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『04』/16


 ――件の事件から、しばらく。

 オクトゥムの月も終わろうと言う頃。


「――どうしたものやら」


 俺は、眼前に盛られた情報と格闘していた。

 いやもう、なんというか……全員が怪しくて犯人が分からないという……


「何処の勢力にも怪しい奴が居るからな――いや、立場的に私の言う事でもないが」

「歴史を見るに、帝政に遷ってからだけでも長いですからなあ、この国……。

 数代前の皇帝の縁者が権利を主張とかまで考え得ますが……」

「呉用先生はどう思う? ――っと罠札『死者起こしの鐘』発動。

 倒された者を生贄に、同数の味方を『冥府』から召喚」

「ふむ、では、罠札『過剰防衛の魔導書』を発動――セットしていた魔札を即時発動。

 魔札『気紛れな濁流』。命貨を二枚支払い、場の全てにダメージ。

 『死者起こしの鐘』で召喚された者は、防御を攻撃に上乗せ、でしたな」

「な!? 読まれただと!?」


 何しとるねん、ベルと呉用……伝説の三体の神のカードとか関係ねーぞ、多分。


「筋が素直過ぎますよ、代行殿。『罠』を仕込むのはいいですが、あからさま過ぎます」

「ぬぎぎぎぎ」

「まぁた負けたのかよ、諦めろって……」

「くあぁああ!!」

「マタ、怪鳥が出たカ!!」ガタッ


 ほのぼのし過ぎぃ、この執務室!!


「――で、どう思う? ジン。直感的な話で良いが」

「いきなり過ぎないすか……」


 遊んでろとは言わないが、片手間で思考されても困る――というかだ。


「……何故居るんです?」

「いやー、その、嫁が元気になったら、『外で働いて来い!!』って怒られて……」


 いや、んな訳ねえだろ、と思いつつ――

 仲間が増えたよ、やったね俺ちゃん!!

 ……ふふ、いや、どの角度からどう突っ込みを入れて良いのかわからんのよ――

 ――『ニーナ』で『コッペリア』って何お前、って人も居るしね。

 てか、飯食ってスヤスヤ寝てんじゃねえよ、カーラと被ってんだよ!!


「むーう……食えません、もう食えませんよ……『アルジャーノン』……」


 寝言が怖過ぎるよお前!! 何の軸から来たんだよ!?


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


 兎に角。要素が多過ぎて収集が付かない。

 『神』『世界樹』『種子』『異天者』『召喚者』『邪種』――

 誰が何を求めたら、こんな混沌とした状況に成るのやら、という感じだ。

 レトロな所からキャラが出るのは構わん、構わんというか、気にしても仕方ない。

 問題は、傾向そのものには偏りがあっても、その意図が不明な所。


 例えば、『ウェイ=クビン』。

 元ネタが分からん人にざっと説明すると、奴は不老不死を求めた魔術師だ。

 それも、元祖であるSFC、スーパーファミコン版では、直接戦う事も無い。

 『人体実験』をとっ捕まえた漁師でやったりする外道ではあるが、『研究者』としては相応に優秀。

 証拠に、『コールドスリープ』に近い段階までは極めていたような描写があった――

 まあ、『起こす』と不全起こして化け物になっちゃう訳だが……


 ただし、その『進捗』がどの程度のモノだったのか――

 どの程度奴自身の能力や研究に由来していたのかは不明。

 『運命石ディスティニストーン』と呼ばれるレアアイテムの中の一つ――

 『魔のエメラルド』のパワーの副産物だった可能性もある訳だ。


 つまり、当人の能力そのものを求めて召喚された、と見るのは博打が強過ぎる人選だ。

 何せ、確実に『性格には難有り』だ。色んな意味で。

 もっとも、召喚されたのか、勝手に闖入してきたのかも分からんが。


 逆に当人の方向性が今一つ不明なのが、『ビュウ=クロスナイト』。

 呼んだ――召喚されたんだとしてだが――奴の意図は恐らくは単純に戦力だろう。

 あの形での能力変化が、元からなのか後からなのかは不明だが――

 『竜』――それも『神竜』なんて呼ばれているクラスの奴と戦った事のある存在。『戦力』としては順当だ。


 もっとも、どうも自分の我の方を優先しているきらいが強いが。

 というか、純然たる『戦力』として呼んだにしては、どうにも自由過ぎると思う。


 ――『転移』、『転生』。

 『意図』の有無、『実在』と『架空』入り乱れる意味。

 ――正直、さっぱり分からん。

 おまけに四方の陣営に怪しい人影ばかり……

 何本も見た『クトゥルフ動画』とかの方が、まだシンプルだったよ、正じ……


 不意に、何かが引っ掛かった。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


「――全員の思惑が一致している訳じゃない。だが――方向性が一致している。

 何とは言えないが、何かが後ろで操っているような感じ……実際に居るかも不明……

 ……まるで――」

「『陰謀論的ネットミーム』だな」

「うお、びっくりした!?」

「んな驚かなくてもいいだろうに」


 驚くよ、あんた何時の間に後ろに立ってたよ、カティ。

 てか、参謀会議って程のもんじゃないけど、自由に人出入りし過ぎ!!


