始まりはいつも来訪者……
ちょっと長めかな?
あ、ブックマーク登録して下さりありがとうございます!!!
【亜空間】を出てからあっという間に一ヶ月が経ち、今妾は学園の試験会場へと向かっている……のだが…。
「えぇっと〜…ここは何処だ」
はい、そうです。道に迷っています…こんちきしょーが。
「太陽の出方から察するに今は朝の六時くらいか。試験までは3時間といったところか……よし」
妾は足に力を込めると地面を蹴るようにして翔んだ。
あ、いけね………飛びすぎた。
割と力を込めて飛んだので滅茶苦茶な速度で天高く妾は舞った。
「で、でもお陰で都会らしき場所が見えたぞ」
そしてすぐ様落下が始まりスタッと着地をした。
「さて、ここから西へ50キロぐらいかな?」
まぁまだ、大分先まで森が続くけど。
暫く走っていると前方20メートル程に六つの人影が見えた。
誰だろう?ここに人影がいるのは珍し…………ッッ!?
瞬間、20メートルは離れていた距離に一気に間合いに入られ、拳が目の前にあった。
「ッ!」
「────」
あっぶねぇ……後一歩反応が遅れてたら殴られるとこだった。
……ま、怪我は今後全くしないと思うけどね。
取り敢えず殴って来たので第二波を警戒しようとすると何故かさっきの殴って来た人とその後ろの人達が土下座をしていた。
え?これどゆこと?
「えぇっと……妾、何かしましたか?」
「「「「「本っ当に申し訳ございませんでしたぁぁあ!!!!!!」」」」」
うむ。わけわからん。
─────────────
「…………で、妾を【亜人】と間違えて殴ろうとした…と、言う訳ね」
「はい!すっごい罪悪感が…………こんな幼女に殴りかかるなんて」
最後の方は全然聞こえなかったが、とても申し訳なさそうに言っていた。
あれから少し時間が経ち自己紹介をした。
「えっと……焔だっけ?妾はもう気にしてないからよいぞ」
「大丈夫ッすか?殺そうとしたのに」
「あんなの喰らってもすぐ回復するからな」
まず最初にさっき妾を殴って来た人───洋機焔君だ。ヨウ キエンではないらしい…覚えておこう。
「それにしてもどうやって反応したのかな?えぇっと…名前何でした?」
「……來那沙弥だ」
「あ、そうそう沙弥ちゃんだ」
そう言ってイケメンスマイルを見せてきたのはこのグループのリーダーらしい湊楓だ。もうイケメン過ぎて対応に困るくらいイケメンだ。
「で、話を戻すけどどうして反応が出来たのかな?」
「──山勘だ」
「あの速度を反応しといて勘はないと思うよ〜沙弥ちゃん」
そう返答してきたのはこれまた美しい女の人───水藻凛音さんだ。
そこを突かれると反論出来ない……か。
「何か凛音の前だと嘘がつけないな」
「あたしを嘘発見器みたいな言い方しないでよ」
「事実だろ」
「事実ですね」
「あぁん?やんのかゴルァ?!」
焔、楓が言うとちょいギレをする凛音。思ったより怖いな……怒らせないようにしよう。
「はぁ……鍛錬の賜物だ」
「えぇ…本当に?」
「本当だ」
半分嘘でもう半分は本当だ。
だって普段から【仏眼】を開眼してなくても薄らと相手の動きが見えるし……避け方は…鍛錬しました。
「凛音、詮索するのは止めなさい。はしたないわ」
「えぇ〜……砂玖良ちゃん厳しいな〜」
凛音を止めた妾より背が低い女の人───霧矢砂玖良さんはそう言って凛音の背広を掴むと後ろへと引っ張った。
「ありがとうございます。砂玖良さん─────出来れば後ろにいる人も取って欲しいのですが……」
「無理ね。今のあの子には貴方以外眼中に無いわ」
「はぁ……そうですか。もうそろそろ離れてもらっていいですか?依凪さん」
「えへへへ……久しぶりの幼児……えへへー……」
「あ、ダメだ。こりゃ、全く聞いてない」
ずーっと妾の後ろから抱き着いている女の人───風城依凪さんの妾から見た第一印象はショタコン。と、言うやつかな?
