弍話 覇気
遅れてしまい申し訳ございませんでした!
「では武師匠。手合わせをお願いします」
「うむ、勝利条件はいつも通りか?」
あれから5000年の月日が流れた。
毎日、この様に武師匠と手合わせをしている。
ーーーだが今までで一度も武師匠に刀を抜かせた事が無いのだ。
そして妾の勝利条件はご察しの通り武師匠から刀を抜かせることだ。
しかしだ、今回は違う。
「いえ、今日は少し勝利条件を変えます」
「む?それはどんな勝利条件なのじゃ?」
「……武師匠に一撃を入れる。というものです」
「ほぅ……。沙弥よ、汝…今日はいつもと覇気が違うの〜」
武師匠は妾の発言に一瞬だけ目を鋭くするとまた直ぐに戯けた口調に戻った。
圧倒的なまでの迫力。それの片鱗だけでも胴震いがする。これが強者だ。
「話していても始まりません。ではやりましょう」
そう言いながら妾は壁に立て掛けてあった木刀を、武師匠は腰に携えてある御自分の愛刀に視線を落とすとまた直ぐに妾へと視線を戻した。
「因みにルールですが……」
「勿論、妾は『未来予測』『法則切断』を使わないのじゃ」
「ええ、そうして貰えると何とか当てられそうです」
逆に言うとそれ以外の刀技はOKだという事だ。
「ーーーではまず先手は汝に譲るぞ」
「ーーーはい。」
お互いに向き合い、妾は前傾姿勢をとり、五眼の一:【天眼】『五感絶強化』を使用した。
この『五感絶強化』はその名の通り視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚、ついでに第六感である勘や本能などを通常の50倍強化するという身体強化の能力だ。
「───シッ!」
「──────」
妾は武師匠の前に一瞬で移動し、木刀を一振り───
───と、見せかけすぐさま武師匠の背後にさっきのスピードの数倍は速く動き回り込み、武師匠の首元らへん目掛け横一文字に振り払った。
───のだが……。
「ッ?!」
「ーーーふむ。隙は作れるがまだまだ甘いぞ沙弥。覇気が完全に遮断出来ずに漏れておる。これでは一流の刀剣士らに気づかれるぞ」
武師匠は妾を凌駕する素早さで更に妾の背後に回り込み、とある構えをした。不味い……この構えは!
妾はすぐさま横一文字に振り払った勢いを利用し回れ右をすると鞘に収まったままの刀が目前に迫って来ていた。
「───は」
「神明夢想流:一の緋桜」
刹那、数十はあるであろう斬撃に反応出来た妾は運が良かったのかもしれない。
来ては受け流し、来ては受け流しの繰り返しだった。
しかし。そう全てを受け流せる程妾は自分自身の力を過信していない。
武師匠から放たれた斬撃の中、2、3回受け流しきれずにもろくらってしまった。
「ぐふぉ……」
「───悪くない反応じゃぞ。だがこれはどうじゃ?」
「グッ……」
今度は攻防の防の字がない乱撃が続いた。
守りに一切徹しなくなった武師匠に妾は今驚きを隠さずに目を見開いている。何故かって?それは勿論、武師匠はこんだけ刀を奮っているのに───
───覇気が一切漏れ出ていないという事だ。
普通人間は何かしら興奮したりするもその身から(ヤル気と人々はいうが)覇気を纏うのだ。
これは人間全員が兼ね備えているもので覇気の放出している規模が大きければ大きい程如何にその者が強者なのかが判る。と、武師匠から聞いたのだ。
尚、覇気が放出されている時はそのやるべき事に関しての性能が上がる。と、これも武師匠から聞いたのだが……。でも、武師匠はこの覇気を常時漏らさずに生活しろと言われた。
何故かは教えてくれないが頑張って生活中は覇気の放出を遮断することが出来るようになったが戦闘中になるとどうしても盛れてしまうのだ。
だがそれに比べ武師匠はどうだろう。
妾はまだ連撃が続いている中、武師匠を観測するとやっぱり武師匠からは覇気が一切漏れていない。
───だがしかし、相手が武師匠であれ今日妾は武師匠に刀を抜かせるだけでなく一撃くらわせると言ったんだ。それこそ絶対に。
妾は武師匠の刀の連撃に隙が見えた瞬間にすぐさま距離をとり、妾はとある刀技を構えた。
「む?なんじゃその構えは?もしかして例のアレか?」
「ご名答です武師匠。……これが妾の唯一無二の刀技───」
「ほほぅ……ならば全身で受け止めてやるのじゃ───」
武師匠は御自分の愛刀を自分を護るように構え防御の姿勢へと入った。
さぁ、これで終わりだ良いんだが……。
「───禁忌神明夢想流:【十の屠殺】」
瞬間、先程の武師匠から放たれた【一の緋桜】が霞んで見えてしまう程の数千から数万と数え切れない程の斬撃が武師匠を襲う。
そして木刀の斬撃の嵐と鞘に収めてある特殊な刀がぶつかり合って─────
勝者は來那沙弥だった。
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