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02/【06】


 この世の全ては、近くに遠きに、低くに高きに、大なり小なり『因果』が働く。

 あなたが呼吸したからとて、世界の酸素が無くなりはしないが。

 あなたが水を飲んだとしても、世界の海が干上がりはしないが。


 あなたが昨日学んだ何かで、明日の何かが変わるかもしれない。

 あなたが明日掛けた言葉で、何時かの誰かが救われるかもしれない。

 『因果』とは、結局の所、そういった所から始まっている。


 全ての物が、『引力』を発するが故。

 全ての者が、『斥力』を発するが故。

 複雑極まる『点』の挙動が、思いも寄らない絵を描く――それが『因果』。


 そして。

 その因を。

 その果を。

 こうも呼ぶ――『業』、と。


 さて――では、その『業』。

 果たして、『この世』だけに留まるのかと言えば、そうは考えられていない。

 『前世の業』だの、『生前の業』だのという言葉があり。

 『輪廻』という、善を薫じ・悪を誅する、巡る円環を、心のみでも観測する者が居るなら。

 それは、『この世』も『あの世』も貫いていると言える。


 さて、問おう。

 『生と死』でも分かたれていないのに。

 脳に刻んだ筈の『智慧』や、肉体に刻んだ筈の『技巧』すら渡るのに。


 どうして、『業』は、異世界へと渡らないと言えようか?


