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【08】『錆猫は眠らない』


「んダイナマイトがよ~hhhm、nダイナマイトが150屯」


 超が突くほど上機嫌に、田舎道を歩くこの女性。

 混じりッ気なし、総天然のトラブルメーカー。

 生まれながらに螺子の外れた、乱射狂トリガーハッピー

 名を――


「おいこるぁザミー!! 人の事勝手に紹介しだしてんじゃねぇ!!」

「君、ホント口悪いよね、勘弁してよ、こっちの思考覗くの……」


 『ラスティー・キティ』こと――


「誰が『赤錆猫』じゃ!!」


 モノローグさえ入れさせてくれない……(泣)


「いやもう、ホント、勘弁してよ――

 "取立て"とかもう、どうでもいいから……何で私こんなのに関わっちゃったの……」

「うっせぇな、勝手に取り立てに来て、勝手に一緒くたに『召☆喚』されといて何の言い草だこのダメ悪魔は」


 カチン!!


「人の忠告無視していきなりマフィアと抗争始めたのそっちだろがい!!

 巻き込まれたのこっちだろうが、この女コブレッティが!!」

「そこはダーティーハリーだろが!! 微妙にシルベスタってんじゃねえよ!!」


 『カティ=マックス=フライクーゲル』巡査である。

 ――婦警である。お前みたいな婦警が居てたまるか(泣)


 ……あ、申し遅れました。

 私、『ブリジット=ザミエル』と申します。

 ――『悪魔』です。一応。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


 ええとですね――何処から話したものか――

 察しの良い、オペラ知識をお持ちの方は、何となく分かると思いますが――

 彼女は、『魔弾の射手』の主人公格、『マックス』と『アガーテ』の子孫です。

 分からない? ググれば出ますよ……


 で、私は――いや、もう分かるでしょう、『ザミエル』の郎党です。

 というか、あれに出てきた『ザミエル』は、曾御祖父ちゃんですね、私から見ると。

 ん? 悪魔が婚姻? とか思いました?

 しますよ、それ位。というか、悪魔って意外と契約には五月蝿いんですよ。

 それでまあ、私は曾御祖父ちゃんの回収できなかったモノを回収しに、その子孫の元に向かったんですが――


 = = = = = =


 ズダダダダダ!!


「おらおら、弾出せ弾ぁ!! 撃ち足りねえぞこるぁ!!」

「ちょ、おま、『契約』する気ですかあなた!?」

「ふっふふ、お前、こんな状況で私一人死んでみろ――綺麗な殉職で魂天国逝き確定だぞぉん?」


 ズギューン!! ババババッ!!


「な――こ、この女――『コンスタンティン』気取りかこの野郎!?」

「はぁっはっはぁ!! 打算が在ろうが無かろうが、もう人質は助けて逃がしちゃったもんねぇ~!?

 さぁさ、どうする悪魔!? どぉうすぅんのさぁ!?」


 もっと大口径もってこーい!! コンテナごとブチ抜け!!


 = = = = = =


 ……やだ。思い出したくも無いクソミソな記憶が……

 まあ、それで『契約』交わしたのは良かった。

 二重契約状態になるから良くは無いんですけど、まあ、緊急回避ですよ。

 それがですね、まさか――

 出した一発目、集積されてたガンパウダーに当たると思わないじゃないですか……

 ……何トンか知らないけど、埠頭が丸ごと消えてましたよ、あれ……


 ……御蔭さまで何の因果か、一緒にこのわけわかんない世界にすっ飛ばされてきまして。

 しかも何が酷いって――


「――お、イノシシちゃんだ。おい、ザミー」

「……あのね、向こう帰ったら、そのまま連行しますからね?」

「わかってるって。いいから、はよ」


 ――バシュン!!


 ――この世界の『銃』、『実弾』じゃないんですもん……『七発目の弾』に至らないんですよ!!

 ずっとカウント『二発目(仮)』なんですよ、チクショーメ!!

 曾祖父ちゃんの契約書そのまま流用したのもどうかとは思う!!

 思いますけど、そこらへんはちゃんと判断しろよこの契約書!!


