表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/388

『03』/13


 RRRRRooooOOOOOHHHHH!!!!


「――元気一杯、って感じだが――」


 動きそのものは、酷く鈍い――いや――

 ――肉体と、精神の反応が、一定じゃない。


「アウル、今の『中身』は?」

「――『混沌竜』の素子が分離して、あれに集約し始めたみたいだね」

「オーケー、返事は無いが、意識は残ってるな、三人――」

「……というか、話しかけたりだけでも『意識』って意外と保持出来るもんなんですね……

 というか、確信持ってましたよね? こんな――精神の根性論みたいな遣り方に」

「根性論というか、連中の底力に賭けただけだけどな――まあ、逆に言うと、これが前提だし」


 無数の物語を蔵した『記録』の縁者ですもの――

 まして、あの連中の『基型』は相応に知っていて――


「――前提――まあ、前提は前提、か。

 『寄生者』に過ぎないとはいえ、『宿主』が『抵抗力』示せたら係数変化とか――

 何処を如何考えても『精神論・根性論』を出ないけど、『フラグ』なんて、そんなもんちゃそんなもんか」


 デバッグモードな視界をもってる奴が隣に居るならな、何ぼでもやってみるわな。色々と。


「よし――ここで切り離したら?」

「――無理だね。さっきも言ったけど、それぞれに独立させるのが困難だと思う。なんとも残念だけど――」

「――手遅れだった、か」

「逆だよ。多分だけど、有無を言わさず倒して居ただけなら、そもそも『混沌竜』があの形で出て来てない。

 『グゥエイン』でも『ミイナ』や『子竜』でもだけど――

 どれか一つでも完全にパルスが途絶えたら、その段階でソレを吸収して全部乗っ取ってたはず。

 ……具体的に言えば、『混沌竜』の姿を取らずに、『潜伏』に走った可能性が高いかな」

「――クソ便利だな、その能力」

「『顕現現象演算シナリオシミュレート』は、一般の人間だと脳負荷きついから止めたほうがいいよ?」

「くれとは言ってねえよ――」


 こんな会話を交わしている間も、相手――『混沌竜』はギクシャクとした動きだ。

 ――絶対、中でなんかやってるだろ、あの『魔女っ子』……


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


「――空っぽだな、また」


 生命体の体内と呼ぶには、あまりにもガランとした空間に、アビーは居た。

 あの『竜』が、生命なのか、それともそう言う風に構築されただけの『何か』なのか――

 それらは分からないが――実際の所、なんでもいい。問題は、出口が無い事だ。


「困ったなぁ……まーた多方面に厭味言われるな、こりゃ――」


 そんな事を言いながら、歩いていく。状況が分からないのに、大魔術ぶっ放すほど考え無しな訳ではない――

 魔術に反応するトラップや、乱反射してこちらに反撃するような仕組みが無いとも言えない――

 そんな事を考え、想定して行動出来る辺り、アビー自身、老獪というか、根性曲がりな自覚はある。


「――とは言え、随分と趣味の悪い事してくれるじゃないの」


 ちら、と目を他所にやった、次の瞬間――

 眼前に、彼女がまだ『普通』の幸せを夢見ていた頃の景色が広がっている。

 ――17世紀、アメリカ――正確には、また違う呼び名ではあるが――それもまたどうでもいい。


「――あらあら、まあまあ」


 ――追われている自分が、駆け抜けて行った――後を追う様に、何人かの人間たちが続く。


「――さっすっがっにっね――この『幕』をってのは――」


 ふっ、と中空に手をかざすと、その手には――歪に歪んだ一本の鉄の棒が。


「――突付いて良い事と悪い事の区別ぐらい、付けなさいよね」


 そう静かに口にすると、唐突に周囲に火が灯り始める。


「『我は森を拓く、この焔をもて、潜める場所を焼き拓く。

  我は歌を歌う、その歌を持て、汝らを追い立て狩り立てる。

  我は万事を裏切り、汝を裏切るであろう。