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


 ジンたちから少し離れた直後―― 


「――何でそんな不機嫌なんだ?」


 イゾウは、前を歩くベルに声を掛けていた。


「――不機嫌、というより、不安なのよ」

「何がだよ。『ジン』の程度はお前も見ただろ?」

「ええ――術式的に、さっぱり理解が及ばない点以外、問題は無いわ」


 イゾウに顔を向けず、周囲を警戒するベル。


「――じゃ、何が『不安』なんだよ?」

「――人見知りのあの子が、あんなに簡単に人を信じたとか、どんな手を使ったのかと」

「――『術』ならお前が気が付くだろ? どうだ?」

「……まあ――あの子に簡単に掛かる術なんて、そうないと思うけど」


 じゃあ何が、と聞こうとして、イゾウはふと思い当たる。


「――お前、自分の経験から心配してんのか」

「――悪いかしら?」


 そう言って、ベルはイゾウを振り返る。

 ――その目の奥に過ぎった光景に、イゾウは一つ息を吐く。


「……いや。なんとも言えないがよ。あんな目に遭った奴の懸念に返す言葉は、流石にねえ」

「――じゃあ――」

「だが、まあ――お前の時は味方が居なかったが、今のあいつには味方が居る。

 心配も分かるが――特殊な環境で育ったなりに、あいつはしっかりしてるし」

「――しっかりしてる、っていっても、まだ10歳の――」

「おお、そうだな。旦那の――

 エスターミア大公ラハルドの薫陶を受けた、特殊極まる10歳児だ――

 ……って、ん? 11じゃ無かったか?」

「……もう直ぐ誕生日では在るんだが、まだ10だよ――相変わらずだな、お前……」


 この適当男、という視線に、頭を掻きながら目を逸らし――


「いや――お前の誕生日は忘れてないんだから、許せよ――

 って、そういう事じゃねえよ――ベル。俺も碌な生き方はしてないがな――」


 へらっと笑って、イゾウは返す。


「――ある種の『天命』の類を背負って生まれてきた奴ってのは、よ。

 それに合わせる様に、いわゆる『大人』が想像も付かない成長をしてるもんさ」

「……あんた、別に子が居た訳でもないでしょ」

「お前もな? まあ、子持ちを『樹の巫女』に指名、てのも笑うがよ」


 ――一瞬、自分に過ぎった暗い記憶を、殊更、何て事の無いように――

 カラカラと笑うイゾウに、ベルは溜め息をつきながら、しかし険しさを消した。

 その表情を見て、イゾウも微笑む。


「正直、『魔術』の関係で狙っている連中は、何処にでもいる――

 んで、『政敵』の類の関係者も、何処からでも涌いて来る。

 それならもう、一々心配するのがバカらしいだろ。

 どっから飛んでくるか分からん『暗剣』の刃に、四六時中気を張り続けるのは、疲れるしな」

「あんたは――本当に、なんというか、変わらないわね」

「大概な生き方した後の余禄だ、好きに生きるさ――」


 笑いあう二人は――


「――なあ」

「――ああ」


 ――互いに、冷や汗を浮かべている。


「「――飛べ!!」」


 二人同時に飛び退る――


 ――バガァアン!!


 その足元を突き破り、件の怪物が姿を現す。


「――こりゃ――なん――」

「イゾウ!! 退け!! 『火球』!!」


 ベルの指先からスイカ大の火が飛び、相手にぶつかるが――


 じゅううぅぅぅぅぅ


 迸る体液が、たちどころに火を消し、そのままベルに飛び掛る――


「っとと――逃げるぞ!! お前の火力じゃ無理っぽい!!」

「なん、これ、なんだ!?」

「バケモンだろ!! ホント、碌でもない星回りしてんな!!」


 ベルを引っ張りながら相手をかわし、そのまま走るイゾウ。

 脳が回ってない言葉を言いつつ、通路に飛び込む二人を、明らかに通れない体躯で追い――


 ズガァッ!!


 石積みの枠を吹き飛ばしながら迫ってくる。


「うぅわぁぁぁぁぁ!?」

「まじかぁぁぁぁぁ!?」


 必死に走る二人、追う怪物、そして――


 ――ずるっ――ドガァァアア!!


 いきなりそれが、横滑りして、壁に激突し――


「――『粘液生成』も○、と――『フェル』!!」

「『焦炎牢』!!」


 ブワッ――ジジジジジ!!


 待ち受けるように迎え撃つ二人。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


「――よーしよし、このまま後退するぞ」

「うはは、ジン、お前やりやがるな!!」

「うるせえ、なんでこっちに連れて来た、てか、アウルは何して――」


 そこまで言って、俺は不意に嫌な予感に突き当たる。


「……この中で、この――遺跡? 迷宮? ダンジョン?

 呼び方知らんが、この構造物の下に、何があるか知ってる人?」

「俺は知らん」

「期待もしてねえよ、あんたには」


 あんたも厳密には部外者だろ、知ってたら問題だろ逆に。


「――詳細は知らない。こういう類はその地の直系にだけ口伝されるし――

 私は居候の身の上だからね――『焦炎牢』!!」


 ――この人も多分、『皇族』とかなんだろうなー、でもって術者て、『フェル』と被ってるな。


「――『井戸』」

「『井戸』?」


 フェルがポツリと呟くのに、俺は返す。


「僕も詳細は聞いてませんでしたけど、お爺様はそんな風に言ってた筈です」

「……あいつ、それ塞ぎに行ったか? ひょっとして」


 そんな風に呟いて、俺は怪物の来た方向を見る――おっと、アン○リカルケーブル発見。


「イゾウ!! あれ斬れ!!」


 絡み縺れる蔦状の固まりを指差す俺――


 ――バチン!!


 瞬時に音も無く飛び、一音にしか聞こえないような二連撃で、それを断ち切るイゾウ――

 ……あの、歴史で知るより数倍強いんだけど、なにこの人……


「おら、これでどうだ!!」


 イゾウの声が響く――怪物は――


 ジジジジジ――ボウッ!!


 案の定と言うか、供給されていただろうエネルギーの元を絶たれ、本格的に燃え始める。


「これで、なんとかなったか?」


 油断無く構えているベル――そして、その横に立ち、地擦りに構えたままのイゾウ――

 二人は目配せして、様子を伺うように近付く――だが、その眼前で――


 ジジジ――ブシッ!! メキメキ!!


