その十九 勝治、張り切る
マージ商会での有意義な会合を終え勝治とガルドは意気揚々と帰路につく
「師匠‼俺は師匠のお言葉に感服致しました‼更に精進を重ねますのでご指導を宜しく願います‼」
「ほっほっ、ワシは良い弟子を持ったようじゃの。」
「師匠…」
ガルドは誉められて男泣きした
「さて。商談の大風呂敷は広げたんじゃ、次はワシが一刻も早く動ける体を作らんとの‼」
「そうですよ‼師匠‼早くお元気になられて俺をしごいて下さい‼」
「ほっほっほっ、ガルドは本当に熱心な弟子じゃ。良し、必ず近々に動ける体を手に入れよう」
ガルドの熱意に押されて勝治の職人魂に火がついたのだった
「あ、親方‼大師匠‼おかえりなさい‼」
「おぉ、ただいま。ところで「爺さん」呼ばわりは止めたのかの?」
「勿論ですよ‼大師匠!見て下さいよ!これっ‼」
ディーノはテーブルに大量の金貨銀貨をぶちまけた
「おい‼ディーノ!てめえ盗みを働くとは良い度胸だ!衛兵に突き出してやるからこっちに来いっ‼」
「え?や、やだなぁ~親方…これは「手押し車」の売り上げですよぉ‼」
「何っ⁉こんな大金を稼げたのか⁉」
「えっへへ、俺は何にもしてないんですけどね…噂が噂を呼んで今じゃ宣伝をしなくても引く手あまたなんですよ!」
「じゃあお前の手柄じゃないじゃないか!(ポカッ‼)」
「痛ててっ⁉そりゃそうですけど注文を頑張って取ってきたんですよ?ちょっとは褒めて下さいよ」
「ほっほっ、ガルドよ、ディーノの言う通りじゃ褒めてやろうではないか」
「しかし師匠、コイツは頭に乗らせると厄介ですよ?」
「それでもこれだけの稼ぎを出したんじゃ。素直に褒めてやらんとの」
「はぁ…」
「流石大師匠!懐が広い!」
「こらっ!ディーノてめえ!」
「よいよい、今日は気分も良いから酒盛りといこうかの」
「やったぁ!」
三人は前途洋々な未来を祝して杯を交わしあったのであった
ー翌日ー
「では師匠!行って参ります!」
「大師匠も留守番宜しく!」
二人は依頼を受けていた家の修繕に出掛けた
「ふむ。ではワシも鍛練をするかの‼」
勝治は目標を更に高みにおいてトレーニングメニューを嵩増しした
通常のリハビリメニューに加え筋トレメニューも追加したのだ
勝治の気迫の篭ったトレーニングのせいか2ヶ月もすると筋力がほぼ現役時代に戻り
筋肉が衰え細くなってしまった体も今や筋骨隆々とはいかない迄も年齢を聞いたら驚かれるレベルまでに復調したのであった
「痛てて!大師匠、参りました!」
「えぇ若い者が年寄りに負けるとはのぅ、楽のしすぎで鈍っとるんじゃないかの?」
筋トレをしだしてから勝治はディーノ相手に腕相撲をするのを日課としていた
最初の頃はディーノの圧勝だったのだが最近は勝治の腕力にやられっぱなしになっていたのだ
「大師匠…いくら何でも力付けすぎですよ…腕相撲は結構自信あったんだけどなぁ…」
「ほっほっ、若い者とは元々の鍛え方が違うでの。そろそろ一番弟子との対戦も視野に入れるか‼」
「師匠‼俺は手加減しませんよ?」
「望むところじゃて」
こうして連日ガルドとの腕相撲対決が行われ最初の方こそ勝治の完敗だったが1ヶ月程でガルドとの勝率は五分五分になる程になっていたのだった