  遥かなる彼方の時、汝らが許される悠久の彼方にて、我が焼かれ罰される為に』」


 その炎は――まるで燃える森。

 地から天を穿つ程に燃え上がる炎柱は、彼女の過去の幻影も、それを追う幻影も等しく燃やし、灰にし――

 その灰すらも更に焼き締めて、結晶の平原と化していく。


「――やってくれるわね」


 その向こうに、一人の人影を認め、そう呟く。


「――でも、相変わらず、夢見がちというか、なんというか――」


 その人影も幻影に過ぎない事は、アビーも分かっている――だが、募る苛立ちは、更に言葉を紡ぐ。


「何でもかんでも、思い描いたようになると思ったらね――大間違いよ、ベティ」


 その幻影は、微かに微笑んだように見えたが――次の刹那には姿を消す。


「――相変わらずの様で、安心したわ――『夢見るドリーミー・ベティ』」


 語る言葉とは裏腹に、アビーの顔には、凄惨な微笑が浮かび――


「……反応が来た方は、あっちだったわね」


 くる、と踵を返し、歩き出す。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


 ビグン、と、『首』が痙攣する。


「――不味い、かな――」


 その度、反応が良くなっていく。

 まるで――何かに揺り起こされるかの様に。


「当然と言えば当然なんだけど――素子の反応が、集束してる以上――」

「純粋に『それ』だけになって、反応が良くなる、は当然だろ」

「――だけじゃなく、なんかこう――」

「……お前も感じてるなら、単なる俺だけの考え過ぎでは無いな」


 そう――まさに、揺り起こされる様に――

 『寝返り』や『胎動』的な事でなく――明確な『意志』で、攻撃し始めている。


「さて、んじゃ、それがそうだとすれば――流石に全部は骨だから、適当に誰か連れて来い、アウル!!」


 そう言って、俺は跳び――


 ドガァ――バスゥッ!!


「――痛っ――って、ジン――」

「ってぇ――おう、大丈夫か?」


 相手の予期せぬ動きで吹っ飛ばされた、シオを受け止める。

 ――カッコよく抱き止められりゃ良かったんだが――

 音で分かるとおり、二人して壁と仲良くなっております、俺がクッションになったけど。


「――ごめん――僕、やっぱり、足手まと――ふぃっ!?」

「おー、やわらけー」


 いいねいいね、顔は俺とよく似てるが、構造はやっぱり女の子だよね――


 ――ゴッ


「頬を、つまむな!!」

「――さ、さーせん」


 な、なんで俺の周囲の女連中は、俺の目を狙うの?


「ふざけてる場合じゃないでしょ、全く!!」

「――思いつめてる場合でも無いと思うんだけどな」

「――どういう――」

「決まったルートがある訳じゃなし、好きに生きて何が悪い、つってんだよ」


 深刻でシリアスなベクトルの中の、大河的ロマンス?

 自分が王になるか、姉を王にして自分は観光へ?


 冗談キツイ――情勢も事態も、こいつの性根が似てたとしても、そんなルートにはいかねえぞ。

 ダダ甘いラブコメルートになってでも、こいつは自由にしてやる、俺も自由にする。


 ああ、そうさ、折角の異世界だ。

 『ぼっち女王カチュア』連れてゼノビア周遊ぐらいしてやんよ!!


 RRRRRRAAAAAA――


 ――ガガスッ――!! ボンッ!!


 ――AAGGHHH!?


 二人の放った『鳥』が、同時にその目に刺さり、爆発する。


「うるせえよ、蛇野郎が。すこし待てって言ってんだろ」

「――息が合わない訳じゃない、か……」


 ――いや、こんな物騒なので心のシンクロ率測らなくても……まあいいや。

 さて――アウルは――


「お待たせ、連れてきた――っても、本当に周囲に居た人拉致ッただけだけど」


 おう、誰が来た――


「……勘弁してくれよ、何でお前と関わるとこうなんだ……」

「――グロい――」

「はいはい、御嬢様、しっかりして下さいね」

「――アウルお前――なんてタイミングで……」


 ユートとイゾウと――あと、誰だあの二人?