「「うそだろ」」


 ……俺が言いたいよ、お二人さん。

 燃え盛る体から、人型の腕生やすとか聞いてないし――


 ――ブンっドンッ!!


 その振り上げた手は、石畳の地面を揺らし――皹が走る――


 ――ガラガラガラ!!


 ああ。また落ちるんか。

 そんな事を思いながら、俺は落下した。


「――『ミナキ』――!!」

「ば、来んな、『シオ』!!」


 意識してか、無意識のうちか、『フェル』の手を掴みながら――


 …………俺たち二人が、その名と関係の無いはずの音を発した、その意味は――


「――何やってんです、お二人共」


 俺たち二人を見下ろしている、この『メニューさん』が、話してくれる事となる。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


 ――体を起こすと、瓦礫の中だ。

 相手は――自分で起こした崩壊に巻き込まれてりゃ、世話無いな。体の末端だけ出てる。

 まあ、最後っ屁みたいな感じだったのかも知れないが――

 『フェル』は――頭振ってるが、無事のようだ。


「――お前、その体は?」

「いや、分かりやすいように、お二人の脳に投影してるだけです。幻覚ですよ」


 アウルが、謎の巫女服でぴょんぴょん跳ねる光景を見ながら、俺は微妙な気分に成った。

 ――なんでお前、袴短いんだよ、膝出てるじゃねえか、とか。

 なんでこいつに入る前の、メイド姿で出てこないの、とか、突っ込む所は無数だが。


「というか、酷いよアウル!! コントロール寄越せとか言って、結局捕まって!!」

「めんご」

「この――」

「その程度で腹立てんな、『フェル』。てか、お前もこいつ知ってたんだな」


 てっきり死に掛けた所に入って、それっきりアウルが主導権握ってたのかと思ったよ。


「――父母の死と同時なので、一応、五年の付き合いですね。

 突拍子も無い奴なのは知ってますけど――もう、なんというか、はあ」

「……お前、五年前に着いたの?」

「いや、十年ほど前ですね。

 手近なメイドに入って五年程、世界各地をうろうろして回りまして」


 なんだろう、『イス人@クトゥルフ』がダメな何かに覚醒した様な、この感じ――

 『超時空バックパッカー』かな?


「その先で彼女の両親と知り合いまして、仕えまして――とある事件の後、彼女に」

「よくまあ、五年もこんなのと――」

「まあ、異常事態には、基本的に慣れてますから」


 お前も『姉ちゃん』みたく、ややこしい星回りの下に生まれてるのか(遠い目)。


「言ったとおり、面倒事を引き寄せる運命にあるので――

 まあ、どう考えても、貴方もそうなんじゃないですか? み――『ジン』」

「いや、違う――『み』?」

「『魔王』と『勇者』両方ぶっ飛ばして、エルフに喧嘩売っておいて?

 ――以下略以下略――で此処まで来てて、この上『違う』とか、草に草生えますよ」


 ぶふー、じゃねえよ、このメニューめ。なんだかんだで一緒に飛んできたお前もだろ。


「てか、お前どこに――」

「ああ、そこですよ」

「そこ?」


 そこには、羽根を木に貫かれたコウモリが。


「――とりあえず、僕に戻って下さい、アウル」

「いえ。事は急を要するので、私はこのまま行きます」

「――行きますったって、お前――その体で――」

「いや、言ったでしょう? 保険は掛けておく、って。

 まさかの本体と鉢合わせとは夢にも思ってませんでしたけど」


 ――本体?


「……気が付いてなかったんですか?