「おーし、今晩はお肉だぜー」


 ぐちゃっぐちゃっ


「ひぃ」

「ひぃじゃねえよ、何回目だ血抜きの度に」

「一発でドスンとやればいいでしょ!? なんで手を無理に突っ込むんです!?」

「イノシシの血管なんてわっかんねえもん――おう、これだ」


 ぶちちー


「あかん」

「おーし吊るせ吊るせ吊るせー!!」


 ――野生児め。ロス市警の癖して。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


「というか、依頼内容覚えてます?」

「おう。覚えてるよ――どっかの砦ぶっ潰せばいいんだろ?」

「雑ぅ。とうの昔に遺棄された筈の砦で、ゴーレムが動いてるのを見たって人が居て、それの調査ですよ――

 なんで段階無視して吹き飛ばそうとするかな、この女……」

「偉い人は言ってたぞ。『誰も居なく成れば完全ステルス』だって」

「投げ捨てろ、その聖典……」


 ――実際問題、この世界は彼女にとっては『楽園』の様な世界だろう、とも思う。

 何せ、『好き放題にぶっ放して、好き放題に人助け出来る』世界だし。

 悪魔の私から見ても、こんな素敵な世界は、そうはない――

 何せ、現代じゃソースが薄くなってしまって使えない魔術が、使い放題だ。

 火を熾すのに十何節唱えなきゃいけない、なんて七面倒臭さが無い。

 ああ――ここに来れて良かっ――いや、良くないな。

 ……せめて、事故的に来たんでなければなあ……


「――つか、さ。それって、多分だけど、あいつ等じゃねえかな?」

「……在りうるから困るんだよな、あの人達……

 ――でも、あの規模のだとすれば、逆にもっと早く目に付くでしょうし」

「それもそうか――というか、そもそも論、あいつらなら依頼して来た側にも味方として認識されてるか」


 おまけに、自分と性情の良く似た人たちも居る世界だ。

 自由自在な正義の味方――スーパーヒーローで無くても、それが許される世界。

 私が垣間見た『現代人間社会』は、『正義の味方』がひたすら生き辛い世界だった。

 正義を一つに十の始末書が付き従うあの世界は、この女みたいなのには、さぞ生き辛かった事だろうと思う。


 カチャ、カチャ、カチャ――


「――うーむ。銃身曲がってきたかな?

 アパムの奴、ドラグノフとか拾ってねえかな?」

「怖いよ、コンビニゴミにドラグノフ入ってるとか、何世紀末だよ」

「だよなぁ――トカレフが関の山だよな」

「普っ通の日本のコンビニでは、トカレフも落ちてないし……」


 分解清掃をする手際が、無茶苦茶手馴れているあたり、どう考えても単なるガンマニアにしか見えないんだけどな、この人の場合――


「まあ許容範囲だろ。ほれ、頼む」

「はいはい。『回路構築』、と――」


 自分の一番得意とする術式を展開して、バラになってる部品に上書きをする。

 ――そう。うちの一族って、最も得意なのは、こうやって器物とかに術を刻んでコントロールする事なのです。

 曾祖父ちゃんの『魔弾』も、大体こんな感じだったらしい。


「……よし、こんなもんでしょう」

「なんだかんだ、お前も協力的だよな」

「異邦の土地で野垂れるのは勘弁して欲しいですからね。

 帰る算段探す間は協力しますよ。というか、貴女こそ、帰りたいんですか?」

「ネットがねえもん。物語の続き気に成ると成仏出来ねえ」

「……成仏てあーた……」


 帰りたい理由が、志低いんだよなあ……


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


 さて、数日後。

 依頼にあった砦には特に何もなかったので、周辺を更に探索していると――


「――ゴーレムっぽいけど、別っぽいですね」


 別の砦の前をちょこちょこ歩く、大き目の鳥っぽい何かを私達は見ています。


「――カラクリ人形、つか、玩具っぽいな。見ろよ、あの頭。ブリキっぽい」

「てか、廃材の寄せ集めに見えますね」


 等と言っていると――


「――砦の中から、戦闘音ぽいもの聞こえるな――行くか」

「うわ、ちょ、行動早いって――」


 偵察してる意味無いぐらい、速く走ってくバカが一人。


「おらぁ!! LAPDじゃぁ!!」

「通じないでしょそれ!!」


 おまけにいきなり走りこんで乱射してるし、何この人。


「――って、これは――」

「こないだアパム達と戦った奴じゃねえ?」


 いきなりぶっ放して、的確に正体不明のモンスター射殺するとか、怖すぎるよこの婦警。


「――そうね、この蔦の塊みたいな奴は。完全に同系では無いみたいだけど」

「――この間も聞いたけど、何なんだ? これ?」

「だから、分からないってば……というより、私よりもアパムたちにちゃんと聞けば良いでしょうに」


 処理手馴れてるのといい、絶対向こうの方が知ってる筈なのに、さっさと酒盛りに移行する方が悪いって……


「それもそうなんだが――っと、待て――そっちの人は無事か?」

「――人?」


 そういう私達の前に、


「――ジンじゃないのか。どなたです?」

「ああ、お巡りさんだ」

「どこが――いたっ!? 悪魔を叩くな!?」


 工具っぽいモノを構えたお嬢さんが出てきました。


「――まあ、助かりました。十代『韓志和』です」

「あ? カラノシワ? ロシアン?」

「――いや、違いますよ――」


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


 ――これもまた、恐らくは、ターニングポイントの一つです。

 私達と彼女は、もっと大きな冒険に巻き込まれていく事になりますが――

 まあ、さっさと本編進めろ、というメタお告げがあるので、ここまでにしましょうか。

 では、また何話か後に。


「メタっぽく締めてんじゃねえよ」

「……たまには悪魔っぽい事させて……悪魔のガンスミスでしかなくなってるんだから」


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