その三十五 ディーノからの贈り物
ートントントン…カンカン…ー
今日も三人はガルドの家の上棟工事に精を出していた
「ガルドや、ここは釘を使うと長く持たん。臍を切って木を組むんじゃよ」
「なるほど、分かりました!」
「大師匠!ここはどうすれば?」
「筋交いはの、こうして…」
「凄ぇ…分かりました!」
「ほっほっ、しっかりの」
「はいっ!」
ガルドとディーノにとっては初めての技術に驚く事も多いが二人は砂が水を吸う様に覚えていく
(若さとはえぇモンじゃの…)
勝治は真摯に取り組む二人を見て微笑むのだった
ー昼休憩中ー
「親方、大師匠」
「ん?何じゃ?」
「昨日例の金は懐に、と言われたじゃないですか?」
「こら、ディーノ!終わった話を蒸し返すんじゃ…」
「親方、まぁまぁ。俺の話を一旦聞いて下さいよ」
「…分かった」
「お金は確かに貯蓄に回します。で、ですね…お二人を旅行にお連れしたいと思ってます」
「旅行?」
「はい。このまま全て貯蓄しても親方と大師匠に恩返しが出来ないし俺も何だかモヤモヤしちまってて…
ソコで知り合いのが営んでる温泉宿にお二人をご招待してせめて恩返しの真似事を、と思いまして」
「うーむ…師匠、どうします?」
「ほっほっ、ディーノが悩みに悩んで出した結論じゃ。断るのは悪かろうて。」
「!じゃあ…?」
「ふむ、ディーノの心遣いに甘えようかの。」
「いやったぁっ!じゃあ早速知り合いに言伝てして来ます!」
ディーノはぴょんぴょん跳ねで出掛けて謂った
「ガルドや、」
「はい」
「お主も良い弟子を持ったの」
「…はい」
ガルドの目には涙が浮かんでいた
ー数十分後ー
「親方ぁ~、大師匠ぉ~!宿が取れましたぜー‼」
ディーノは喜び勇んで飛び込んできた
「おぉそうか。ではいつ頃出掛けようかの?」
「今の時期その宿の周りじゃ祭りがあるそうで…良い観光になるそうですよ」
「ふむ、では明後日から出掛けるとしようの」
「師匠、家の方は?」
「ほっほっ、お主達の頑張りがあって予定よりかなり早く仕上がってきておる。骨休めには丁度良かろうて」
「親方!その宿の温泉は腰痛に効くって有名らしいっすよ?」
「そうか…それでお前ぇ…」
「アハハ、「偶然」ですよ、「偶然」!」
ガルドはディーノの心遣いにまた胸が熱くなっていた
「そうと決まればある程度まで仕上げるぞぃ!」
「「はいっ!」」
三人の金槌を振るう手も軽やかになっていた
ー夕飯時ー
「しかし楽しみですねぇ、美味い料理に温泉、祭り…」
「そう言えばこの国の祭りは全く知らんのぅ…どんなモンか楽しみじゃて」
「おい、ディーノ!ハメを外し過ぎるなよ?」
「分かってますって!アハハ」
三人は旅に思いを馳せつつ酒を酌み交わして楽しい時間を過ごしたのだった
ではまた明日




