その三十四 ガルドの矜持
ー翌朝ー
「では昨日の続きをしようかの?」
「師匠、お話があるのですが宜しいでしょうか?」
ガルドが神妙な面持ちで勝治を呼び止める
「む?…分かった。ディーノ、先に行って支度を頼むぞ」
「はい‼大師匠!」
ディーノはサッと席を外す
「…して話とは何じゃ?」
「はい。昨日頂いた金の使い道をあれから考えまして…」
「成る程の、して決まったのか?」
「はい。この金は今建てている家の資金に充てたいと思います」
「?あれはワシから…」
「いえ、師匠と出会ってからずっと俺は師匠に頼りっきりで…これでは俺の気が済みません」
「成る程。」
「それで…どうせ降って沸いた金なら自分の為にパッと使おうと決めました。」
「うむ。」
「それと…お願いがあるのですが宜しいでしょうか?」
「ん?何じゃ?」
「今の間取りに一室付け足して頂きたいんです」
「?何に使うんじゃ?」
「それは…師匠をお迎えしたいな、と思いまして…」
「ガルド…」
勝治はガルド達を子とも孫とも思っている、そしてガルド達もまた同じ気持ちだったのだ
「嬉しい事を言ってくれるの…分かった、その気持ちは有り難く受け取らせて貰うぞぃ」
「師匠…ありがとうございますっ!」
二人はいつの間にか泣いていた
ーその日の昼休憩ー
「親方、大師匠」
「ん?どうしたディーノ」
「昨日大師匠に怒られて俺の中の甘えが消えました」
「ふむ」
「それでですね、昨日頂いた金…お返しするのは失礼だと思いまして…」
「?」
「この家の資金として使って下さい!」
そう言うとディーノは金貨の入った小袋を差し出した
「半人前の俺が言うのもおこがましいんですが親方には色々とお世話になってて大師匠にも迷惑掛けてますんで…手前味噌ですが恩返しにと思って」
「…ワハハハハ!聞いたか?ガルド、ディーノはまた1つ皮が剥けた様じゃぞ?」
「はい…全く…嬉しい事言いやがるぜ…」
「?」
「実はの、ガルドも先程ワシに家の足しにと金を渡して来たんじゃよ」
「え?じゃあ…」
「あぁ、お前も図らずも俺と同じ事を師匠に言った事になるな」
「…ちぇっ、昨日寝ずに悩んだのにな…」
「ほっほっ、ディーノや。お主の気持ちはガルドもワシも嬉しいぞ。だから気持ちは有り難く頂いておくて」
「気持ちだけって…」
「お主はまだ若い、後に嫁を迎えたら金も必要じゃろうて。その時の為にとっておくんじゃ」
「え?それなら親方だって…」
「バカ野郎!お前ぇに心配して貰う様な稼ぎだったら嫁なんぞ夢のまた夢だよ!一緒にするな!」
「そういう事じゃ。ガルドは自分の才覚でちゃんと稼いでおるからの。お主はまだ半人前じゃて金は有り難く懐にしまっておくんじゃぞ?」
「…大師匠…」
「だが気持ちは嬉しい。お主らはワシの本当の子と孫じゃよ」
「「(大)師匠…」」
三人は時間も忘れて男泣きしていたのだった




