その二十 マッチョ勝治、脚力アップ
「じゃあ行ってきまーす」
「気をつけてのぅ」
ディーノ達を見送った後は勝治のトレーニングタイムが始まる
数ヶ月で現役さながらの体力を取り戻した勝治は更なる筋力アップを目指して日夜努力中だ
ーダッダッダッダッ!ー
この世界に迷いこんだ時は歩く事もままなからなった勝治は今やルームランナーの上でハイペースなランニングをこなしている
「ほっほっほっほっ‼」
走る姿だけを見ればもう四十と見間違われてもおかしくない程引き締まっている
「ハァハァ…次はウェイトトレーニングじゃ。」
勝治は最近有り余る体力を生かして家の隣にトレーニングルームを建ててしまった。
今ではルームランナーはおろか数々のトレーニングマシンも揃えて本格的なジムと遜色がない
「ふんむっ‼」
ーガチャン、ガチャン‼ー
勝治は長年の寝たきり生活で人間の基本は足腰にあるのを痛感していた
なので重点的に足腰の鍛練に余念なく今もレッグプレスをマシンでガンガン行っている
「ハァハァ…次はバランスボールじゃな」
勝治のトレーニングは鬼気迫るものがあった
それだけ勝治の家作りへの情熱は高かったのだ
「ハァハァ…ふむ。今日のメニューはこれで終了じゃ」
勝治は壁に備えられた鏡に自身の姿を写す
「むんっ!」
ソコに写った勝治の姿はとてもヨロヨロしていた老人の姿ではなかった
引き締まった足、太い両腕、そして見事に割れた腹筋
体だけ見れば一体何処のボディビルダーだよ?と言わんばかりの体に仕上がっていたのだ
ーその日の夕食時ー
「モグモグ…大師匠、一体何なんですか?その体は?」
「ほっほ、ディーノよ。大工は体が資本じゃよ、力がなければ鋸ひとつまともに引けんからのぅ」
「流石師匠‼俺も夕食後のトレーニング、ご一緒します‼」
「え?親方も⁉これじゃ俺の頭はコブ処じゃなくなっちゃいますよっ⁉」
「お前も鍛えたら良いんだよ‼」
こうして三人は切磋琢磨しいつしかマッチョ男が三人で暮らす怪しい家として噂が立ったとか立たなかったとか。
「じゃあ大師匠、行ってきます」
「うむ」
勝治はいつもの様にガルド達を見送った
しかし今日はいつものトレーニングの前にする事がある
「ふむ。」
勝治は一言そう呟くと目の前に軽トラを三台発現させた
勿論二台は一番弟子と孫弟子専用軽トラである
勝治は自分の軽トラにサッと乗り込むと試運転がてらガルド達の現場の視察へと向かったのだった
「!?」
「し、師匠!?それはっ!?」
「ワハハ‼これは「軽トラ」という職人御用達の乗り物じゃて」
勝治はそう言うと大工道具を荷台から取り出した
「今日はリハビリがてらお主らの仕事を手伝うからの、じゃんじゃんこき使ってくれ‼」
「師匠…」
ガルドは勝治の勇姿に既に男泣きしていた
「大師匠…その格好…凄ぇカッコいいっす!」
勝治は日本で仕事をしていた時の作業着を着用していた
黒の長袖アンダーシャツに白のTシャツを重ね下はカーキ色のニッカボッカ、足下は伝統の地下足袋姿だ
勝治にとってはいつもの作業着だったがディーノには眩し過ぎた
「大師匠‼帰ったら俺にもそれ欲しいっす‼」
「ほっほ、良かろう」
「グッ!師匠!俺も!」
「勿論じゃて。それに家にはサプライズも用意しておるからの。」
「「(大)師匠…」」
二人はきびきびとレンガを運ぶ勝治を見つつ男泣きしていた
今日はこれにて




