その二十三 木材選び
今日はペース調整で5話程投稿したいと思います。
ディーノとガルドは今日は休みを取っている
依頼が丁度途切れたのもあるが本題は「ガルドの家」に必要な木材が揃ったとマージ商会から連絡が来たのだ
二人は勝治を連れ立って町まで軽トラ1台で向かう
日本なら違反モノだがここには道交法のドの字もないのだ
ディーノが荷台に乗りガルド運転でのんびり進む
ーザーザザー…ザーー
軽トラ唯一の難点は「ラジオが入らない事」だった。放送局もない世界では我慢しなくてはならない点だが
勝治はラジオをデッキに替えてでもいずれ演歌を流したいと画策していた
「師匠、聞いても良いですか?」
「うむ、何じゃ?」
「この「軽トラ」は「職人御用達」と言っておられましたが他にも色々な車が師匠の国にはあったのですか?」
「ふむ、あったぞぃ。そもそも軽トラは御用達とは言ったが様々な職種で重宝されておったし
「トラック」と言うこれよりも遥かに大きい荷役用の車や「普通車」「バス」等
人を運ぶのに最適な車、速く走る為の車もあったの」
「はぁ…師匠の国は技術が相当進んでおったのですな」
「ワシの国では物資や労働を如何に楽に、効率的に行えるかの研究が大昔より盛んだったんじゃ」
「なるほど」
「ほれ、お主らの使っておる大工道具等も先人が如何に効率良く作業が出来るか研鑽した結果じゃろ?」
「そう言えばそうですね」
ガルドは勝治の説明に合点がいった様でその後も色々な事を聞いては納得していた
ーキキィー…ー
「師匠、この車では悪目立ちしてどんな因縁をつけられるか分かりませんからここからは歩いて町に入りましょう」
「うむ、そうじゃの」
「おい、ディーノ‼何眠りこけてやがる‼さっさと行くぞ‼」
ガルドはディーノを叩き起こし勝治に頼んでブルーシートを出して貰うと軽トラを覆い隠した
「これで少しの間なら大丈夫だろうな…じゃあ行きましょう」
こうして三人はマージの待つ町へと向かったのだった
「これはこれはカツジさん、ようこそおいで下さいました」
商会の応接室でマージは勝治を歓待した
先日独占契約した手押し車の売り上げが好調で商会に多大な利益を上げていたのだ
「木材が揃ったと聞いての、どんな品が確認しに来たぞぃ」
「そうですか、では此方に。」
マージは店舗の後ろにある資材置き場に案内する
「…ほぉ~、それほど期待はしておらなんだがこれは…桧に近い良い木じゃ」
勝治は用意された丸太を見て喜色満面になる
「師匠、その「桧」というのはそれほどの木材なのですか?」
「うむ、古来より建築等に最適なモノとされておっての。匂いを嗅いでみぃ」
「…何か落ち着く香りがしますね」
「そうじゃ。この木には独特な成分が含まれておって水を弾いたり腐りに強かったりと良いトコずくめなんでワシの国では高級木材として扱われておる」
「はぁ~、木材にもそんな種類が…勉強になります」
「カツジさん、お気に召しましたかな?」
「勿論じゃ。マージは良い商人じゃの」
「お褒め頂き光栄です。で、この木材はいつ頃お届けしますか?」
「む?実は既に基礎打ちは住んでおっての」
「「基礎打ち」?ですか?」
「お、そうじゃったそうじゃった、「家の土台作り」が終わっている、という事じゃの」
「なるほど」
「ちと先立って加工したいモノもあるので数本先に貰っていくぞぃ」
「それは構いませんが…今日は生憎荷馬車が出払っておりまして…」
「心配するでない。ガルド、軽トラをここに直付けしろ」
「え?でも師匠…悪目立ちしますよ?」
「馬鹿者‼木は生きておるんじゃ、頃良い所を見計らって加工するのも職人の腕なのしゃぞ?」
「は、はい‼分かりました‼」
ガルドは慌てて軽トラを取りに走る
「…あの…カツジさん?もしかして荷馬車を用意していらっしゃったのですか?」
「フフ、まぁ見ておれ。」
ー…ブルルーン、キキィー…ー
「???は???」
マージの愕然とした態度に勝治は悪い笑みを浮かべる
「こここここ、これは??」
「「軽トラ」という馬の要らない馬車じゃ。」
マージは唖然としている
「ガルド、木材を数本括って持ち帰るぞぃ」
「はい、師匠」
勝治は手慣れた仕草で軽トラの荷台に丸太を数本括りつける
「ではマージ、また来るぞぃ」
ーブルルーン…ブォーン…ー
マージは無言で勝治達を見送った
と言うより余りのショックで気絶していたのだ
当然だが町中で軽トラは目撃され大騒ぎとなった
実は勝治、目立つのが大好物な性分なのだった
こうして十分悪目立ちした勝治達は木材を持って家に帰っていった
約1名を置き去りにして。




