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『03』/REm/01


 目の届かない所での、物事の蠢動を他所に――


 どんちゃんどんちゃん


 ……何故か、酒盛りに成っている、という――


「レムナエクか――中々難しい事を」


 まあ、半分以上、この従兄様(六星連最高権力者)のせいですがね、ええ。


 どんちゃんどんちゃん


 ――まあ、『従妹シオ』歓迎の宴席断る訳にもいかないんだけどさ……外交的にも……

 ……ラフ過ぎるのは、置いておこう。それよりもだ――


「難しいと言うと?」


 よーしおねえさんいっきしちゃうぞー


「僅かながら、住民が残っている――しかも閉鎖的でな。

 お前、この世界のエルフの系統について知って居るか?」


 いっきいっきいっき――そっちじゃねえよ、天を突いてどうするwww


「あーと、『上のエルフ』『地のエルフ』、じゃねえっけか?」


 口調荒いって? 『何鹿爪らしい事を』って怒られたんだよ、真っ先に。


 はいはーい、んじゃ射的やりますよー、ザミー的なー

 しぬわばか!!

 店に迷惑掛けんなって――


「『地』のエルフが世界各地に歩き出してから、正確な年数は不明だがな。

 各地で考え方の異なる連中があっちにもこっちにも居る。

 そんな中、『レムナエク』の連中は、『神樹原理主義』とでも言える連中でな」

「うわー……なんとなくだけど、そんなトコにいる理由が分かったわ……」


 はいはい、んじゃおっさんがカワラケ切りを披露致しましょう

 見事切れたらその分の酒をおごってくれやー

 やんややんや


「――なにしとる」ビキキ

「――いや。その。流れで」


 覚悟決めて、行く準備して下さいよ、このもじゃもじゃは!!


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


「――『神樹原理主義』ねえ」

「『荒御霊あらみたま信仰』に近いな。

 強力過ぎる相手を、どうにか宥めようって考え方は」


 アパムの呟きに、俺はそんな風に応じる。

 ――まあ、この人も、ある程度そういう事わかるだしな。

 平穏無事に過ごす為には、危険を知っておく事、とはこの人の弁だ。


 現在俺達は、レムナエクへ向かう船に乗っている。

 因みに、人員は俺、シオ、イゾウ、そして――


「久々に他のエルフと会いますねー。相手怒らせたらすみません」

「怒らせない努力してくださいよ……たのんますよあねさん……」

「努力はしますが、私エルフ基本嫌いなので」

「自分もそうなのに!?」


 ――シゼルさんは兎も角、何故『戦車部隊』が居るんだっけか。

 ……あ、新装備テストと、デイリーガチャ目的だった。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


 詳細には説明していなかったが――つっても、折に触れて断片は言ってたかもしれないが――

 『アパム』『シャチョー』『クラーマー』は、どう言った原理かさっぱり不明ながら『廃棄品』を喚べる。

 要するに、『何処かの僕らの世界から、賞味期限切れの食品類』を召喚してしまえる。

 うん!! エコだね!! 知らん!! 原理もコンプラも知らん!!

 そもそもでどう考えても食える食い物バカスカブン投げる方が悪いのだ、悪しき社会制度だ(極論)。


 ……いや、何で喚べるの? って聞いたらアウルも難しい顔で唸ってたからな、実際。

 あれだよ、『勿体無御化明王』とかの霊威じゃない(適当)?


 ――だがまあ、異世界の物珍しい食い物なら、手土産には最適じゃないですか。

 逆にブチ切れられる可能性も否定はしないが、そうならそうなった時だ。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


 マリーやカーラたちは観光中だ。

 ――言い間違いじゃなく、観光中です。

 いや、偽『四位ふぇる』さんがお守りしてくれるらしいので……

 ――手間の掛かる子二人抱えてでも、火中には来たくないんだね、ナタリーさん。いや、真っ当な事だが。

 アビーが居ねえぞって? 

 アイツほら、一応『六星連』からの助っ人だから――


 = = = = = =


「……何をどう書けば良いってんだよ!! あんな事態!?」


 = = = = = =


 報告書ってモノを出さなきゃいけんのだな……頑張れ、なんつうか、頑張れ……

 ああ、アウルはそもそもこっち来る船路の途中で、『ちょっくらあちこち見回ります』つって消えた。

 ――俺の言う事じゃないが、相変わらずフリーダムだな……一応、案内人とかだよな、お前……?


「というか――イゾウ、お前は知らんの? 現地の事」

「いや……その……出た後、暴れまわっただけだしなぁ、俺……」

「――――」

「あ、違うぞ、酒持ってこーいとか、そう言うんじゃないぞ」

「んな心配はしてねえよ」


 そこまでバカだったらつける薬はねえよ。


「出ただろ? したらあいつが樹に磔になってて、それを引っ剥がしてだろ。

 したらエネルギーが暴走始めて、現地の連中に追いかけられて、だろ。

 『泉』まで暴走し出して時間やら乱れ始めて――

 その乱れの中で、シオを助けて――の辺りまでは覚えてるんだが。

 後はもう、こっちも息も絶え絶えな上に、例のアレで『ドカーン』だしな」

「……さらっと言ってるが、時間を飛び越えて手出ししてんじゃねえよ、お前は……」

「まあ、それ、俺の方だけのせいじゃないらしいけどな。魔術師連中の詳しい説明は分からんかったが」


 俺が言えた事じゃないが、こいつも『運命』尖り過ぎじゃねえ?


