表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

賭けの勝敗

「え。賭け事はあまりすきじゃない。だって大抵もちかけた方が有利じゃない。」

「ぬぅ。相変わらず脳ミソお花畑なのか現実主義なのかわからん奴じゃのう。」


ときどき妙なところで鋭い彼女は提案に対して渋ったようすだった。動揺し心の声が駄々漏れの彼は続ける。


「相手の男が君を大切に出来るか心配なのだよ。君とは長い付き合いだからのぅ。任せるに価する者なのか試したいのだよ。」


彼女は好意に対して無防備になる傾向がある。

それを知った上で都合のいい言葉を並べて誘導するが彼女は悩みつつ答えた。


「私は彼を信じてるから大丈夫だけど…そんなことして彼が気を悪くしたら…。」


普段の様子では考えられないような気遣いを見せている少女に神の感情はさらに重くなる。

内に秘めた彼女に対する執着がいっそう強くなるのを感じ、それをひた隠す。


「心配することはない。簡単じゃよ。二人で共に逃げたいのだろう?二人で逃げきればそなたの勝ち、巫女が逃げれば追っ手がかかる。それに捕まった場合は我の勝ち。素直に帰って来るのだ。」


どうかのぅ?と彼が声をかける。沈黙が部屋を包み込む。

いくらか時間が経った後に決意に満ちた顔で彼女が口を開いた。












結論として彼女は賭けに負けた。

二人で逃げる事が出来なかったのである。草の生い茂る小高い丘の上で彼女は膝を抱えて座っていた。

約束の時間になっても彼が姿を見せることは無かったのだ。


「巫女様、この度の件はさすがにやりすぎです。」


気がつけば普段護衛を勤めている青年が側に立っていた。他には誰もいない。追っ手と言うよりは迎えに来たというような雰囲気である。

だが彼女は全く反応を示すこと無く無表情で待ち人の来るであろう方角を見つめ続けていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