ケロアンが全く心に響かなかった件
★チュニス~ケロアン
ちょっと道に迷いつつバスステーションへ。ケロアン行きのバスに乗った。
隣に座ったピンク尽くしの女の子が話しかけてきた。
チュニスで学生をしているが今日はトズールの家に帰省するのだそうだ。
服もアイシャドーもバッグもピンクなので「ピンク好きなの?」と聞くとテンションをあげて
「大好きなの!何でもピンクがいいの!」と本気で言ってた。
途中、友達から携帯に電話がかかってきた。
約束があったのを忘れて帰省してしまったようで、相当焦っていた(笑)
女性と話す機会はほとんどないので、私が持ってたマニキュアが淡いピンクだったので彼女にあげた。
マニキュアしたくて持ってきた訳ではなく、何かの機会に役立つと思って安物を持ってきたものだ。
彼女は喜んで、代わりにはめていたブレスレットの一つをくれた。
ずっと話しっぱなしなので疲れて外を眺めていると「やだあ。黙ってないで何か話して!」と言う。
ひたすら話し続ける人がアラブに多いのは、黙っていることに罪悪感があるからなのかも、と思った。
「しばらく景色を見てリラックスしたいんだ。」と言うと安心したようで、ほっといてくれた。
バスステーションから、タクシーでメディナ前まで。
メディナまん前のホテルサブラは、古めだが掃除が行き届いている。
シャワーは今までの安宿ではベスト!
ケロアンは、こじんまりした古都といったイメージだったのに、メディナに入ると、モロッコのような土産屋の激しい客引きにあってびっくり。
疲れるなあ。
ラクダの井戸を見て、そこでお水を飲んだらもうしたいことは無くなってしまった。
メディナを散策していると、スイス人の初老のジェントルマンが話しかけてきた。やはり一人で旅をしているらしい。
今夜はこの人と一緒に夕飯食べられるかななんて思っていると、13,4才のガキがやってきて、ふざけた英語で二人の間に割り込んできた。空気が読めないやつだな。
所謂セクシャル系の、これしか知らないんだろうひわい語を連呼する。
ふざけたガキにはちゃんと躾してあげないと。追いかけてしっかり蹴りを入れました。
おじさんとははぐれてしまった。
ったく、むかつくガキだ。お前はラクダに蹴られて死んでしまえ。
親に会ったら文句のひとつも言わないとおさまらないぜ。
なんだか初めっから気に食わない町だ。
どうしても、町との相性っていうのがある。
同じ町に対する感想も、旅行者によって全然違う。
出会う人によるのが一番大きい。大したものが無い町でも、人々の親切に触れると、思い出深い、いい町になる。
素晴らしい見所の多い場所でも、観光ズレした商人ばかりの町だと疲れた記憶しか残らない。
後で遺跡の写真を見たってなんの感慨も無い。遺跡好きな人は別だろうけど。
嫌な人に出会って嫌な思いをした町は、たとえ楽しみにしていた美術館や見所があっても、いい町にはならない。
メディナの外に出ると一転、人はかなり穏やかになった。ほっとする。
古ぼけたサンドイッチ屋さんの、まるでホームレスみたいなおじさんが声をかけてきたので、そこで食べることにする。
食後に「コーヒー?」と聞くので、ディレクトを頼んだ。
コーヒーを飲んでいると、おなかのでっぷりしたおじさんが話しかけてきて、向かいのカフェに移って話した。
なかなかいい人だったので、6時に食事の約束をした。
一人でメディナに戻って、ここの名物のマクロウドというお菓子を買った。
ホテルに戻ってシャワーを浴びて、待ち合わせのさっきのカフェに行っておじさんと落ち合った。
おじさんお勧めの食堂に案内してくれた。
でも、おじさんは私のオーダーをお店に伝えると、「食べ終わる頃また来る」と言って行ってしまった。
なんだよーと思ったけど、きっと食事は家族と一緒にするんだろう。ま、いっか。
おじさんが頼んでくれたメルゲズがめっちゃうまかった。
サラダメシュイーヤも青唐辛子が利いたバージョンで、これまたおいしかった。
さすが、地元民のお勧めだ。
食べ終わる頃、おじさん、アブデルが戻ってきて、家に連れて行ってくれた。
