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異世界で出会った知り合い?

ガルシアの街の中央の橋にてリリィエストがうなだれていた。

「そうだよ、なんで気づかなかったんだろう・・・僕お金持ってないじゃん!」

異世界に今さっき来て、そこでのお金を持っているはずもなくいろいろな店を回ってはみたもののどの店でもお金がないリリィエストは何も買うことはできなかった。

「こんなことならルートスにお金貸してもらえばよかったな・・・お腹空いた。」

きゅぅうっとなるお腹を押さえながら橋の手すりにもたれかかる。

図書館にでも行っておこうかなぁと思いながら目の前を通り過ぎる人たちをぼーっと眺めていると、見たことのある赤髪の女性が目の前を通り過ぎた。

「ミシル!?」

服装はいつものミシルとは違うものの、後姿がミシルそっくりだった。

異世界に来ておいて元の世界の人がいる可能性は極薄なのだがそれでも空腹で頭が回っていなかった。

リリィエストは赤髪の女性を追いかけ手を捕まえた。

「み、ミシル!いいところに。今お金なくてお腹も空いててだから・・・」

お金貸して!と続く言葉を振り向いた女性が指で口を押さえるようにして止めた。

「待って待って、落ち着いて。私はミシルって名前じゃないよ。人違いじゃないかな?」

言われてハッとしたリリィエストは顔どころかみみまで真っ赤になった。

「そのあの、ま、間違えました。ご、ごめんなさい~~~。」

そのまま逃げるようにその場から立ち去ろうとしたリリィエストだったが、逆に赤髪の女性に手を握られ逃げることができなくなった。

「だから待ってってば!君、お金ないって言ってたよね。私の行きつけのお店の引換券ならあるんだけどどうする?」

目の前でひらひらと見せびらかすようにその引換券を見せつける。

「な、なんでもしますから!だから、それくれませんか?」

「ふふっ、必死だねぇ。いいよ、これは君にあげる。」

「いいんですか!?あ、ありがとうございます!あ、えっと・・・」

「私はラズリ。ミシルじゃなくてラズリね。」

「ありがとうございます、ラズリさん。本当になんて言えば・・・」

リリィエストはラズリから引換券を受け取り、感謝の気持ちでいっぱいで少し涙目になっている。

「いいっていいって。お腹空いてるんでしょ?早く行ってきなよ。」

「は、はい。えっとまた会えたら今度はお礼させてください。それじゃあ!」

もう一度お礼とお辞儀をして再び南へと向かったリリィエスト。

その後姿をラズリはニコニコと手を小さく振って見送る。

「・・・うふふっ。イイ子に貸、できちゃった。」

そう言ってラズリは北の方へ歩いていった。



ラズリからもらった引換券で食事を済ませ店を出る。

「おいしかったな~。ラズリさんには感謝してもしきれないくらいだよ。」

飢餓から無償で救ってくれたラズリに、もう一度手を合わせて感謝した。

「さってと、これからどうしようかな?図書館まではちょっと遠いしそのまま行っちゃうのもなぁ・・・」

ルートスにもらった地図を見ながらうんうん悩む。

「よし、このあたりを見て回りながら図書館に行こう!」

リリィエストは地図を片手にこの街を散策することに決めた。

そして散策しながらいろいろなものを見ることになった。

酒場で宴会をする冒険者の姿や腕を組み楽しそうに歩くカップル、果ては街中で腕比べをしている冒険者とその勝敗で賭けを楽しむ取り巻きなどなど。

リリィエストが夢見た冒険譚がそこら中に広がっていたのだ。

鼻歌交じりに街中を歩いているといつの間にか煌びやかな場所にいることに気づいた。

周りには先ほどのような喧噪はなく、人通りも少なくなっていた。

人もほとんどが女性であり男性がいるときは女性とワンセットになっている。

普通男性ならば逃げ出してしまうような空間だったが、興味や好奇心が勝ちリリィエストは散策を続けた。

先ほどとは異なる雰囲気の店を外から覗き見るように見ていると視界がフッと暗くなった。

「だーれだっ!」

いきなり目を隠され混乱してしまいワタワタアワアワしていると目のあたりの感触がなくなった。

視界が開け振り返ってみると、ラズリが楽しそうに笑っていた。

「ラズリさん!」

「また会ったね!いや~目の前に君がいてビックリしてさ、思わず目隠ししちゃった。」

ごめんね~とそんなに悪びれる様子もなく謝る。

リリィエストも嫌な気はしていないので気にも留めていなかった。

「そういえば、君の名前なんて言うの?」

「そういえば言ってなかったですね。僕の名前はリリィエストです。」

「リリィエストね・・・うん、じゃあリリィだ!ねえリリィって呼んでもいい?」

ミシルと同じ見た目の人に同じように呼ばれて少し変な感じがしたリリィエストだったが、親しく呼んでもらえたことがうれしかったようですぐに肯定した。

「リリィも私のことラズリって呼んでいいよ。敬語も使わなくていいからさ!」

「え、えぇっと・・その・・ら、ラズリ。ありがとう。」

「っきゃあぁぁかわいいぃぃい!!」

照れながら言ったリリィエストをラズリは抱きよせ、頬をすり合わせる。

急展開になすすべもないリリィエストは黙ってすりすりされ続けた。

堪能し満足するまで約一分ほどのあいだすりすりされていた。

「うぅぅ・・・いきなりひどいよ、ラズリ。」

「いやーごめんねぇ。リリィがかわいくてつい。」

やはり悪びれることなく謝る。

「そういえば気づいたんだけど、どこかで転んだりした?服とか肌とか砂っ気があったんだけど。」

「ここに来る前にちょっと転んじゃって、その時のせいかな?」

ラズリの目がキランと光ったがリリィエストは気づいていない。

「んふふ~、私の家でお風呂貸してあげるよ。じゃあ行こう今から行こう!」

有無を言わさずリリィエストの手をとってラズリは自分の家に向かった。

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