『03』/REm/10
ジジジ「どう考えても、背後で怪しい企みが進行してますね」ジジジ
――うん、分かってます。
ジジジ「清々しい位に怪しいのは『一位』周囲ですけど、貴族の怪しさは何時もですし」ジジジ
ええ、まあ、はい。
ジジジ「ま、他所から見たら、どこも大概怪しいもんですけどね、失礼ながら、此方だって――」ジジジ
――ガコン――ガランガラン……
<おお――切れた>
「回路関係無視してやっちゃいましたけど、違和感とか無いです?」
<大丈夫ですけど、後で怒られるなぁ、これは……まあ、無断な彼女が悪いんですが……>
「こんな技術力を抱えてる段で、『東方』も大分怪しくは見えますねぇ、得が無いから違うとは思いますが」
……お前が一番怪しいわ、このエルフメイド。なんだその『アーク溶接』みたいな技術。
「いやはや、何でも練習しておくものですね。
『単体で装備も奪われ、牢屋で監禁状態』とかいう、どう考えてもいかん状況。
そこから抜け出す為に練習させられた、『極細密原魔力』操作がこんな活き方するとは」
その考えはおかしい――つか、あんなバチバチ言ってたらバレるだろ、普通……
「『王家の懐刀』てのは、一体何なんだ……」
「元々は、単なる王家とか皇帝とかの護衛部隊だったんだけど――
先代の局長の辺りからすっかりと恐い集団に成っちゃったんだよね」
「『我等、主君の憂いを取り払う、一筋の刃なり』って奴ですよ。
オルランドゥさん、自分自身が無茶苦茶万能な人なので、こっちもあれこれ言えないんですよね――
一線は引いた、何て言いながら、未だに御自身もトレーニング欠かしてませんし」
――前から噂は聞いてたけど、なんなんだよ、その『雷神シド』は……
まあ、こっちの方は、『オルランドゥ』がファーストネームらしいけど。
「ジンさんも鍛えてもらうと良いかもしれませんよ?
シオ様の隣に居るなら、幾らでも手札必要でしょうし」
「――万能に過ぎると、その分仕事増えるからやだよ」
どっかの世界の魔王の影めいた忙殺っぷりは御免だ。唯でさえ忙しいのに。
「――そんな事より、イゾウ」
「――ん?」
「――話してもらうぞ?」
「ああ。話す気はあるさ――」
お、意外。ごねるかと思ったのに。
「……詳しい事は、全員の前で話すが、あのおっさんは、俺と同じ世界から来てる」
「うん、それは、分かる。問題はお前があの人と知り合いって事なんだが」
「……なるほど、お前の知ってる『岡田以蔵』は、『芹沢鴨』とは知り合いじゃないんだな?」
「お前自体大概違うから、不思議には思わないけど、何処で知り合ったんだ、あれと」
「あー、まあ……察せるだろ――『花街』だよ」
……やっぱ其処なんか、お前……
「『花街』ですって、シオ様。ベル様の燃料がまた……」
「大変、ベルが火事になっちゃう、無言で燃えて追いかける災害になっちゃう」
止めて差し上げろ、お前ら……出会う出会わない以前に、状況的にゃ『前世』の事だぞ……
「ジンには幾らか話したが、俺は向こうでの18位の時に、『江戸』って街に剣術の修行に出たんだが――
だがまあ――色々と合わなくてな。一年行くか行かないか位で、その道場から半分追い出される形で出たんだ。
んで、行く当ても金も無くてよ――当時出入りしてた知り合いの店に厄介になってたんだ」
「あらあら、ヒモですね」
「わー」
「おい、よさないか」
「……いや、うん、ほぼ、ヒモではあったんだが、一応用心棒だったん、だぞ……?」
弱気に成ってんじゃないよwww落ち着けお前www目の泳ぎ方よwww
「――んでな、俺は用心棒、あっちは客で最初知り合ったんだよ。
つってもまあ、暴れてるとこに出張ったとか、そういう物騒なのじゃないが」
「……客、って、あのおっさん、そんな金持ってたのか?
