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その四 ディーノ捕まる


ーぺぺぺぺぺぺ…ヴィーンー


ディーノは勝治から貰った「スクーター」に乗って仕事場へと向かう


「…何だ?こりゃ??無茶苦茶速いじゃねーか‼」


ディーノの住む世界で「速い」と言えば馬か馬車である。

そんな世界で「スクーター」は正に夢の乗り物なのだ

「アクセル」と呼ばれる右手の筒を捻れば風の様に走る


「うっひょ~っ‼」


ディーノは徒歩で一時間は掛かる仕事場への道のりを15分程で走破した


「な、何だっ⁉やい、ディーノ‼お前は何ちゅうモノで来てんだ⁉」


ディーノの職場の親方は謎の乗り物で颯爽と現れたディーノを叱りつける


「へへっ‼親方、これは「スクーター」って乗り物らしいぜ?コレのお陰であっという間に着いちまったよ」


ディーノはふんぞり返って自慢気に胸を張る


ーパカラッパカラッパカラッ‼ー


「コラー‼そこの奴‼怪しげなモノに乗りおって‼」


遥か彼方から馬に乗った衛兵がディーノ目掛けて走ってくる


「は?こりゃ衛兵さん、一体どうしたんですか?」


「どうしたもこうしたもない!お前が怪しげな乗り物に乗って走り去っていくのを見咎めて追い掛けてきたのだ‼逮捕する‼」


「は?え?ちょっ⁉」


ディーノは衛兵に捕縛されて詰所に連行されて行ってしまった


「…あの野郎、今日の仕事はどうするってんだ?」


連行されていくディーノを親方は呆れ顔で見送ったのだった


ーピルケの町詰所ー


「だ~か~ら~‼アレは「スクーター」って言う乗り物で怪しくも何ともないっちゅーのっ‼」


「黙れっ‼あの様な怪しげな魔導具に乗る者を許す訳にはいかんのだ‼」


ディーノは詰所に連行されかれこれ一時間は衛兵に詰問されていた


「…勘弁して下さいよ、旦那。アレは馬に代わる魔導具で速く走る以外何の悪さもしねぇんだよ」


「お前に旦那呼ばわりされる筋合いはない‼ではアレをどこで手に入れたか、それを白状しろ‼」


ディーノは逡巡する。

ここで勝治の名を出せば勝治に迷惑が掛かるだろう。

下手をすると逮捕され牢獄にぶち込まれる事もありそうだ


「…だから…アレは行きずりの魔導具師を助けたお礼に貰ったんだって‼」


「ではその魔導具師は何処に行ったのだ‼」


「んなもん分かる訳ねぇだろ‼」


こんな調子で一向に埒が明かない


「隊長‼あの魔導具を調べましたが特に武器になる様なモノは付いておりません‼」


「はっ‼そりゃそうだろ‼あれは乗り物なんだからよ‼これで疑いは晴れたかい?」


「うーむ…まだ怪しい所は数々あるが…特に誰かに被害を加えた訳でもない以上…釈放するしかないのか…」


衛兵の隊長は胡散臭げにディーノを一瞥するとさも已む無しと言いた気に釈放の許可を出した


「おいディーノ、別に許した訳ではないぞ‼今後何かしでかしたら俺はいつでもお前を逮捕してやるっ‼」


「はっ‼何もしてない善良な民を捕まえて言う事はそれだけかよ‼」


「ぐぬぬ……すまん…」


「かぁ~っ、しゃーねーなぁ‼今回はそれで勘弁してやるよっ‼じゃあな、隊長さん‼」


ディーノは颯爽とスクーターに跨がると仕事場に向けて走り去った


「…こらディーノ‼今更来やがって何の用だ‼」


「親方ぁ…今朝の騒ぎ見てたでしょ?今まで絞られてた俺に労いの言葉をかけて下さいよ」


「おぅおぅ、ご苦労様ってなモンだ‼だが今日は賃金なしだ!」


「そんなぁ~⁉」


「働いてねぇんだから当然だろうが‼さっさと帰って糞して寝ちまえ‼明日はまた早いぞ‼」


とんだ災難に遭ったディーノはトボトボと帰路についた

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