「シオはその時の事覚えてるのか?」

「一瞬だけ、なんかが走ったと思ったら、刺客が転がってたのは覚えてるけど――

 僕も刺されて、アウルが一体化したタイミングだったから、はっきりは」

「――ホントに一瞬だけ、時間を超えて、か」

「まあ、俺も無我夢中だったからな、単純にあいつ追って来た連中だと思ってたし」


 ――参考にならねえ……いや、時間とかの特異点が出来て、ってだけなんだろうけど。

 ……自分で思ってなんだが、どういう事なんだよ、そりゃ……


「気が付いたら大陸側か」

「ああ。後は、『冒険者』やりながらあいつの親捜して回って――だな。

 まぁー、あっちこっち彷徨ったよ、あいつが記憶とかグチャグチャなってたから」

「まあ、ナハル家と言える家は、その頃には無くなってたんだけどね」

「いかに皇帝でも、あの規模の『甥』の家を、更地にまでするか、ってびびった記憶があるな。

 尤も、別邸だったらしいけどよ――本邸は帝都にまだ在る筈だし」


 何それ、恐い。色んな意味で。ベルねえさん、実際はすげえ良いトコの子?

 ――今や、野武士力高いけど。


「おい、にいちゃんたち。後30分程で着くぞ」


 船の船頭さんが言ってくる――以前からの俺の知り合いで、心中の通称、たこ入道さんだ。


「ん。分かりました」

「用が済んだら、狼煙上げてくれれば迎えに来るからな」

「なあ、タコのおっちゃん、待っててくれねえの?」


 おい、クラマ、直接的にタコ言うなって。ツルりとしてるけど。


「おっかねえんだよ、あの島の連中。何考えてんのかわかんなくて。

 俺も元々は大陸との連絡船なんかにも乗ったから、エルフ自体に偏見はねえけどよぅ。

 それでもこええんだ。あの島の連中は――なんつったらいいのかな。生き死に迄、運命任せつうか――」

「……どの程度まで知ってるんです?」

「んー……大陸での帝国建国より前に住み着いた、なんて話を知ってるくらいかなぁ」


 その段階で、既に尋常じゃないんですけど――

 千年から宗教主軸にやってきたって事じゃん――

 俺も逃げたくなってきた。


「まあ、10年位前の、ほら、例の大爆発。

 過激な考え方の連中は軒並みくたばったか島を追われた――なんても聞いてるがね。

 それでもまあ、同じ様な装束で、しずしず歩いてるのを見るのは、あまり心が穏やかじゃねえな――

 なんつうか、『亡霊』が歩いてるみたいでよ」

「……やべえな」

「逃げんなよ」


 お前が行ってみるって言いだしたんだからな、イゾウ。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


<――本当に私も行かなきゃダメですかね?>

「ダメではないけど、チグサに文句言われるよ?」

<――なんで、よりによって、人間大ユニットのテストを、こんな局面で……>


 客室では、機械仕掛けの鎧が、シャチョーに説得されていた。


「心配し成さんな。話だと、交渉して見せて貰うだけらしいからさ」

<それで済んだ例がないから、心配なんですけどねぇ……>


 ――その顔には、(´・ω・`)がちゃんと刻印されている。


<――それに、事によっては、私が『敵』と認識される可能性も――>

「なんでよ?」

<……話したでしょうに――

 私の『主敵』は恐らく、『アガザル』って呼んでる物――それの別世代の奴です。

 アレと『世界樹』には何らかの関連があるんじゃないかと考察されてて――何、ぶふーっって>

「それはゲニトリクスとしての任務で、防衛対象無くなっちゃったじゃん」

<――いや、そうだけど……>


 消し飛んだ一因、貴方達ですよね、という言葉も待たず、シャチョーは続ける。


「それに、『魔術師』連中が言ってたじゃん、確定では無い、って。

 『魔素』の絡みで『泉』周辺は獣魔の変容が起き易い、とかも言ってたし。

 そもそも、ゲンチャンの蓄積してたデータと、『アガザル』がぴったり一致した訳でもないんでしょ?」


 痛い所を突く――『砦』健在なら分析ももう少し出来たんだろうけど……


<そうですけど、それと敵と看做されない可能性は――>

「気にすんな気にすんな、その為にのその体でもあるんだろうし――というか君はゲンちゃんだと何回」

<くっ――なんでこんな論理の無い説得にOKが出るんだ、私のロジックは!!>

「知wるwかw」


 ……言葉ではグダグダ言いながらも、取り敢えず乗ってしまった段で――分かっては、いる。

 そう、ゲンにも分かっている――知りたいのだ。


 ――作戦として、あの場所に置かれた意味は分かる。

 だが、その自分に、この『柔軟性フレキシビリティ』を与えた意味が分からない。

 防衛対象だった『人類』の傍近くに配備するというなら分からないでも無いが、自分がいたのは最前線だ。

 ……実際問題、『六星連』として見渡した場合でも、僻地も僻地、ド田舎だ。

 そんな所に、これ程の事を積んで置く必要は無い――演算系に特化させればいいだけだ。


 ……では、何故だ?

