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その十三 準備体操?


今日もディーノ達を見送った後ルーティンに沿って運動をこなす


(幾ばくかは戻ったの。)


まだふらつく足取りの中に確かに力強さを実感し満足する


「さて、今日からは少しメニューを増やそうかの。」


そう言って勝治は桧の板と大工道具を取り出す

勝治は空いた時間を使って欄間を作ろうと思ったのだ


本来ならば木は製材したり寝かせたりしないと使い物にならないのだがその辺は抜かりなく

「木取り」の段階まで進んだ木材を出してある


組子細工で作る為材料を加工していく

細かい図柄になればなる程点数は増えていくので作製には根気が必須である


「そう言えば…老眼鏡を忘れておったの」


勝治は普通の老眼鏡と流行っていた例のお尻が乗っても壊れないルーペを発現した


「ほ。こりゃえぇ。」


老眼鏡とルーペで武装した勝治の作業スピードが格段に上昇した


こうして勝治はディーノ達が帰って来るまで作業に没頭したのである


ー夕刻ー


「只今帰りました!」


今日はガルドが先頭である


「師匠!あの「スクーター」という乗り物は素晴らしいですな!アッハハハ!」


「親方ぁ!飛ばし過ぎっすよぉ」


遅れて入ってきたディーノがスピード狂と化していたガルドに注意する


「あの程度の速…?師匠、それは?」


「おぉ、これは「欄間」と言っての。家の中にある間仕切りの上に飾るモノだ。美しさだけでなく通気性を考えた日本家屋の美点だの」


「こ、これほど精妙な工芸は見た事がありません!素晴らしい!」


ガルドは感嘆の声を禁じ得なかった

日本の伝統美は世界を越えて称賛を受けたのである


その日の夕食後、ガルドは勝治の指導で組子の基本を熱心に学んでいた


「…この組子細工というのは緻密な計算の上に成り立っているのですな…やればやるほど奥が深い…」


「ほっほ、そうじゃろうて。ワシも若い時は師匠に良くどやされたもんじゃ」


「ちぇっ、親方と爺さんで盛り上がってよぅ…こうなりゃやけ酒だ!」


「ディーノ!」


「え?あ、はい?」


「お前ぇも一緒に習うんだ!」


「え?良いんですか?」


「当たり前だ!こんな妙技は俺1人じゃ広めきれねえ!お前も習って後世に伝えるんだぞ!」


「…はいっ‼」


「…馬鹿野郎…泣く事あるか…」


「へ、へへっ親方だって…」


その光景に勝治も男泣きし野郎三人で泣きながら組子細工をするというムサい時間がただただ流れて行った


「見てるのとやるのとじゃ全く違うんだな…よっと」


「これ、ディーノ!ゴリ押しで組むんじゃないぞ?木の流れを読まにゃ直ぐに割れたり欠けたりするでの」


「はい!大師匠!」


「お?爺さん呼ばわりは止めたのか?ディーノ」


「教えて貰う時だけっすよ、親方」


「まぁ今はそれで良い。師匠の技術の奥深さをもっと知れば失礼な呼び方などしておれなくなるからな」


「へへっ、俺は俺ですぜ?」


「お前はまだ職人に片足突っ込んだ程度だからな、いずれ分かるさ」


「そんなモンなんすかねぇ」


「ああ、そんなモンだ」


途中から酒をチビりチビりとやりながら充実した時を過ごした三人であった

本日分はこれにて。

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