初めてのシャワールーム
ガルシアの街北東に位置する住宅街。
そのうちの一つがラズリの所有している家だ。
「着いたよリリィ、ここが私の家だよ。」
そう言って玄関の鍵をあけ中に招き入れる。
外からみても中からみても落ち着きのある家だった。
リリィエストからみれば元の世界の自分の家と似ていた。
「あんまりかわいくない家でごめんね~。そこの中でシャワー浴びれるから行ってきなよ。服はおいてくれればいいからさ。」
玄関から左側に見える二つの扉のうち奥側の方を指さしてそう言う。
ラズリは靴を脱ぎ奥の部屋に入っていった。
リリィエストもラズリを見習い靴を脱いで奥側の扉を開け中に入る。
中は脱衣所兼洗面所となっており洗面台や鏡があったり、タオルや洗濯機、おくにはシャワールームがあった。
しかしリリィエストの元いた世界にはないものばかりで、どこで体を洗えばいいのかわからなかった。
いろいろ脱衣所あたりを探索してもお湯どころか水すら見当たらなかったので奥のシャワールームに入る。
もちろんリリィエストにはシャワールームがなんなのかわかるはずもなく服を着たまま中に入った。
しばらく中を見てみたがやはり水らしきものは置いておらず、みつけたのは青いボタンと赤いボタンだけだった。
そのボタンがなんなのか気になったリリィエストは試しに青いボタンを押してみた。
すると上と左右のから勢いよく水が噴出してきた。
「ひゃあぁぁーーーーーーー!!!」
いきなり水を浴びせられ、悲鳴をあげる。
あわててシャワールームから出ようとするが勢い余ってこけながら脱衣所に倒れこんだ。
「どどど、どうしたの!?大丈夫リリィ?」
いきなりシャワールームで悲鳴が上がったことに驚き、ラズリが脱衣所に駆け込んできた。
ラズリが見たのは、全身ずぶ濡れで涙目になって座り込んでいるリリィエストの姿だった。
「えっとリリィ、大丈夫?すんごい悲鳴が聞こえたんだけど。」
「ら、ラズリ。大丈夫、いきなり水が出てきてビックリしただけだから。ここの使い方がちょっとわからなくてさ。」
あはははっと笑って立ち上がる。
「あ~そういうことね。じゃあ・・・」
そう言ってラズリは上着を脱ぎ始めた。
いきなりの展開にリリィエストは驚き後ろを向く。
「ちょ、ちょっとラズリ!?なんでいきなり服脱ぎ始めるの!!?」
「ん?だって使い方わからないんでしょ?だったら一緒に入って教えなきゃじゃない?」
リリィエストのうしろで布のすれる音が聞こえる。
「そ、そんなの恥ずかしいしだめだよ!」
顔を真っ赤にして目を瞑りながらそういう。
「いいじゃん、ゲームの世界なんだしさ。それに、小さくても別に恥ずかしがることないよ。」
ラズリの声が少しづつリリィエストに近づいてくる。
「ほらほら、お風呂に入るのに服着てちゃダメでしょ?脱がなきゃ脱がなきゃ!」
ラズリはリリィエストの来ている服を脱がしにかかる。
リリィエストはリリィエストでそれを全力で抵抗する。
「だ、ダメなんだってば・・・僕は、男なんだから!!!」
リリィエストの言葉でラズリの手が止まる。
先ほどまであわただしかったのが嘘のように静かになった気がする。
「それって・・・そんなの・・・」
チラッとラズリの方を見たが既に下着姿で長くは見れなく、顔も俯いていて表情も見て取れなかった。
「僕は男だから、やっぱり駄目だと思う。だから・・・」
ごめんねという言葉を遮るようにラズリに再び服を脱がされる。
「そんなの・・・全然関係ないじゃん!」
「なんでぇぇえええ!??」
リリィエストは服を脱がされて再びシャワールームに連れて行かれてしまった。