どっかの三男坊だとか、それも怪しいとか、色々聞くが」
「……『未来』ですら胡乱か、あのおっさん……」
まあ、『新撰組』なってからだと、派手に遊んでる印象強いけど。
「うーん……出については、あのおっさん、ぼかした事しか言わなかったんだよな。
『常州』辺りの出だってのはある程度一貫してたんだが――
『郷士の子』だとも『富農の家から養子に入った』とも、『鹿島の神職の係累』とも――」
「それ――暗に煙に巻かれてないか?」
「実際、『田舎侍』って風では無かったんだよな。
岡場所でその辺りあんまり聞くのも野暮だったつうのもあるが――
――ああ、そうそう、極め付きは『天狗の子』だとか言ってやがったな」
「天狗ぅ!?」
「おう、『筑波のお山に住まう天狗の子だ』、とな」
一遍に酷さが増したな、また……
あー、でも『筑波山』『天狗』――あれ? なんか、引っ掛かるんだが。
天狗、天狗――なんか聞いた事あるんだけど……幕末、天狗……『鞍馬天狗』? 違うな。
うーん、思い浮かびそうなもんだが、流石に『ねえちゃん』も幕末全般の掘り下げはしてないか……
「――まあ、あながち間違ってない可能性はあるな」
「はぁ?」
「あのおっさん、最終的には『世の中引っ掻き回す』のが目的みたくなってたしよ――」
「……どういう事だ?」
「あー、節操無く伝手作って、既存権力全部向こうに回して戦おうとしてた節がな――
『尊皇』も『佐幕』もへったくれもない遣り様で、あっちこっちにな。
『何処も等しく詰まらん野暮天しか居ない』何て吹いてよ――全く、どこの『大魔縁』だっつんだか……」
……やべえ、楽しそう、そのif幕末。京都大炎上?
「――て訳で、だ。関わったり離れたりしながらの――まあ、『悪縁』さ。
細々とした色々は在るが、どういう関係だ、つったらその位で察してくれや」
「ほんと、路線一本違うだけで、到着点がぐるりと変わるな……人生って」
不思議なもんだ――まあ、『在り得たか否か』なら、『無くは無い』ルートでは在りそうだが。
『面合わせたら常に斬り合い』なんて『出会って五秒で死闘』な日常なら、もっと人死にだらけだろうし。
「まあ、お前も知っての通り、あのおっさんに会う前から、お前の知ってる線とは違ってるらしいからな」
「最初の最初から違うからな……血筋とか――『狗神筋』て……」
「そこもまあ、後で詳しく言うさ――つっても、面白い話でもないがよ」
いや、もう、マジで全部聞きたいんだが――
「おい、そろそろ着くぞ」
「――ああ、サンキュ、おっちゃん」
――船の到着のお時間、ですな。
「んじゃあ、俺はシャル連れて――」
言いながら首を回し――何と言うか、突拍子も無い格好に、頬を掻くイゾウ。
「――見えてるか?」
「モガっ!!」
「……まあ、見えてるならいいがよ……」
……まあ、そういう反応成るな――
在り合わせの物で変装させてるから、『麦藁帽子のFF黒魔』みたいな状態成ってるし……
「――ホントに其処まで警戒する必要在るかねぇ……」
「ちちち、甘いですよ、イゾウさん!! エルフの情報網甘く見ちゃいけません!!」
ちちち、て。シゼルがどんどん面白エルフに成っていくなあ……
「外部から入ってた連中が、どの程度までの腹心算か分かりませんがね。
埠頭で待ち伏せされて、正式な書類付きの引き渡し要求でもされたら事です。
まして、そういう『前科』が在る人がそこに居て御覧なさいな、ややこしいにも程がありますよ?」
「人を『勾引』みてぇに……まあ、ベルんときゃ、構図的にゃそうだったんだろうが――」
イゾウお前、其処に関してももう少し詳しく情報くれよ。バタバタしてて、大枠しか聞いてないぞ、結局。
「――ん? でも、良く考えたら、ベルん時、一回撒いたら暫く追手来なかったぞ?」
「……あんまり突付けませんが、自分の『隠密』っぷりが頭おかしい水準なのを、少しは自覚して下さい……」
