零話 憎悪
久々の執筆でーす。
モチベを上げていこー。
西暦1871年、四民平等、解放令により僕たち非人は平民へと階級に分けられた。
だが時は流れ2037年。ある平民の男が大罪を犯した。
外国人、それも五十人超の人数を大量虐殺したのだ。
これを耳にした外国は国際問題へとなり、戦争となった。
『第一次終焉戦争』。それがその戦争の名前だ。
日本―――神州帝国は破滅の道へと追いやられそうになった。
しかし、だ。その戦争中に神州帝国は超自然的な絶対なるチカラ―――【魔法•魔術】というチカラに目覚めた。
神州帝国はそのチカラを使って地形を変え、歯向かってきた国をも全て滅ぼし新しい世界へと変えた。それが2051年の出来事だ。
神州帝国は新しい世界へと変えたのだがここで厄介なモノが現れた。
その名は【亜人】。人なのに人では無いモノ。異物。
さて、その【亜人】の襲来から丁度70年がたった西暦2121年。
僕―――非人番号9738番はいつも通りいじめられていた。
いや、違うな。実験体とされていた。と、言ったほうがいいな。
僕は笑い声のする方に視線を向けた。
「ギャハハハハッ!お前ら見てみろよ!コイツ!魔法当たったのにずっとこんな顔だぜ!」
はぁ、うるさい。非常に煩わしい。
でも仕方が無いのだ。例えどんなに反抗できる能力があっても非人の僕には逆らってはいけないんだよ。
それがこの国、この世界の理なのだから。
「あ?非人のくせになんだァその目は!」
ヤッベ気づかれた。
僕の視線が気に入らなかったのか男は僕の胴体に蹴りを3発入れてきた。
これは結構応えたッ!
「グハァッ!グフォッ!」
「それで良いんだよ。人間の端くれである非人はそうやって苦悶の表情を浮かべていれば良いんだよッ!」
毎回、毎回いつもこうだ。
非人のくせに、人間の端くれ。様々な言葉が飛び交う中僕は思った。
憎い。
全てが憎い。
あの時の大事件を起こししたのが平民―――非人でなければ僕たちは平民として生きてこられたのに。
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。
この世界が憎い。
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「っと、もうこんな時間か。よし、お前らそろそろ帰るか非人には無いお家に」
「だなっ!非人にはない夕飯が待ってるぜ〜!」
最後まで僕を―――非人をバカにしやがって。
男達の後ろ姿を憎々しげに眺めた僕は立ち上がった。
「それにしてもアイツら。今日は6人セットでリンチかよ」
僕は身体中を痛めていた。
打撲や捻挫など怪我の状況は様々だが僕は震える足でなんとか家に帰った。
家の付近まで行くと異変に気付いた。
「やけに馬鹿静かだな……」
いつもならここを通ろうとすると石を投げられる筈なんだが今日は一個どころかひとつも投げられない。実に不思議だ。
「まぁ、別に気にしないけどね」
もうしばらく歩くとボロ屋敷に着いた。
だが、ここで気づいた。
「なんか血なまぐさいなぁ」
そう言いながらドアを開けると衝撃の光景が広がっていた。
「は?かあさん?とうさん?にいさん?」
目の前にいたのは僕の家族であるとうさん、かあさん、にいさんだった。
………首に縄をかけられ宙吊りにされていた状態の。
「え?ちょ?な、何これ?なんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?!」
見た所もう手遅れだろう。
だって下半身もないのだから。
死。そう思わない方が可笑しいぐらい三人は既に絶命していた。
「嗚呼、ああ!嫌、嫌だよ!ねえ、ねえねえ!嫌!ねぇ!あ、あ、あぁぁぁぁぁああぁぁあああ!!!!」
うまく思考がまとまらず僕はここから逃げた。
何で?どうして?何で死んでたの?いつ殺られた?それとも自殺?
あの後近所の家にも確認したが全員死んでいた。それも様々な死因だった。
焼死、凍死、千切りにされて死んでいたり頭がない死体もあった。
そして家族のじ、じさ……
「うぷっ…おぅぇぇぇ……」
思い出した途端込み上げてくるものをすべて吐き出し地面に座った。
「ハァハァ……必死に走ったけどこの森にこんなルートあったっけなぁ?」
思ってみればそうだ。この森には数十回と割と多く入っており道も覚えている。だが、こんな道は今までに無かった。
「はぁ、でも、今日は本当に」
憎かった。
ありとあらゆる一切のものに憎悪した。
「どうすれば、この理を……いや、世界を変えられる?」
ただ僕は独り言のように呟いた。当然返答は何も無かった。
かのように思えた。
「少年よ。汝は世界を変えたいか?」
最初にこのおじいさんを見た感想は弱そうだった。
「世界を変える?出来るのか?」
「うむ、可能じゃ。ただしその条件としてこれからとてもキツイ修行をする事になるじゃの」
修行?
そんなものは決まってる。
「勿論、その修行受けて立つよ」
「……ほほぉ」
おじいさんは一瞬目付きが変わったがまたすぐに戻った。
「よい目をしておる。なら、自己紹介といこうかの。妾の名は新井武九代目神明夢想流の使い手じゃ」
正直言ってそのなんたらむそう流はわからなかったが凄いってことが分かった。
「よろしく武師匠。僕は非人番号9738番―――要するに非人だ」
「ほう、非人とは」
非人。という言葉におじいさんは反応した。
もしかしてこのおじいさんもなのか?
僕は少々落胆すると予想外の返答が返ってきた。
「ふむ。呼びにくい名前じゃの。……なら來那沙弥とかどうじゃの?」
「は?」
來那沙弥?何それ?
「名前じゃよ名前。汝は9738番だと妾が呼びにくいからの。名前を与えたのじゃ」
「名前………」
そうか。名前か。來那沙弥ねぇ………。
「汝よ何故泣いておるのじゃ?」
「え?」
気付けば目から涙を流していた。今までこんなこと殆ど無かったのに……どうして。
「おかしいな?何で止まらないのかな?」
きっと何で泣いているのかは師匠にも自分にも分かっていた。
「…………収まったか?」
「うん。ありがとう武師匠」
「そうか。………よし、今日は遅い。妾が暮らしている小屋に一緒に来いひとまず睡眠だ。修行は明日からじゃ」
「はい!師匠!」
こうして非人番号9738番―――いや、違う。
來那沙弥は師匠に連れられ小屋へと向かった。
――――――――――その身にとてつもない憎悪を宿して。
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