その二十二 脳筋全開!
ー翌日ー
「さて、作業を再開しようかの」
勝治は養生していたブルーシートを取り払うと墨出し(基準線引き)をして用意していた鉄筋を組む
そしてコンクリートを打つ為に形枠を組んでいく
それが終わるとまた選択肢が待っている
「ミキサーで混ぜるか人力で混ぜるか…勿論人力じゃ!」
「ふんっふんっ!」
勝治はセメントと砂を空練りしそこに砂利を混ぜる
今時は分業化が進んで基礎打ちは土建屋に任せたりするのだが勝治は昔気質の職人だ
全ての工程は体が覚えていた
ベース部分にコンクリを打って乾くのを待つ
乾いたら外周の立ち上げ部分と内部の立ち上がり部分の形枠を拵える
普通基礎打ちには1ヶ月弱は掛かるが謎の勝治パワーで途中とは言え2日も掛からず終えている
「ふーむ?これも何か謎の力のお陰かの?」
確かに乾燥時間は謎の力補正は掛かっているが根切りや砕石、転圧は勝治の脳筋パワーだと言う事実に本人が気付いていない
それが「脳筋」という不治の病なのだった
勝治は昼食を挟んで拵えた形枠にコンクリを打っていく
勿論空気抜きもお手のものだ
本来なら乾く迄十分に養生する必要があるが謎補正で直ぐに乾く
更に恐ろしい事に勝治の経験値と謎補正が相乗効果を発揮し基礎打ちは寸分の狂いも水平を取る事もなく完璧に仕上がっていた
勝治はこの後土間や細々としたコンクリの打設と加工をしシートで養生して作業を終えた
「ふーむ…二人が帰ってくる迄まだ時間があるのぅ…」
そう言うと勝治はトレーニングルームの横に大きな石を次々と運び込む
それらを円形に囲う様に設置すると石と石の隙間をコンクリで塞ぐ
石で囲った中を浅彫りして中にもコンクリを打って乾燥を待つ
勝治が片手間に作っているのは「露天風呂」だった
「どれ、風情を足そうかのぅ」
勝治は見せる庭を作る為に造園作業に取り掛かる
その間に出れば儲けものと言わんばかりにボーリング作業も同時進行していた
ードドドドドッ‼ー
「おぉ~!?」
勝治が当てずっぽうに掘った所が大当たりしたらしく結構な湯量の温泉が吹き上がった
1日の仕事を終えガルド達が帰宅すると
いつの間にか建てられたトレーニングルームの横にこれまたいつの間にか出来た露天風呂が「あった」
「親方ぁっ⁉な、何か湯気が出てる池がありま…だ、大師匠⁉」
顎が外れかかったディーノの目の前に温泉に浸かりながら日本酒をチビリチビリやっつけている勝治がいた
「…師匠?」
「おお、帰ったか‼さっさと汗を流して入ってくるがえぇぞ」
この世界には入浴の習慣はあっても湯船に浸かるという感覚は根付いていなかった
個人で湯船を備えた湯殿を持つ者は所謂特権階級の人種である
ディーノ達は恐る恐る側に拵えられた脱衣所で服を脱ぎ洗い場で汗を流す
「師匠…失礼します…」
ガルドが恐々と湯船に足を浸ける
。。。
「あ゛~~~~~………⁉」
「ほっほっ、気持ちえぇじゃろ?」
「はい~…何かこう…疲れがお湯に溶け出す様です…」
「大師匠、失礼しまーす」
ーちゃぽ…ー
「ふい~~、あ゛~~~」
「どうじゃ?」
「…自分でも思ってもいない声が出る程気持ち良いっすねぇ…」
「そうじゃろそうじゃろ‼ワシが「何か足りんなぁ」と思っておった内の1つじゃ‼それ、飲め‼」
「…ふぅ~‼こりゃ最高だっ‼」
「親方‼俺にも下さいよ‼」
三人は目の前の箱庭風庭園と空に輝く星を眺めてまったりと温泉に浸かる
「「…最高じゃないですか‼」」
「そうじゃろそうじゃろ♪」
至福の時間はディーノが逆上せて倒れる迄続いた
体調が悪いので今日はここまで。