「いやー、大体は普通に肩車して街道を歩ってたぞ?」
「そういうとこだ、うん」
何処の追っ手が、そんな風に歩いてく『子連れ狼』を『それ』だと認識するよ……
――悲しい顔でこっち見つめないでくれますか、シゼルさん。俺らの世界固有の感覚じゃないですから。
「――まあ、用心はするに越したことない、か……おし、行くぞ、シャル」
「もが!? ――フガッ!?」
「え? ちょ!?」
「先行って、馬車とかの手配でもして置く――」
――タンッ――
……シャル小脇に抱えて、岩場に飛び移って行ったぞ、おい……例の犬頭蓋足場にして……
――だから、こっちを見てもアレは止まらないってば……
「――あー、と?」
「ああ、おじさん、気にせずに埠頭の方に入って」
「――しっかりしてんな、嬢ちゃん」
「まあ、周りがアクティブだとね……」
……なんか、シオの視線が痛い……
・ ・ ・ ・ ・ ・
埠頭には本当に直ぐ着いた――まあ、あの距離だしな。
――にしても、噂とか考えてみるにイゾウって、こっちでの過去もそこそこ、こう……
全く、厄介事がどんどん増えるなあ、等と考えながら下りると――
「――帰ったか、シゼル」
「お――おふっ――何故こちらに!?」
……誰ダロウナー、コノ顎髭ノオッサンー。
「『食材』と『茶葉』の仕入れだ――」
「どんな『茶葉』ですか、『筆頭』から出向く仕事じゃないでしょうに……」
ワー、誰ダカ分カッチャッター。
「何、たまには羽を伸ばせという、主殿の御厚意だろう。後はまあ、マリー様の様子も――」
「あれ? ――オルランドゥさん、なんで居るんです?」
ああ、やっぱ――おうっ!? めっちゃ綺麗な所作の礼!!
冒険者装束してるけど、完璧に『執事』!!
「ああ、シオ様。ご機嫌麗しく――というか、私が居るのはそれほどに不自然ですか?」
「――変と言うか……『フラタカンフェル王門家』、何でこんなにフットワーク軽いんだろ……」
……シゼル、そっと逃げ様とすんな、お前が立てたフラグだろこれ。
・ ・ ・ ・ ・ ・
「『一位』勢力は相変わらずですか」
「故意に情報を漏らしているのも同じだ。
主殿を信用している、と言う様な感じでもないが」
「そもそもで、引いてらっしゃるでしょう、レザン様……」
「引いていると言っても、それでも『王統』だ、単なる飾られた壷という訳でも無いからな」
港町のカフェで、優雅に茶を啜る『執事』と『メイド』。
「――なんで、俺がつき合わされてるんですかね?」
「いや、それ言うなら、俺は更に何故……」
「それは君が、状況の主軸の一人だからだよ、ジン=ストラテラ。アパムといったか、君もだな」
そんな二人の目の前に、一緒に居る俺ら――
御免よアパム、流石にこんな状況に一人は恐い。
むしろ恨むならしれっと逃げたシャチョーとクラーマーを恨め……
「……いやいや、名前を御存知とは……」
「派手に動き回る『機甲機兵』の噂位、注目はするさ」
「――仮想敵として?」
「敵としても、味方としても、中立であるとしても、だ」
あー、マジモンの情報武官だわ、この人……あ、そこのボスだったわ、元だけど。
「――シオを立ち合わせなかったのは、『勢力争い』構図にしないためですか?」
「そこまで切羽詰った話では無いが――私の現在の雇用主は、あまり関わらせたくないと御考えでな。
実際に事起これば、否も応も無く矢面に立たねばならんのだ。
それまでの間は、自由に成る時間を邪魔せずに、という事だろう」
「……その為には、周囲が壁に、ですか……」
にこり、じゃねえよ……そういう意図はこっちもあるけどさ……
「纏めた資料をシゼルに渡しておくので、後で読んでおくといい。シゼル、事後処理はしっかりとな」
「『影すら残さず』、ですね。了解しました……じゃなくて、本当に何で来たんです?」
「――お前の報告等を踏まえて、リクルートに来たんだがな」
……え? 待って、やだよ?
