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その十四 視察をしてみる

本日分スタートします


「良し、今日は外に出てこの世界の家屋を視察して見るかのぅ」


ここ最近のトレーニングで杖ありではあるが脚力がついてきた勝治は散歩がてら視察をしようと試みた


「だが杖だけでは心許ないの、アレを出すか…」


そう言って出したのは「手押し車」、所謂シルバーカーである


日本では婆さんの独占物の様な気がして使用するのは気恥ずかしかったがここなら誰も笑わない


「うむ。こんなモンじゃろ」


勝治が発現した手押し車はブレーキと電動アシストが付いた最新式のヤツである


「実は前から欲しかったんじゃ」


勝治も心に少年を宿していたのでギミックが多ければ多い程血がたぎる様である


「さて、では出掛けてみるかの」


ーウイィィーン…ー


「おぉ、これが電動アシストと言うヤツじゃの?」


モーターやバッテリーで重量増となる手押し車が軽く滑り出した事に感動する勝治


歩行器と同じ効果も相まってトコトコと近所を散歩していく


「あら?あんたディーノの所にいるお爺ちゃんでしょ?」


早速第一村人と遭遇である


「お早うさん、ワシはディーノの祖父の勝治と言う者じゃ。宜しくの」


「へぇ~、ディーノのお爺ちゃんなんだ?似てないねぇ」


「ワシは異国の出だからの、遺伝しなかったのじゃろうの」


ディーノのお爺ちゃん設定は既に打ち合わせ済みである


「そっか。で、今日はお散歩?」


「あぁ、足腰が弱っておって出られなかったが漸く歩ける様になったのでの」


「そうなんだ。で、それって何?」


「これは手押し車じゃよ。ワシの様に足腰が弱くなってもこれがあれば多少の無理が利くんじゃ」


「へぇ~、それは良いわね。ウチのお婆ちゃんにも欲しいわぁ」


「時間があれば作ってやるぞぃ?」


「え?本当に?…でも高そうね、それ」


「まぁ少し機能を絞れば軽くて丈夫なヤツが出来るじゃろ」


「その分安くなるかしら?」


「勿論じゃ。」


「あら、じゃあ相談してみようかしら…」


「もし入り用ならディーノに言付けてくれの。」


「アハハ、分かった!じゃあ気をつけてね」


「ありがとうのぅ」


こうして第一村人との遭遇は円満に終了したのだった


「…やはりこの世界の家屋は造りが甘いのう…」


勝治が村を回って気がついたのは建築レベルの低さだった


若干乾燥した土地柄のせいか骨組みに木材を使用している家は少なく

殆どが石造りか素焼きのレンガを積んだ家屋に茅葺きの屋根が殆どだった


(となると床は踏み固めた土が殆ど…か)


勝治はどうも靴を履きっぱなしの生活に慣れない

ガルドの為の家にはしっかりと板張りの床を作るつもりである。


(出来れば畳も欲しい所だの…)


こんな事を考えつつ村を一回りして帰路につくのであった


「爺さん今日は村の中を散歩してたんだって?」


ディーノは夕食を食べながら勝治に訊ねた


「うむ。この辺の家屋を見て回っておったのじゃ」


「流石師匠!日々是精進ですな?」


「ところでサージャさんから手押し車を頼むって言われたんだけど?」


「うむ、これじゃ。」


「これは?…おぉ、軽く滑り出しますな」


「一応安価で作ると言っておいたのじゃがこの土地の貨幣価格が分からんでの」


勝治はアシスト機能を廃した廉価バージョンを発現した


「うーむ…これを使えばご老人は出歩くのが楽になるでしょうな…素晴らしい発明品だ」


「これで得た収益を居候になっとる礼とガルドの家の資材購入に充てようかと思ったのじゃが…」


「…良し!販売は俺に任せてくれよ、爺さん!」


「うむ、では頼んだぞぃ」


こうして手押し車は村の老人達に広まりやがて世に広まる事になるのだが未だ三人には想像もつかない事であった

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