あ、ディーノ様‼向こうの作業はもう終わったんですか?」


「いや、大師匠がガイドさんを待たせちゃいけないって…目処が立った所でこっちに来たんですよ」


「カツジ様が…では予定している土地にご案内しましょう‼」


ガイドは車に乗り込むと勝治に一礼した


「カツジ様、私共の為に急がせた様で申し訳ないです」


「いやいや、これはワシの性分での。受けた仕事は早目早目に動かんと気が済まないのじゃよ」


頭を下げるガイドを制して勝治は答える


「ではガイドさん、案内お願いしますね」


ー60km先の平地ー


「ここがそうです」


「ふむ、森に囲まれた趣のある場所じゃの。」


「はい、私共が土地を買って掘った所温泉が湧き出まして…

遊ばせておくのも何だと思い宿を作る事にしたのです」


「なるほどの。で、どういう風に造って欲しいんじゃ?」


「はい。勿論カツジ様がお作りになられたあの「和風」の館のイメージでお願いします」


「なるほどの。分かった」


「宜しくお願い致します」


勝治達は早速測量を始めるのであった

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