「その、『ねっとみーむ』とか言うのは?」

「ああ、要するに、あんたの千年後には――

 世界中の人が同時に話したり出来る様な『場』が出来るんだよ。

 そこで囁かれる、『噂話』だ」

「――想像が付かんな」


 いや、まあ、『宋代の中国の人』に言っても――


「『噂』を流す為に、そこまでやると?」


 ――勘違いしてた。そうだよな、こいつ、『呉用』だもん、そんくらい想像補完するわ。


「――いや、むしろ、『噂』を流して、何を企図しているかが問題か。

 ふむ……各勢力だけではなく、国の民の間にも不安を煽り、『楔』を打つ気か?」


 頼りになる参謀役が入ったのは有り難いけど、言ってる事がゾッとしない……

 この上、『革命』だのを企図する勢力まで出て来るんすか……?

 『邪種』とかの動向も分からんのに、もうお腹いっぱいですよ、俺……


「――なにやってんだー、皆でむずかしい顔してー」


 カーラ、うん……ほのぼのするが、お前……


「フィガロが戻る前に、ってケーキを焼いてくれたから、食わないかー?」

「……頬とか、クリームついてるぞ」

「おお」ゴシゴシ


 ふふ、素直で良いなぁ……俺も、歳相応に転生したかったよ……


「――菓子を、分けるために?」


 ――なに、呉用先生。今ちょっとほのぼのしたのに……


「――代行殿、この大陸、全員が全員、腹一杯食える訳ではないな?」

「……まあ、貧民も居なくは無い」

「考えが纏まっていないから、非常に粗い筋と説明ではあるんだが――

 ここに、菓子があって、全員に配るとして、足りないなら。どうする」

「また焼くー」


 ……呉用の問題提起に、カーラが答えを出しちゃったぞ。


「――参った。一本取られた」

「――あー、うん。呉用先生。

 俺ら、考え過ぎだ――無策で当たるってのとは違うけど、考えない方が良い」

「全くだな。そうか。足りるようにすればいいだけだな。

 単一か群れか分からんが、思惑に乗る様に『食いっぱぐれる奴』を選んでやる必要はないな」


 全くだ――相手の思惑を探るうちに、自由に考えられなくなっていたようだ。


「――ふむ。ジン。そうなると、別の側面から考えた方が良い」

「別の側面?」


 ――何故、にんまりしているんです。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


「――あのですね」

「なんです、ナタリーさん」

「……なんで私ら、腰を落ち着ける間も無く、ロアザーリオに?」


 しらねえよ。


「すごいですねー、荒地ですねー」


 あんたも何で居るのかな、ニーナさん。


「ロアザーリオの西方沿岸に来たのは、初めてだなー」


 お前はもっと何で居るのシオ!?


「密航者じゃ!! 密航者がおるぞ!!」

「いや、密航というか、君の歯止めに連れてきたんだよ、暴走野郎め」


 理由!! 理由を説明してくれ、アビー!!


「ブートキャンプ」

「……なんて?」

「ロアザーリオの軍閥の一人から、部下を鍛える依頼が入ったので」

「なんで俺も? てかあの三人も?」


 ――あの、ピっと手紙出されましても。


「『――当方は、『四位フェル』と直接対話し、その人と成りを見定めたいと考えております』。

 ……なんぞ、これ。俺に見せて良いのか? お前のとこの機密だろ?」

「ずーっと下がって行って、差出人の名前」


 名前? 名前、なま……


「……ロアザーリオ西方沿岸地域・『ローアン』太守――『ミヒャエル』――」

「どう見ても『ロアーヌ候』臭が半端ないでしょ」


 いや、なんだ、本当になんだこの世界!?


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


 ――大陸の中でも南西方面に当たるロアザーリオ。

 大河シエニアの畔を基盤として開拓が進行してきた土地である。


 『帝国』の開国以前から、その土地を治めていた国の元、開拓は行われてきた。

 だが、気候風土や獣魔との争い等により、大規模な開拓が進んだ事は少ない。

 これは『帝国』が立ち、初代皇帝が獣魔討伐の為に軍部勢力をこの地に動かしても同様だった。

 人間の住まう土地は、粗い網の様に引かれた街道沿いに留まり、その間には未だ獣魔達の住まう荒地が残る。

 それは結局どの土地でも同じだが――ロアザーリオは面積に占める割合が、比較的高い。


 全体としての土地は荒野が多いが、大河流域には耕作に適した土地も多い。

 ただし、耕作よりは家畜化された獣魔の放牧が主である。

 これは、エスターミアから作物を取り寄せた方が安かった時代からの名残であり――

 また、大規模な耕作可能地は、各地の『太守』『領主』直属の荘園と成っている事も大きい。


 各地に配された軍団は、基本的に皇帝、その委任を受けた『ロアザーリオ大公家』を主とするが――

 それぞれの思惑も有り、複数の閥に分かれて水面下で争っている。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