「――これを渡しておく」
……なんすか、この――ピック型みたいなペンダントヘッド?
「――ええと、オルランドゥさん? いきなりそれ渡すんですか?」
「総合的に判断すれば、この方が良いだろう――枠に収まる人物でも無い様だしな」
どんな買い被り方してるんです……
「――これ、何?」
「ああと、『懐刀』の『識別票』、です」
……待って、勘弁して、マジで!! いきなり万能忍者集団に引き込まれる謂われ無いよ!?
「心配するな、何も一員になれというんじゃない。
こちらとしても利用する、そちらもまた利用する、そういった関係でいいんだ。
何分、所属する陣容に違いが在るから、こちらの意図への協力者が欲しい所でな」
「――利用ったって、何も出来ませんよ、俺」
やめてよ、顔にも出る位『めんどい』って表情してるでしょ?
「――君は、自分の影響力というモノを、もう少し考えると良い」
「……『首輪』ですか、これは」
「ふむ、そう捉えてもらっても構わんが――
だがまあ、望むと望まぬに関わらず、君は注目されている。
君の動きが『一位』の蠢動とぶつかり合っているのは事実なんだ――
まあ、蠢動や策謀の主体が『一位』かその更に奥かは、一言で言い切れないがね」
こええな、このおっさん、何が何処まで見えてるんだよ。
つか、そんなに動いた記憶無いのに、それでも引っ掛かってるとか、どんだけ陰謀張り巡らされてんだ……
「まあ、気にするな――好きに動いて貰って構わんさ。
どうしても此方の動きとカチ合った場合に、話を出来る程度の関係を築いて置きたいだけでな。
期待している事、というのは在るは在るが――恐らく、こちらが言うまでも無いだろうし」
言いながら立ち上がるオルランドゥ。
「――あの――」
不意に、黙り込んでいたアパムが口を開いた。
「……尚の事、私まで此処に居る理由が分かりませんね。
言っては何ですが、ジンは最初から『四位』と縁付いている。
私も縁が出来はしましたし、味方するに足りる相手とは思いますが――
――どうせ御存知なんでしょうから、隠さず言いますが、私の目的は『この国の平穏』だのじゃあ無い。
――『帰還』。それが叶わないなら、次点としては『安定した平穏な生活』位です。
……『貴族』だ何だという、二・三段高い所の方々の御戯れに、首を突っ込みたくは無いんですがね」
「……温厚な人柄と報告されていたが、意外や、譲らぬ所は譲らぬと見える」
「そんなんじゃありませんよ――ありませんが――」
かた――カップをテーブルに置きながら、相手を見据える。
「――勝手に巻き込んでおいて、勝手にそっちのルールでおっ始めるってんなら――
こっちはこっちで、算段絞らないし、遠慮もしないでやるしかないですよ、とね――」
「――そう言って、御理解頂ける連中であれば、苦労は無いのだがね」
「……まあ、そうでしょうね。大体そんなモンですよね、『意識』とか『階層』の『乖離』なんて」
……雇われ店長がそういう事言うと、違う構図にも聞こえるな……
「――ああ、此方自身の目的も話さずに『利用』なんて言ったら、疑いも持ちたくなるか。
私の目的はシンプル。『平和と愛を守る』だ」
「――――」
「――――」
「……そのスローガン、胡散臭過ぎるって言ってるじゃないですか……」
この人もネジ外れじゃないですか……妙に説得力あるけど……
「――まあ、繰り返しになるが――そういった行き違いからの『激突』を防ぎたい、という事だ。
一線を引いたとは言え、自分のやれる事で、大恩に報いたい――人としては、そう不自然な事でもあるまい?」
そういって、歩き去っていく。
「……何処まで本音だ、ありゃ……」
「……基本、本音ですね――まあ、言葉は胡散臭い所有ったでしょうが……
実際の所、『一』と『四』というか『バーフェルブール』と『エスターミア』、結構摩擦があるんですよ」
昔っからの構図引き続いてるのは聞いた事あるが、面倒臭いなぁ、また……
