その三 ディーノショック
「爺さん、帰ったぜ」
ディーノが玄関の扉を開け部屋に入ると腰を抜かす程驚いた
「何だこりゃあ⁉」
夕暮れ時にも関わらず昼間の様に明るい室内、外は蒸し暑いにも関わらずひんやりした風、謎の黒い箱からは音が聞こえている
「おい爺さん…こりゃ一体?」
「お、ディーノか。お帰り」
「いやいやいや!それよりもこりゃどういう訳だ?」
「うむ。何故か分からんがワシが望むモノが突然現れての、調子に乗った結果がコレじゃ。」
「は???」
「この明かりは「蛍光灯」、それは「テレビ」じゃな」
「…涼しいのは?」
「おぉ、「エアコン」を忘れておったわい、失敗失敗⭐」
「…爺さんは魔導具師なのか?」
「魔導具というのは分からんな…これは「電化製品」じゃよ」
「…「電化製品」という魔導具なのか?」
「むぅ?」
二人の会話がまるで噛み合わない
「…まぁ茶を用意してやるから落ち着くと良い」
勝治がテーブルを見つめると日本茶と茶菓子がどこからか現れた
「うぉっ⁉じ、爺さん⁉これは「魔法」か?」
「うーむ…ワシにも分からん。まぁ飲め飲め。それとも酒が良かったかの?」
「酒?…出せるのか?」
「多分の。日本酒でええかの?」
「「日本酒」?聞いた事のない酒だが酒なら何でも大歓迎だ、頼む!」
「ふむ。暫し待て。」
勝治が再びテーブルを見つめると一升瓶とツマミが現れる
「…これは酒…か?」
「そうじゃ。注いで飲むとえぇ」
ディーノは恐る恐る日本酒を注いで一口飲んでみる
。。。
「…かぁ~~~っ‼美味いな‼この「日本酒」ってのは‼」
「そうじゃろそうじゃろ。喜んで貰えて良かったわぃ。」
ディーノは夢中になって盃を重ねる
「…この横の食べ物は?」
「「ツマミ」じゃ。ワシの好物の「スルメの焙り」と「柿ピー」、「シシャモ」じゃが口に合わんかの?」
「とんでもねぇよ、今まで食った事ねぇけど無茶苦茶美味いよ‼」
「ほっほ、それは良かった」
勝治は自身のテーブルにもツマミを出してちまちま摘まむ
「…はっ⁉酒に釣られてすっかり忘れてた‼爺さん、そもそもこれは一体何だよ⁉」
「うむ。それに対する答えは「無い」。望んだら出たんじゃ」
「…もう俺も深く考えるのは止めた!今日は飲んでさっさと寝よう!」
「あぁ、そうするがえぇぞ」
二人は夜更け迄語り合ったのだった
ー翌朝ー
「痛てて…飲み過ぎたか…」
ディーノは頭を抑えつつ身体を起こす
「お?起きたかの?」
勝治がそんなディーノに声を掛ける
「二日酔いには胃に優しい朝食が一番じゃて。ほれ、テーブルに用意してあるから食べるとえぇ。」
ディーノがテーブルを見るとスープの様なモノと小皿が幾つか並んでいる
「爺さん…これは?」
「「白粥」じゃ。胃に優しいからスルッと入るぞぃ?」
ディーノは恐々と口をつける
「…ほー…何か落ち着くな…」
「そうじゃろ?それに外には別のモノを用意してあるぞぃ」
ディーノが慌てて窓に駆け寄り外を眺める
「…何だ?ありゃ?」
「あれは「スクーター」じゃ。仕事場が遠いと昨日ぼやいておったろ?乗り方は紙に書いてあるから覚えて乗って行くがえぇぞ?」
ディーノのカルチャーショックはまだまだ続きそうである
あと数話、夜に投稿します