 ――いや、その疑問は、余り意味が無いと分かっている。

 『創造者』当人にでも問わなければ、『正解』等出ない類の疑問だ――


 ――寧ろ、もう一つ――

 ――何故、彼らと関わる事で、自分が――

 それまでの数百年とも数千年とも付かない時に、何倍もする『変化』と『進化』を遂げたのか。


 ――手を見る。

 『鎧』のそれではあるが、人と同等の形をしている。

 無論、内部に色々と仕込んではいるのだが――

 元来のボディの『積載荷重ペイロード』は無いが、元来では使えなかった『武装』を装備出来ている。

 火力が更に上がった、と言うよりは、手札の幅が広がった――

 使わずに済むに越した事は無いが、小規模なダンジョンでも、当り障り無く戦える様になったと言える。


 ……だが、それ故に、尚分からなくもある。

 自分は――何処へと向かっているのか。


「んな深刻に悩み成さんなって。冒険しようぜ冒険」

<……頼むから、余計な騒乱は勘弁してくださいよ……>


 こればっかりは本気で頼むゲンだった。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


 ――森じゃん。

 島影が見えてきて思った事は、それだった。

 海にそそり立つ様な断崖の島――その上に、密集するように木々が生えている。


「あそこが港だ――つっても、普段は誰も居ないと思うぜ。集落の外へは、基本出ない連中だからな」

「――物資は?」

「たまーに商売人が来てたり、どうやってか渡って来たりしてるな。

 つっても、知っての通り交流は殆どない。買い物だのも、必要な事以外は殆ど話さんみたいだな」


 あ、うん、そこまで離れてないから、離島ではないけど、精神的にも物理的にも、孤島オブ孤島ですか。

 挙句に宗教を軸にして内々でガッチガチ……『隠れキリシタン』とか『隠し念仏講』かよ……


「…………」

「――おい、イゾウ、今更逃げんなよ?」


 繰り返すが、お前が来ると言ったんだからな。


「――いや、逃げはしねえよ。逃げはしねえが――真面に見せて貰えるもんかな、と思ってきてよ……」

「何の為にカルハ兄さんの機嫌取ってたと思ってんだ、お前は――ほら」

「……何時の間に」

「何時の間に、じゃねぇよ。本来こういう根回しとかは、大人であるお前が率先してやれよ……」


 まあ、俺も『直の面識ないだろうしな』ってやっちゃったけど。


「い、いや、ほら――親交は大層深まったぞ!?」

「ああそうな!? 『親密度↑↑↑↑↑』位にな!?」


 カティと一緒に成って場を盛り上げる事はやってたけど、逆にそれしかやってなかったじゃねえか!!

 変な飲み方の二日酔いで来れなくなった『カティ&ザミー』よりはマシだけどな!!

 なにが『おあああああ』だ!! 二人して萩原朔太郎の『猫』みたいな音出しやがって、全く!!


「一応は『六星連』の支配地域だからな。『治世トップカルハにいさん』の一筆も効くだろ。

 それ効かなくても、当初予定通りお前だけ『忍び込む』手も在るし――そうなったら絶対騒ぐなよ?」

「分ぁかってるよ――」

「……訂正、気分が乗ってきても、はしゃぐな」


 気分が乗ると変な方に走る所有るらしいからな、この人……


「いや、分かってるって。流石にこんな短い間隔で、ベルに怒られたくねえよ俺も――

 逆に、『忍び込む』つって、その手管は不安視してないよな、お前」

「あんたが単なる『剣士』なら不安だが、違うだろ?」

「――まあ、なあ……」


 でしょう? んな訳ねえだろって噂ある位に、『隠密』も得意でしょう? この『オカダイゾー(?)』は。


「――んじゃ、お前さんがたを下ろしたら、俺は帰るぜ」

「わるいね、おっちゃん」

「ああ。言っとくが、十分気をつけろよ?

 一応、お前らには世話に成ったから、変な死に方されると寝覚めが悪い」


 脅すなよ。別に『人食い族を見たしょうわのたんけんたい!!』的な事しに行くんじゃないんだから。


 ――そうして、俺達は、その島へと降り立つ事に成る。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


 ――成ったの、だが――


<――あの――>

「凄い!! ホンモノの『機神』様だ!!」

「すげぇ!! すげぇ!!」

「神話は――予言は真の事であったか――」

<――なん、ぞ、これ――>


 俺に聞くな。お膳立て一切飛ぶ懐かれ方してるお前が聞くな、ゲン。

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