「もうそろそろ離れて…」
「いやだ」
「お願いだから離れ……」
「いや」
「どうか話を…」
「ダメ」
「ね「絶対ダメ」……せめて何か言わせて」
ダメだこの人。全く話をさしてくれない……
もうほっとこ……。
「て、言うかそもそもさ、どうしてこんな森の中にいるの?」
「「「「「それ比較的にこっちの台詞」」」」」
あ、そうなの?
「えっとね……ちょっと5000年振りに現実世界へ戻って来た」
「「「「「なにそれどこの主人公?!!!!!!!」」」」」
アレ?口滑らしちゃった感じですか?
仕方ない。強制的に話を変えよう。
「そんな事よりみんにゃは?」
やべ、噛んじゃった。
「あ、話逸らした……はぁもういいわ沙弥については一先ず保留な。それより俺達だが…………俺達は今、国と喧嘩してる所でな───『満目の絶望』って二つ名が付けられてる災害級国家指名手配者だ」
「なるほど災害級…………って何?」
ズコッと皆がコケた。妾、何か変なこと言いましたか?
「えっと……要するに国に悪い事をして目を付けられたって事だよ」
「あ、そういう事ね……でも、どうしてそんな事をしたの?」
余程の事をしない限り、国に指名手配されない筈だし皆を見てると何故か悪い奴には見えないし。
「───それを聞きたいのか?」
「───僕達はね……」
「───この神州帝国のね」
「───腐りに腐った」
「───【麒麟児召喚】の闇を暴いたんだよ」
闇?それはどんなのだ?
…………妾はそれを聞いて後悔する事になった。
「【亜人】完全殲滅を目的とした【麒麟児召喚】にはな」
「物凄い数の生贄──いや、違うね」
「正確には人の魂……」
「それも全国の穢多・非人を生贄に使って」
「長い年月……それも数千年と莫大な時間をかけて」
「たった八人しか召喚出来なかった……という闇だよ」
え?
イマミンナハナンテイッタ?
全国の穢多・非人を使ってって事は………………まさか……。
妾はとおさん、かあさん、にいさんが死んだ理由を自殺だと決めつけていた。
「ね、ねぇ……穢多・非人って合計で何番台までいたの?」
「そんなの決まってる───一番からだぞ」
違う。違う。違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う。
「──そ…れを執り行ったの……は?」
嫌だ。違うと言ってくれ。
どうして勝手に口が動く。止まれ。
「皇族の極一部の連中と上級華族の連中が執り……行っ…た」
あ、もうダメだ。
「───皇族がぁぁぁぁぁあぁああ!!!!!!!巫山戯るなぁぁあぁあぁああぁ!!!!!!」
あぁ……駄目だよ。今まで抑えていた憎悪が溢れ出てきた。
妾はすぐ様皆ごと神明夢想流:六の夢幻を使い【亜空間】へと巻き込み次々と暴れて行った。
「うわぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁ!!」
無我夢中。破壊衝動が止まらない。
「何っだこの溢れ出る膨大な負の覇気は?!」
「これは……不味いね」
「て言うかここは何だ?!」
「見た所現実世界ではないわね」
「沙弥が…暴れてる…」
もう暫くはこうしておかないとアレが勝手に発動して【亜空間】ごと地形を変形しかねないから。
皆が何か言っていたが、妾には何も聞こえなかった。
「¥$_&☆→?@+~♪!!!!!!」
もう自分が何を言っているのかすら分からなくなってきた。
すると突如として声が聞こえてきた。
『はぁ……今代の相棒クンはどうやら引き止め役が欲しいところだなぁ…………ま、取り敢えずは───堕ちて?』
「──ッッ!?」
妾は何かに頭を思いっきり殴られた様な衝撃をうけ、意識を遠のかせた。
その時に聞こえた声は妙に高く幼い声だった。
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