 この場所の直下に、『泉』とほぼ同じモノがあるんですよ」


 『泉』――って、『世界樹の残骸』で見たアレか? ――『井戸』って――


「――お前、まさか」

「『セーブ&バックアップ』して挑めるとか、ヌルゲーですよね、正味。

 まさか、『それその物』が動いてくるとは思ってませんでしたけどね」

「弩チートじゃねえか!? 異天力がチートだとかの騒ぎか!?」

「【状態の保存(ステートセーブ)】じゃないんですから勘弁してくださいよ。

 それに、さっきも言いましたけど――本体と鉢合わせちゃいましたし。

 汚染度合い酷過ぎますね、正直――」


 俺は思わず後ろを振り返る――うっそだろ、あのバケモン復活し始めてんじゃん。


「まあ、貴方達二人なら、何らの問題も無いと思いますけどね」

「……それ以前に、あれ、倒せる代物なのか?」

「エネルギー供給元である『井戸』自体は、一旦機能落としました。

 まあ、『大元』が直ぐに再起動するとは思いますけど、倒せる時間は在るはずです」


 ……成る程。まあ、倒せる、は分かった。


「本当は一緒について、私がそっち押さえながらがベターかも知れませんが――

 現状情報吸い上げたら、不用意に『召喚ガチャ』やった奴が居たらしくてですね」

「『召喚ガチャ』て――」

「呼び方は良いです、おいといてください。

 ようは、予想外の存在がバラバラ入ってきたみたいなんですよね。

 イゾウさん出てきた辺りで、『誰か使ったかな?』と、怪しくは思ったんですけど――

 まあ、あの人もログ鑑みるに、突拍子も無い出方してるしなあ……何がなんだか」


 ――えっ? ごめん、あいつ、『ガチャ産』?


「……良く分からないけど、不安定な状況になっている、って事かな?」

「です。さすが、私の相方」

「『憑依』されてた相手に、そんなん言われても……」

「酷い!! 正に血肉を共有した間柄なのに!!」


 ……アウルお前、大分こう、離れてった後から、キャラ変わったね?


「――というか、何が起きたんですかねぇ、『召喚器』暴走のログあるんですけど。

 あれ、相当な負荷掛からないと、そんな事成らないと思うんですけどね?

 『これはまさか伝説の』みたいな演出が在るで無し――

 具体的には、そう――展開してる所に、高エネルギーが『次元歪曲』引き連れて突っ込むとかで無ければ」

「――ナニガオキタンダロウナー、フシギダナー」

「因みに、『召喚器』の起動場所はバーフェルブール、時間軸的には今日の事らしいんですけどね?」

「セヤナー」


 ……分かっててチクチクして来んなよ……事故だよ、事故……

 ――くっ、お前はお前で、そんな、どこぞの砂狐みたいな目でみるんじゃねぇよ、『フェル』!!

 違うんです、世の中に混沌を齎す事が目的じゃないんです――


「――まあ、それで出てきた人たちを探さないといけないんですよね。

 召喚点に出るのが基本なんですけど、イゾウさんみたく、時間飛び越えてる人もいますし」


 うわー、あいつ、敵方に出掛けてたのか……て、おい、『時間飛び越えて』って何?


「ま、そういう訳で、貴方のポカは別に突っ込みませんから」

「いや、俺のせいじゃないだろ!!」


 そんな事態の真横通ると思わないじゃんか!!


「――てか、イゾウとベルは?」

「今こっちに向かってますよ。お二人なら分かると思うんですけどね」


 どうやってだよ。


「――いや、システムに『マップ』ある筈ですし」

「――あ、忘れてた」

「教えとけよそう言う事は!! 後『シオ』も忘れん――『フェル』も」


 ――『フェル』――『シオ』――『フェル』――何だ? 何で、こんな――


「そう言えばそうだった、使う用も無かったから忘れてた――

 『ミナキ』、じゃないや、『ジン』、『システム』に――」

「ちょっと待て――おい、アウル」


 俺は――自分でも何を聞きたいのかも分からないまま、言葉を繋いだ。


「――なんで、俺は――あいつを『フェル』と呼ぶ事に、『違和感』を抱いてるんだ?