「――ロアザーリオの風土についての講釈は分かった。

 因みに、西方にあるアーカシュ海の名産が『蛸』なのも知って居る」

「ほほう? 名産品まで御存知とは」

「……イゾウに連れられて、あちこち放浪したのでな」


 ベルは頬を掻きながら呉用に向き直る。


「で? 何故急にそんな事を? 呉用殿」

「理由の説明も無く『主軸』を送り出してしまいましたからな。

 代行殿に不信感を抱かせても、と思いまして、遅蒔きながら説明に」

「ふ、何を言うかと思えば」


 ベルはニヤニヤと笑う。呉用も、何と言うか、人の悪い笑みである。


「貴殿を迎え入れた時に言った筈だがな。『裏向きの手は任せる』と。

 表向きの内政にいきなり関与されては混乱が出るから手控えているが――

 貴方の能力は聞き及んでいるのだし、そんな事で不信を抱くとでも?」

「買って頂くのは有り難いですが――」

「『焦ると失敗する』とも聞いている。買ってばかり居る訳でもない」

「……ジンめ。要らん事を」


 まあ、事実ですが、と続けつつ、呉用は一冊の本を出す。


「さておき。私の今言った事は、この書、『帝路歴程』からの引用です。

 まあ、貴族の『地政学』の入門書故、こんな事は言う迄も無く頭に入って居るでしょうが――

 ですが、代行殿。『西方大陸』の事は?」

「――一遍に御伽噺めいてきたな。

 西方、『凪の水原』の向こうにある大陸――だが一般人にとっては、実在すら疑わしい位に縁の無い所だ。

 まあ、一定位階以上の貴族は、実在する事は知って居るが――

 まさか、一連の流れにそれが噛んでいると? 有り得ないだろう」

「普通はそう考えますな。

 何せ、南方にある『鉄鬣族ドワルフ』の大陸と違い、西方大陸は『忘却大陸』の異名を持つ大陸です。

 旧くは人間の王朝が栄えたとも言われている――しかし、現在は大半が荒野だとも言う。

 されどその技術力たるや、何百年も先を行っているとも言う――

 様々な事が語られ、しかし笑い話にしかならない。

 そして、現在のこの大陸との行き来は、非常に限られている。

 たまに思い出した様に、使節の行き来があるだけ」

「何が言いたい?」


 ベルの言葉に、呉用はニコリと笑う。


「そして、それらの事は、全て『エルフ』や『一部の貴族』を経由して知らされている」


 単なる微笑の中に、凄惨なモノを見たベルは、思わず身を竦める。


「無駄な情報が多過ぎる。他方、判断材料に足る情報は少な過ぎる。

 我々は、自分の知る所の事を、もっと知らねば成りません。

 知らされる事だけで情報を得た心算になっていると――」

「知らせる側に踊らされるだけ、か。

 だが、それが、シオやジン達をロアザーリオにやった事と何の関係が?」

「『固定観念』の働く我等より、彼等の方が見える者は多いでしょう。

 別段、本当に噛んでいるとは思っていませんが――それならそれで、確証が欲しい。

 ロアザーリオの西岸は、そちらとの因縁も深い土地柄ですしな」


 そう言って呉用は、テーブル上の地図を見下ろすのだった。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


「――つまり、呉用の旦那は何を疑ってんだろうな?」

「私に聞いても答えの出ない類の事でしょうよ」


 イゾウが杯を傾ける横で、カティとザミーがそんな会話をしている。


「イゾウさんは、何かわかりますか?」

「ん? ――どうだろな。

 状況から考えるに、お前さん方二人を残したのは、『二位デュラ』勢に鬼札を曝さない為だろうが」

「あたしら、今、武器壊れてるしな」

「壊したのあんたじゃん……」

「仕方なかったろ、あの局面じゃ」


 二人の遣り取りを見ながら、くくく、と笑うイゾウ。


「――『疑う』、って話なら、こうも考えられる。

 『今回の一件で、一番動きやすくなったのは、何処か』?」


 イゾウはそう呟き、カティは訝しげな眼差しでイゾウを見た。


「街の防衛で名を上げた『一位エノ』の旗下の軍じゃないのか?」

「実際に戦った光景を見た人間、少ないだろ。実際に『当った』とこは極々限られてる。

 先ずはそこを疑ってる。そして、それは『動き易くなった』訳じゃない。

 注目が集まると逆に粗も目立つからな――」

「わり、イゾウっち、もっと分かりやすく」

「いや、俺も基本は馬鹿だから、もっとと言われてもな……ふむ。

 早い話が、ロアザーリオの軍閥が『各地の平和維持』で動ける状況になっちまっただろ、とな。