「というか、貴方たちに期待する部分って、もっと個人間の繋がりな気がしますが――」
……そういう事だよな、多分。
……取り様が無いんだけどなぁ、イゾウの手綱なんて……
・ ・ ・ ・ ・ ・
「――久しいな、イゾウ=オカダ」
「……どう嗅ぎ付けるんだ、このおっさんは……」
馬車の手配さっさと終わらせて、どう考えても自分には不似合いな『雑貨屋』に逃げてたのに、と頭を掻く。
……別に、その姿を確認した訳では無い。何となくだ。
本当に何となく――『いやな予感』がして――
「噂は聞いていたが、元気そうだな――そう嫌そうにするな。
単に、折角だから顔を拝んでおこうと思っただけでな――」
「……俺はあんまり顔合わせたくなかったんだがね」
嫌そう、と言うよりも、面倒という表情で返すイゾウ。
「……まだ気にしているのか? 私があの一件の後離れる形になったのは、本当に単なる偶然だ。
引継ぎの関係で残っていたが、もっと以前から、『職位』の返上自体は決定していたのだからな」
「――『勇退』に味噌付けた形なのは変わらんだろ……」
自分と相手の微妙な因縁を考え、ボソっと呟く。
「そうでもない――そもそも此方がもっと無遠慮に動いていれば、『勇退』なんてものをする必要もなかった。
無論、それを強行したなら、今度は『強権』だの、『独裁』だのと、別の方面の文句が出ただろうがな――」
「答えに困る事を言いなさんなよ。こちとら、単なる一冒険者だ。
ベルやらを守りたいは守りたいが、自分から深々と厄介事に食い込んでいく心算は――」
「――本当にそう言う風に思うなら、ヘルマン=ダスバックの一件に噛まんだろう」
「…………」
言い切られて、言葉に詰まる。
「『一回目』『二回目』は雲隠れしていながら、『三回目』で動いたのは、其処に絡んでの事だろう?」
「……やっぱり心臓に悪いぜ――ギルドの内々の事を、平気で言って来るかよ……」
「ふん、心臓に悪い、等と言うのはな――いや、良い。それはいい。
今更皮肉を言っても仕方が無いし、ある意味では痛快ですらあったのだからな」
「……言外に責めてやしませんかね……」
「責める、というよりだな……」
ふう、と息を吐き――いや、と一声言うオルランドゥ。
「……あの時にも言っていたな。『位も権威もどうでもいい』と。
『必要と踏んだからやった、その事を責めるなら今此処で素ッ首を取れ。ただし――』」
「……んな事覚えてんなよ、こっ恥ずかしい……」
「――そういった部分は、何も変わらんのだな。お前は――だから安心して任せて置ける」
そう言葉を切り、引き上げようとする相手に――
「――無理言うなよ」
「――――何がだ?」
「生憎と、ジンの手綱なんざ、俺には握れねえよ――
シオにでも頼め――まあ、あれもあれで暴走の気があるが」
肩を竦めるイゾウ――続けて――
「――まあ、暫く見守ってみる事ったな――
『貴族』の『飼い犬』が吠え掛かって『躾けられ』『分からせ』られたとしても、だ――
俺にそれを止める事は出来ねぇよ――何せ、俺は俺で手一杯なんでな」
・ ・ ・ ・ ・ ・
さて――『胡散臭い資料』を手に入れたぞ!!
……じゃなく。どんどん暗闘に巻き込まれていくな、俺も……
イゾウめ。にやにやしながら『おつかれさん』って、何だ。
「……平和……平穏……」
――アパムがぐったりしてるけど、俺のせいじゃないよ?
と言うか、ぐいぐい行ってましたよね、実際。
「――まあ、衆目を集める物件と歩いてれば、こうはなるさ」
「お前のおまけで貰ったんだからな!? とばっちりだよ!?」
そんなん言っても――
ほら、前方の馬車。
「――おいおい、落ちる落ちる、どんだけ乗り出してんのシャル」
「……それ言うならあっちの方が――」
「ちょっ!? シャチョー!?」
ははは、巻き込まれ属性の俺たちに、平穏な日々は中々来ないようだぜ。