「――あ、シオ!! 何ですのこれは!?」

「……なんでマリーとシゼルさんを……」

「いや、通り掛かったので」

「説明を!! 早く!!」


 あ、シオの犠牲者かな、この雰囲気は。


 AAAAAAAAAAAOoooooHHHHHH!!!!


「――とりあえず、イゾウは三本な。ユートとそっちのお二人は一本。

 俺とシオが残り四本を受け持ちマース」

「マースじゃねえよ――てか、師匠知らん?」

「あー、と――あん中」


 ――説明雑で悪いが、頭抱えて地面殴る事無いだろ……


「ごめん、マリー、ホントすまんが、力貸して」

「――ちゃんと後で説明しなさいよ?

 お師匠様に『修行だから行って来い』としか聞いてないんですからね?

 こんな訳分からん状況――」

「わかっ――わかったから、顔近いから――」

「――百合萌ゆる――」


 ――ダメな人が此処にも居るなぁ――

 てか、エルフっぽいけどメイドだし、隙があんまり無いし、どういう知り合いだありゃ……

 まあいい、先に、呆然としてるイゾウだ。


「――三本て――」

「いけるだろ、どうせ」

「――お前ね、俺は――」

「昼行灯も大概にしろっつってんだよ。

 それとも何処かの赤毛の人みたいに、幕末に戻るのは嫌だとでも?

 違うだろお前の場合――」


 ――そんな不安そうな顔すんなよ。

 暴走したら叩いて戻してやるよ――俺も暴走した場合までは責任持てないけど。


「――あんまり、性根の良い力じゃねえんだよ、アレ」

「というか、これ落ち着いたら、ある程度腹割って説明しあう方がいいだろ――」

「――分かった、分かったよ。ただ――出来るだけ近寄るなよ?」

「ああ、それと、アビーが中に居るから、当てるなよ?」

「――何やってんだ、アレはアレで……」

「さあ――ていうか、お前、タイミングが如何とか言ってなかったか?」

「……まあ、仕方が無い事だわな……俺が基本悪い訳だし……」


 ……アウル、お前、なんぼなんでもベルの前に横入りすんなよ……

 ……まあ、いい……必要なら、俺も怒られるだけだ。


 Gggg……GGGRRRR……


 ――さて、お待たせ、『混沌竜』。

 随分大人しくしてくれて助かったが、時は来たれり、だ。


「悪いが、舞台からハケて貰う時間だ」

<――何故――>

「――言葉通じんのかよ」

<――私は、円環よりの、脱却を――>

「そうかもな――お前は、『この世を滅ぼす』程度の竜だ。

 お前はヒンドゥーでいう『カルキ』で――

 『この世諸共、この世の一切悪を絶つ役割』なのかもしれない――

 ――だが、悪い。お前の舞台じゃねえんだ、ここ」


 その役割を必要とする世界へと、旅立ってくれや――

 ここは、別の舞台で、お前の出番じゃない。


「聞こえてるな!! 『三人』とも!! 後ついでに、魔女っ子BBA!!」


 ――ドグン――


 その言葉に応えるように――

 『波動パルス』としか言い様の無いモノが、『混沌竜』の内側から放たれる――

 よーしよし、まだ生きてるな。


「こっちはこっちで何とかしてやる!!

 そっちはそっちで、『悲劇』の中の希望を捻出しろ!!

 お前らを縛る『シナリオ』は無い――ここでは、『自由』だ!!」


 そう言って、俺は『混沌竜』に殴り掛かった。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


 さあて、チートなんて生温い事いわねえ。

 ここからは――ROMハックのお時間です。


 悲劇が好みのシナリオライター。

 今から俺が、そのエンディング、


「アヘ顔ダブルピースの」ボソっ


『ハッピー・コンティニュー』にしてやる――って――


「誰だ今要らん事言った奴は!!」

「モノローグがダダ漏れなんですよ、原作レイパーめ」

「やっぱアウルかよ!! なんでそんなメタ擦れしてるんだお前!!」


 ホントに唯のオペレーターかよお前!!

 ――あ、お前もROMハックされたようなもんだったな、そういや。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