お母さん始め家族が揃っていた。
トズールのアリの家のように、温かい家庭だった。
ショコラの入ったネスカフェを出してくれた。贅沢だ。
それがまた、めっちゃ甘くて、満腹のお腹には堪えた。
アブデルの兄弟のお嫁さんは、確か28歳と聞いた気がするが、私の年を聞いてどうしても20歳位にしか見えないと最後まで言っていた。
朝起きたら、8時近くだった。アブデルと8時に待ち合わせだったのに。
間に合わない。それにちょっと面倒だと思っていたのも事実だ。
アブデルはいい人だけど、一緒にいても面白味がなくて・・・。
ごめんなさいアブデル。
心の中でつぶやいて、荷物をまとめてホテルを出ると目の前に停まっていたタクシーに乗った。
私はアラーから罰をもらうことになるでしょう。
バスステーションでは、誰も助けてくれなくて、オフィスで「英語話せる?」と聞いてなんとかなった。
バスの発車時間まではまだかなりある。
バスの発着所でぼーっとしていると変な若者が話しかけてきた。
若いのに陰気な感じだ。近くのカフェに連れて行ってもらった。
誰もいなくて営業してないのかと思ったら、彼がコーヒーを淹れた。
何者なんだ・・・。
コーヒーを飲みながらぽつぽつと盛り上がらない話をする。そんなに英語が話せる訳でもないらしい。
出会ってから一度も笑顔をみせない。暗いやっちゃなー。
気がつくと「もう時間じゃない!?」彼がはっとして「戻ろう」と言った。
まだバスは着ていなかった。ほっとする。彼にしっかりコーヒー代を請求された。
多分、あんたの店じゃないだろう?と思いつつ、お金に困っているんだろうとコインを渡した。
次はバゲッジに付けていた超安物のブレスレットを欲しがった。
目印代わりに付けてただけの要らないものだからくれてやると、腕に着けてくれとせがむ。
どんだけ厚かましいんだと思いつつ、朝アブデルの約束をブッチした後ろめたさも手伝って、つけてあげる。
「あのバスだよ」とやってきたバスを指す。
やっとこの人とお別れできると思ってほっとする。
ほんと、色んな人がいるなぁ。
地元民が乗り込んだ後に乗車すると既に満員で、仕方ないので立つことにする。
後ろの乗り口のステップに座っている人もいるので、通路の段差に座る。
女性がそれではまずいと思ったのか、人々が小さな子連れの子供を抱くように親に言って、若い男の子が隣に座らせてくれた。
抱く親がかわいそうなので、ここで全然構わないと言ったが、まわりのおばちゃん達も座れ座れと言ってくれるのでみんなと親子にお礼を言って座らせてもらった。
ほんと、恐縮です。
バスステーションでみんな冷たいと思ったのは言葉が通じないからで、シャイだけどとても親切な人達だった。
おばちゃん達がクッキーや缶ジュースをくれたり。
途中の休憩でトイレに行った時も、割り込んで来たおばちゃんに、まわりのおばちゃんが「この子が先に並んでたのよ!」と行ってくれて、感激した。
こういう場合、自分がこの国にお邪魔してる立場だし、入れればいいと思っているので、割り込みされてもいつも甘んじている。
私がアラビッシュをもっと話せたらよかったけど、シュクランしか言えなくて残念でならなかった。
隣の席のお兄さんが英語を話せたので助かったけど、彼もずーっと話しっぱなしのタイプなので、しんどかった。
陽も暮れて、やっとジェルバ島に到着。
彼が一緒にユースホステルの場所を探してくれた。
あー疲れたあ。
ジェルバのユースは洞窟ホテルとシディブサイドを合わせたような感じだ。
部屋は洞窟っぽいけど、壁は真っ白で木製のドアは青い。
共同シャワーは残念ながらぬるい。我慢して入ったけど、疲れた体には熱々のシャワーが欲しい所だ。
中庭があって、リゾートな気分ばっちりだ。英語は全く通じなかった。
何か食べようと外にでた。地元民がいっぱいだったお店に入る。
釜があってパンが焼きたて。めっちゃうまかった。
電話をしようとしたが、電話機がコインをなかなかアクセプトしない。
なんとか0.5D入れて、話すことができた。
明日はゴムラッセンへ行くことにした。




