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その十七 初めて行く町


ガルドの手配した馬車に揺られて勝治は町へとやって来た


「さ、師匠着きましたよ!」


ガルドは手を差し伸べて勝治を馬車から下ろした


「ほぅ、なかなかに振るわっておるのじゃのう」


勝治は町の喧騒を懐かしくも思えて感嘆の声を漏らす


「えぇ、この「サウド」の町はこの辺りでも一番大きい町になります。

他の国や大陸との交易地として栄えているので商人や職人も多くいます」


ガルドはそう勝治に説明をした


「してワシに紹介したいという御仁はどこかの?」


「はい。この少し先に商店を開いているマージという男です。

この一帯で建築資材の販売を一手に担っている大物ですよ」


「ほぅ。「大棚」というヤツじゃな?」


「大だ…?何ですか?それ」


「ワシの国では手広く商売をしている者を「大棚」と呼んでいたのじゃ」


「あ、それです。もう少しですので歩けますか?」


「あぁ。手押し車があれば問題ない」


ガルドは勝治に気を配りながらゆっくりと案内した


マージの店は大通りに面した一角に建っていた


「ほぉ~、これは本当に大きいのぅ」


「ですよね、流石この界隈随一の「大棚」という店構えですな」


ガルドは勝治を入り口で待たせると小走りで店員に言伝てを頼んだ


「俺はガルドって者だ。先日マージさんには話を通してあるんだが会わせて貰えるか?」


「少々お待ち下さい、」


店員は奥に下がると直ぐに奥へと案内してくれた


ーコンコンー


「旦那様、ガルド様とカツジ様がお越しになりました」


「どうぞお入り下さい」


二人は店の奥にある応接間に案内された


「ほぉ~…ガルドよ、あの彫刻を見てみよ。さぞかし名のある名工の作であろうのぉ」


「あれは…凄いですね…この辺じゃ滅多にお目にかからない代物ですな」


ーガチャー


「やぁやぁ、お待たせ致しました。私がこの商店の主、マージと申します。」


マージは勝治に丁寧に挨拶をした


「実はカツジさんにはずっと前からお会いしたくてね、その「手押し車」は素晴らしいアイデアだ

出来ればウチの商会で受注を請け負わせて頂きたい」


「マージさん、その話はまた後でしましょうや。

今日は師匠がこの辺の建築資材等の流通具合等を聞きに来たんですぜ?」


「おぉ、これは失礼した。つい商売の話になってしまいましたわ、アハハハ…」


「熱心なのは良い事じゃて。ワシも単刀直入に話させて貰うぞぃ。先ずはこの「設計図」を見て欲しい」


勝治がガルドに目をやると懐から1枚の紙を取り出しテーブルの上に広げた


「これは?」


「ワシが作図した家の設計図じゃよ」


「…これほど精密に…貴族の家ですか?」


「いや?普通の民家じゃよ」


「しかし…ん?こ、この家は木材のみを使うのですか?」


「そうじゃ。ワシの国では「木造家屋」は当たり前なのじゃよ」


「はぁ…それでここまで精密な寸法を…」


「こう記す事で家は画一化も可能じゃし修繕も楽になるんじゃ」


「なるほど…」


勝治の設計図を見たマージはソコに新たな商機を見て前のめりに勝治の話を聞き出したのだ

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