 皇帝の命令も無しで動く事は無いかも知れないが、一応括りの上じゃ『官軍』な訳だし」

「――じゃあ、今回の黒幕って、そっちか?」

「――と、見せかけて、教会勢かもしれん。今回の一件、『損』をした所は何処かったら――

 皇帝に不信を抱かれたかもしれない『冒険者ギルド』と、統治者を無くしたマハブラン位だ。

 細かく得をした所の方が多い――『聖樹教』の慰撫もあって、動揺が手早く収まった部分も在るし」


 杯を置きながら、イゾウは呟く。


「……政治の暗闘が有ったのか無かったのかは、俺には分からん。

 だが、『軍閥』連中が動き易い状況に成ったのは確かだ。

 ――んで、もしも影の勢力があるんだとして、一番浸透しやすそうな所、となると――」

「わかんねぇ……もっと簡潔に」

「……ロアザーリオのローアンは、領主が代わって間もない。二年経ったかどうかの筈だ――

 普通に考えれば、混乱の状況下だが、意外やしっかりと治まった状態らしい。

 跡目争いがあったとか聞いた割には、な――当代の才能ってのも有るんだろうが」

「こんな状況の前後で、『六星連』と連絡を取ったのが怪しい、って事ですか?」

「――切り無く疑える。だからジンに行って貰う。って事だろうな。

 引っ掻き回せば、それなりに動きが見えるとでも思ったんだろ」


 まあ、安全策もちゃんと講じてるけど、流石軍師。

 そんな風に呟き、イゾウはもう一度杯を煽った。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


 船から下りた俺たちに、出迎えは無かった。


「――お前、本当に呼ばれたのか?」

「筈だよ。幾らウチのトップが辣腕でも『もう送ったから』はしないよ」


 いや、お前のとこのボス、シオの従妹だけあって、天然なとこあるし……


「取り敢えず、ご飯を食べませんか、お腹が空きました」


 ニーナさん、その腹ペコキャラ推し、なんすか。


「ロアザーリオ方面の人は時間におおらかなトコもあるからね」

「うーむ……来て早々行方不明になっても、心象悪い気も……」

「傍若無人に暗躍する人物がなに言ってんだか」


 いや、唐突に元気だね、ナタリーさん……


「いやー、久々自由だよ。今回は単なる『侍女』だし、超自由。羽根が生えて飛べそうな位――」

「おう、すまないな、ナタリー」

「わぎゃーーーー!!」


 ああ。馬鹿な子。フラグ立てるから疲れ切ったリーアムさん出 て来たよ……


「……あ、直接出迎えると不味いから、あんたが来たのか、リーアムさん」

「……別に、不味い訳ではないと思うがな」


 じゃあ何でだよ、ナタリーが白くなって無言で涙流してるじゃねえか。


「まあ、腹が減っただろうから、飯でも食おう」

「――つか、なんであんた居るの?」

「……ギルドでも色々あるんだよ。責任とって役員降格した人物の地盤が空になったりとかな」


 可哀想に……無駄に有能だと、搾り取られる典型がここに……


 カロンカロン

 らっしゃーませー


「おお、見たこと無い物が沢山ある!!」

「カーラも連れてくれば良かったね」


 いや、あいつ、もっと強くなる!! つって、六星連で修行しに行っちゃったし。

 なんだよあのフリーダム3歳児は……


「よんだかー」


 ……いや、あのですね。


「おう。ジン」

「おうじゃなくて……なんで居る、チグサ」

<おう、ジン>

「お前はもっと何で居る!? そんでなんでそんなフレンドリーに!?」

<……受けませんでしたよ、チグサ>

「うーん、爆笑必死だと思ったんだが」


 笑えねえよ!!

 なんで秘匿したい物件ゲンちゃんが、こんな場所をほっつき歩いてるの!?


「なんでって、何時までたっても戻って来ないし、素材を自分でも探すかと」

<その護衛です>

「護衛の弟子だ!!」


 ええ……


「――なんだか、賑やかだね」


 ――いや、あの、誰すか。


<ああ、『詩人』さん。ジン、こちら、『詩人』さんです>


 な訳無いだろ……どっからどうみても……ギター抱えてても――


「……相変わらず、それやってるんですか、ミハイ殿」

「『殿』はやめたまえ、リーアム。バレる」

<ダダバレでしょうに。町の人全員知ってますよ……>


 やっぱり『ミヒャエル』とか言う人じゃねえか!!

 また変に歪んでるのかよ!!


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