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その十八 呼吸をする家

本日分スタートです


勝治とガルドは町一番の商店であるマージ商会で建材の相談をしていた


「少しお伺いしても?」


「うむ。何でも構わんよ」


「その「木造家屋」を建てるメリットは何でしょう?」


「うむ。ちと話が長くなるが構わんかの?」


「勿論です。あ、少しお待ち下さい。おーい!」


「はい、旦那様」


「今日の面会は以降全て後日に回せ。」


「でも…貴族の方も含まれますが…」


「貴族なんぞ金にならんモノは後回しだ‼全て後日に回すか断れ‼」


「は、はい‼畏まりました‼」


店員が慌てて部屋を出ていく


「構わんかの?」


「ええ、こんな画期的なお話を聞けるんです。貴族なんかより大事な商談ですよ」


「…そうかの?では説明するぞぃ」


勝治は木造家屋のメリットを丹念に説明した


「木造の良い所は先ず建築費が安い事じゃ。

石造りではこの国ではどうしておるか分からんが石材の切り出しから運搬迄のコストが高かろう?

木材は石材に比べて軽いのと加工が容易じゃからの。費用が安く抑えられるんじゃ」


「なるほど。」


「次に増改築する場合、新築でも比較的自由度が高いんじゃ」


「と言うと?」


「これも石造りとの比較になるが石やレンガだとどうしても積み重ねが基本じゃから構造体の作りがどうしても直線的になるし

増改築ともなると構造自体を壊す必要もあるから下手をすると倒壊の恐れもあるじゃろ?

木造は主要な柱以外は多少加工しても構造体に影響はないのじゃ」


「…つまり二階に改築したりひと部屋増やしたり等が容易だと?」


「そうじゃ。まぁ火事に弱かったり等のデメリットもあるがの、それは工夫次第である程度は抑えられる」


「なるほど、それで?」


「木造の最大のメリットは「家が呼吸」をするんじゃよ」


「は?え?「家が呼吸」を?」


「うむ。木材はの、石やレンガと違ってその材の中に「水分を蓄える」事が出来るんじゃ。

木材の「吸湿性」によって家の中の水分量が調整されて過ごし易くなるんじゃよ。」


「あの…それは一体?」


「そうじゃの。ここはどうやらワシの国と気候が似ておるから照らし合わせて説明しよう。

長雨が降った時や冬暖房を使う時など壁に水滴が出んかの?」


「…確かに」


「石やレンガは水を吸わんからの、「結露」しやすい。が、木造は吸湿性である程度はそれを防げるんじゃ」


「そんな事が?」


「うむ。それに湿気が少ない夏などには蓄えた水分を放出して部屋の中の乾燥も防ぐんじゃ」


「木にそんな能力が…」


「まぁ有利不利はあるが他にも優位な点もあるしの。ソコでワシはここで木造家屋を作ると決めたんじゃよ」


マージは勝治の木造家屋に対する造詣に目を白黒させガルドは師匠の理論に傾倒の眼差しを向けていた


「して、それらの材料を仕入れたいのじゃが可能かの?」


「は、はい‼私が何とかしてみましょう‼よくぞこの話を私の所に持って来て下さいましたね‼」


いつの間にかマージは勝治の手を固く握っていたのだった

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