 というか――今、俺、なんで、そっちを口走った?」

「……不思議ですねえ。記憶の類なんて、見る限りだと何も残って無い筈なのに。

 容姿も其処まで同じに見えませんし――

 それでも、貴方達は、『ミナキ』と『シオ』か――余程の絆だったんでしょうね」

「――うそ、だろ」


 だって、その名前は。


「いや、むしろ、『彼女』が『貴方』をそう呼ぶのは自然なんでしょうね。

 何せ――命の果てまで、心の最期の叫びに到るまで、貴方を守ろうとしたんですし」


 『シオ』は、『ねえちゃん』で。

 『ミナキ』は――『俺』の――


 こいつは――『シオ』――『梓生しお』、なのか?


「まあ、何かの影響が無くたって、『越界転生』くらいするって事ですよ。

 ――どの程度まで、どのような存在の影響があったかは分かりませんけど」


 アウルの言葉に――俺は、『シオ』を見る。


「――なに?」


 小首を傾げる仕草が、無駄に懐かしい。

 だが、今の俺は知る筈も無い『懐かしさ』だ。


「……記憶は、無いのか」

「如何でしょうね。あの時の『邪神』の考察やら考えるに――

 『記憶』を全部『記録』に変換して、貴方の魂を保全して転生させた可能性が高いです。

 あくまで雑考ですけど、人間の『たましい』は、基幹情報である『魂』と――

 その生に於ける一時的な記録が大半を占める『魄』に分かれる、って話があります。

 頭ぶち抜かれて、魂魄の重要情報の部分も壊れて、後は朽ちるだけって貴方の『魂』を、

 『シオ』さんは自分の『魄』のデータで無理矢理繋ぎとめて、充填して継ぎ接ぎした、って事かも知れません。

 まあ、専門外なんで、はっきりとは――まあ、あの『邪神』の転生者なら、ソレ位は、と考えるだけですね」


 ――まあ、お前みたいなの作る位だしな……


「……つまり――『ねえちゃん』、ではない、と――」

「……厳密には、『シオ』ではない。けれど、確実に『シオ』とも言える――

 流石に、転生前の魂魄形質だのは知りませんが、『記録』から考えるに、行動が相応に似てるんですよ――」

「――取り敢えず、二人だけで納得してないで、事態の改善に協力して欲しいんだけど」


 こっちのややこしい裏事情など知る由も無く、そいつは言う。


「――こういう無駄にドライなのは、確かにそうだな――『記録』から考えると」

「……というかですね、『ミナキ』――いやさ、『貴方』は『ジン』さんですね」

「どっちでも良いよ。なんだ?」

「変な言い方ですいませんけど――どっちでも良いじゃないですか。

 『フェル』だろうが『ベル』だろうが『シオ』だろうが――今そこにいる彼女は彼女ですよ?」


 煙に巻くのが存在理由みたいな奴に、ド正論吐かれたんですが。

 まあ、そうな……転生してきてたとしても、こいつはこいつだもんな……

 『生まれ変わり部分』ばかり重要視するのは、こいつ自身に失礼だ。

 ――だが、まあ、座りが悪い――


「――あっちはなんで『ミナキ』って言えたんだ?」

「それこそ分かりませんね――『愛故に!!』とかロマンティックに言えなくも無いですけど」


 いや、その言い方だとどっかの聖帝なっちゃう。十字陵築いちゃう。


「さっきは『魂』『魄』で分けて説明してみましたけど、それだって仮定ですし。

 何某かの形で残ってたり――『受信』してる、とかの可能性もありますし。

 ――まあ、ミっ、とかミナぁ、とか言い間違いかける理由は――」

「理由は?」

「可能性としては、ジンって名前が口に馴染んでないからじゃないですか?

 別ゲーでも顔合わせてた二人が、今ので無く前アカウントの名前呼んでしまう様な」


 ……分かるけど、どんどん馴れた解説してくるな、こいつ。


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